寺子屋塾

二三子以我爲隠乎、吾無隠乎爾(「論語499章1日1章読解」より)

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二三子以我爲隠乎、吾無隠乎爾(「論語499章1日1章読解」より)

二三子以我爲隠乎、吾無隠乎爾(「論語499章1日1章読解」より)

2022/10/30

日曜は古典研究カテゴリーの記事を書いています。

 

先週、先々週とイレギュラーな投稿が続きましたが、

今日は通例に戻って論語の1日1章読解から。

 

2019年の元旦から翌年5月13日まで約1年半の間、

全部で499章ある論語を1日に1章ずつ読んで

その内容をFacebookに投稿することを

日課としていたので、

その中からわたしが個人的に大事だとおもう章を

少しずつ紹介してきました。

 

そのことについて書いたふりかえり文を

昨年11月半ば頃に3回にわたって

ご紹介したことがありますので、

未読の方は次の記事をまずご覧ください。

論語499章1日1章解読ふりかえり(その1)

論語499章1日1章解読ふりかえり(その2)

論語499章1日1章解読ふりかえり(その3)

 

今日は、門人たちと向き合う孔子の姿勢を述べている

述而第七の23番(通し番号170)をご紹介します。

 

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【述而・第七】170-7-23
[要旨(大意)]
孔子にとっては門人たちとの生活が自分にとってのすべてであり、自分の持てるもの、自分が学んだことはすべて伝える姿勢でいることを述べた章。
 
[白文]
子曰、二三子以我爲隠乎、吾無隠乎爾、吾無行而不與二三子者、是丘也。
 
[訓読文]
子曰ク、二三子我ヲ以テ隠スト爲スカ、吾ハ隠スコト無キノミ、吾ハ行フトシテ二三子ト與ニセザル無シ、是レ丘ナリ。
 
[カナ付き訓読文]
子(し)曰(いわ)ク、二三子(にさんし)我(われ)ヲ以(もっ)テ隠(かく)スト爲(な)スカ、吾(われ)ハ隠(かく)スコト無(な)キノミ、吾(われ)ハ行(おこな)フトシテ二三子(にさんし)ト與(とも)ニセザル無(な)シ、是(こ)レ丘(きゅう)ナリ。
 
[ひらがな素読文]
しいわく、にさんしわれをもってかくすとなすか、われはかくすことなきのみ、われはおこなうとしてにさんしとともにせざるなし、これきゅうなり。

 

[従来訳文]

先師がいわれた。――
「お前たちは、私の教えに何か秘伝でもあって、それをお前たちにかくしていると思っているのか。私には何もかくすものはない。私は四六時中、お前たちに私の行動を見てもらっているのだ。それが私の教えの全部だ。丘きゅうという人間は元来そういう人間なのだ。」

(下村湖人『現代訳論語』)

 
[井上の口語訳文]
先生(孔子)が(門人たちに向かって)言われた。「お前たちは、わたしが何か隠しごとをしているとおもっているのか? わたしにはお前たちに隠さねばならないことなどないし、わたしはお前たちと一緒に行動しないことはない。これがわたし(孔丘)という人間なんだ。」
 
[井上のコメント]
「二三子」は、八佾第三の24番(通し番号64)にもありましたが、門人たちにむかって「諸君!」「皆さん」と呼びかけの言葉です。
孔子には、3000人以上の門人がいたと伝えられていますし、また各種の礼や知識について精通し博識な孔子ですから、門人の中には、孔子に対して、「まだ何か隠している特別の奥義があるのではないか?」と疑う者があったとしても、別段不思議ではないようにおもいます。また、当時の孔子学団以外で、師と呼ばれる人のなかには、自分の学問の全貌についてわざと示さない者もあったとされているようですから、この章については、孔子はそうした他の学団とは違うということや、一部の門人たちの疑念を晴らそうとして、このように宣言したという理解でよいとおもいます。
わたしは『論語』にこういうことが書かれていることを今日まで知らなかったのですが、らくだメソッド開発者・平井雷太さんから、問いの大切さ、問う姿勢の大切さを学んだおかげで、わたしの主宰する寺子屋塾においても、塾生たちから問われることについては、基本どんな問いに対しても答えよう、答えられる自分であろうと心がけてきました。もちろん、解答不能な難しい問いもあるでしょうから、答えられるかどうかは保証の限りではないのですが、わたし自身がそのように心がけることで、常に学び続けようとする姿勢がこの先も失われないようにおもいますし、塾生たちもそうあってほしいと願っているからでもあります。

 

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