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らくだメソッドはなぜ「わかる」より「できる」を重視したのか?(その2)

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らくだメソッドはなぜ「わかる」より「できる」を重視したのか?(その2)

らくだメソッドはなぜ「わかる」より「できる」を重視したのか?(その2)

2023/03/23

昨日投稿した記事の続きです。

 

らくだメソッドの開発者・平井雷太さんの著書

『見えない学校 教えない教育』

第2章 教えない教育 より

3 なぜ、「わかる」より「できる」を重視したのか?

の後半部分を。

 

(引用ここから)

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徹底して「数を重視する」
「わかること」を重視すると、「教える行為」をせずにそれを行うことは難しいのですが、「わかること」をいっさい配慮しなければ、「できること」に狙いを定めた教材を作ることはできると思ったのです。

 

幼児教材であれば、こんな具合です。
初めてこのプリントをする子の場合に、1は「いち」と読むとか、2は「に」と読むとかの説明はいっさいせずに、それがどんな量をあらわしているかの説明もしません。そして、次のように言うのです。「このプリントにはルールがあってね。○から☆へ線をつないでいくだけ。できるかな?」

 

1から3までは一筆で書けますが、4の場合は「まず、○から☆へ線をつないだら、次は●から★に線をつなぐ。ルールはそれだけ。そのルールが守ることができるなら、このプリントで学ぶことはできるけど、どうする?」。ですから、子どもは自分で数字を書いているという自覚がないかもしれません。それでもいいのです。「先生、これ何を書いているの?」と聞いてくれば、教えてあげてもかまいませんし、数字を書いているときに、すでに「これがあの数字か」と思っている子もいるでしょう。すでに1から10まではスラスラ言える子が結構いますから、その数字と結びつく子もいるでしょう。教えられずに、自分で発見する体験がここでできるのです。もちろん、中には100まで言えない子もいますから、このプリントと平行して、家庭で機会を見て100まで言えるようにしてみてはどうでしょうか?と提案します。

 

このように「量」からではなく、徹底して「数」から入ることを考えて教材を作ったのです。「わかって、書く」のではなく、「わからないまま、書く」体験です。子どもはどこで数を覚えているのかと言えば、お風呂の中が一番多いのではないでしょうか。保育園の行き帰りにいろいろな話をしながら、数を歌のように唱えているかもしれません。とにかく、数字を見て、これが2とか3とか認識する前に、意味をわからず1から10まで言うことができるようになっているのが自然な流れでしょう。「さん」が3個のリンゴと結びつく前に、意味もわからず、「さん」と言ったりしているのではないでしょうか。そうであるなら、この数唱を使えばいいと思ったのです。 そこで幼児教材の1枚目として、前述の幼―0のプリントを作成したのでした。そして、たし算に入る前に、1から130までの数字が8分台で書ける状態になっていれば、たし算の概念がわかっていなくても、小1-1(次の画像)のプリントが無理なくできてしまうことに気づいたのでした。

 

子どもが「数」を認識していく上で、数唱は欠かせないと思うのです。それが自然な流れであるとすれば、数唱をベースにした教材が子どもに適しているわけで、集合数ではなく、順序数を使ってのたし算の導入となるわけです。1から10までの数字がスラスラ書けるようになれば、たとえば「89の次は?」と聞くと、「90」と即座に答えられるということです。ですから、たし算の導入を(+1)ばかりの問題にすると、順序数が応用できるというわけです。

 

このように徹底して、「教えない」「数を重視する」教材を作ったことで、量を「教えること」を熱心にしていたときには決して見えないことが見えてきました。たとえば、幼―0のプリントですが、「このプリントにはルールがあって、○から☆をつないでいく」と話しているにもかかわらず、2段目を書くときには、何も言わずに黙って見ていると、平気で☆から○を書く子が2人に1人はいる現実に遭遇します。そこで、どこから書くかを教えずに、「☆から書くの?○から書くの?」と聞いてみると、そのことで初めてそのルールがその子の中で意識化されるのです。「教えない」を実践してみて、何がどこまで一人ひとりの子どもに伝わっているのかいないのかを、私自身が自覚させられました。

 

そして、私が教えなくても、数字を写すのではなく、順序数を何も見ずに書いている子どもを見ていると、まるで自分で文字を生み出しているというか、数字を作っている作業をしているように見えてくるから不思議です。数字をなぞるだけで、決して白紙のマスに数字を書こうとしなかった子が、ある日突然、何も書いていない白いマスに自分で数字を書き出す様子を見ていると、今までハイハイをしていた赤ちゃんが突然直立二足歩行をしたときと同じような感動を覚えます。集合数を教えているときには決して味わえない体験を、「わかる」より「できる」を優先し、「教えない」という実践をする中で日々味わえるようになったのでした。

 

平井雷太『見えない学校 教えない教育』

 3 なぜ、「わかる」より「できる」を重視したのか?より

※塾生の板倉匡利くんが、らくだメソッドの幼児教材

 全14枚を学習しblog記事を書いたことについては

 こちらの記事で紹介しています

 

※昨日と今日の2回に分けて紹介した

 この項への井上のコメントは明日投稿予定
 

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