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ガリレオ・ガリレイ『人々に何も教えることができない』(今日の名言・その31)

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ガリレオ・ガリレイ『人々に何も教えることができない』(今日の名言・その31)

ガリレオ・ガリレイ『人々に何も教えることができない』(今日の名言・その31)

2022/08/15


 我々は人々に

 何も教えることができない。

 


 我々ができるのは、


 人々の中にあるものを


 自分で発見する手伝いをすることだけである。


※ガリレオ・ガリレイ(1564〜1642:イタリアの物理学者、天文学者)のことば

 

 

このガリレオの言葉ほど、

〝教えない教育〟の本質を明確に表現したものは

無いと言って良いかも知れません。

 

「教えない教育」と言っていても、

わたしが何もイジワルで「教えない」ように

しているのでないことは、おわかりでしょうが、

人が人に対して何かを「教える」ということが

そもそも「できない」ことであって、

「教えられない」のです。

 

ハテ!「教えられない」って

いったいどういうこと?っておもいますよね?

 

順を追って書いていきましょう。

 

昨日のblog記事では、

中国の古典である『易経』にも、

先生が生徒に教えることよりも、

生徒が先生に質問するのが先という話が

「山水蒙」という卦にあると書きました。

 

また、2週間程前に投稿したこちらの記事では、

尿酸値が高い高尿酸血症というのは、

痛風の〝結果〟であって〝原因〟ではない。

火事の現場に消防自動車が居たからといって、

だれもその消防自動車が火事の原因だとおもわない。

にもかかわらず、わたしたちは、

そのような、原因と結果の取り違えを

やってしまっているという話を書きました。

 

その記事には悪玉コレステロールが

動脈硬化の原因ではないという話も書いたんですが、

こうした例はまだまだいくらでも見つかります。

 

たとえば、納税額日本一といわれる

事業家・斎藤一人さんが

「天国言葉」ということを提唱されています。

 

この「天国言葉」というのは、

「愛してます」「ツイてる」「うれしい」「楽しい」

「感謝してます」「しあわせ」「ありがとう」などの

ポジティブな言葉を指しているようなんですが、

日常そうした言葉を使い続けていると、

人生が好転しますよ、と。

 

でも、これもよくよく考えていくと

原因と結果の順序が逆ではないかとおもうのです。

 

斎藤一人さんは、納税額日本一といわれるような

社会的なステータスを獲得するような人生を

歩んでこられた〝結果〟として、

日常的にポジティブな言葉を

あたりまえのように使うことのできる状態に

至られたのでしょうから。

 

もちろん、日常的にポジティブな言葉を使うことも

その原因のひとつとは言えるかもしれませんが、

少なくとも、斎藤一人さんは

ポジティブな言葉を使うことが大事であると、

他の誰かから教えられ、

そのことを日々実践したこと〝だけ〟が原因で、

納税額日本一といわれるような

事業家になられたわけではないでしょうから。

 

それで、ある人が

「斎藤一人さんの教えを実践しようと、

不遇な状態でも『ツイてる!』と言って

天国言葉を使うように努めてきましたが、

人間関係や経済状況が悪化するばかりです。

まわりの同僚で、地獄言葉吐きまくりの人間が

収入が増えて出世していきました。

正直、一人さんの教えを実践するのに、

疑問が湧いてきました。」と話していたんですが、

それはそうなるだろうとおもうんですよ。

 

自分がそうしたかったからと自分で決めて

天国言葉を使うようにしているのならまだしも、

「斎藤一人さんが天国言葉を使うことが大事だと

言っているから自分はそうした」と、

人間関係や経済状況が悪化した原因まで
自分以外の外側に求めている姿勢を、

問い直す方が先じゃないかなって

おもってしまうんですが。

 

また、太宰治が『もの思う葦』という本の中に、

「人は人に影響を与えることもできず、
 また人から影響を受けることもできない。」

と書いているんですが、これも冒頭挙げた

ガリレオの名言に類するものと言ってよいでしょう。

 

もちろん、時間軸をどれぐらいの幅で

考えるのかによります。

 

つまり、短期的に見れば

人が人に教えたり、人から教えられたり、

影響を受けたり、影響を与えたりということは

あるのでしょうが、

長期的に見たときには、

結局のところ、自分自身の中にあるものをもとに、

自ら問いを立て、自分の頭で考えて発見したことや、

自分で体験を重ねて確認したことしか

身に付かないのではないか?

 

人から教えられたこと、

外部から獲得したことというのは、

一時的には獲得できているようにおもえても、

残念ながらそれは錯覚というか勘違いにすぎず、

本当にその人自身のモノになっているとは

言えないのではないかと。

 

つまり、教育という営みは、あくまで

そうした自己発見のきっかけづくりでしかないと、

このガリレオの名言を

わたしは自戒の言葉として受け止めているのです。

 

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