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『世界は贈与でできている』読書会への参加覚え書き(その2)

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『世界は贈与でできている』読書会への参加覚え書き(その2)

『世界は贈与でできている』読書会への参加覚え書き(その2)

2023/08/14

昨日投稿した記事の続きです。

 

昨日は、『世界は贈与でできている』という本の

内容についてのアウトラインをまず示した上で、

わたし自身が読書会に参加したときに書いた

blog記事や感想カードを紹介し、
記事の最後では、

9回にわたった読書会が終了した後に、

本田信英さんが書いた

ふりかえり記事を紹介しました。

『世界は贈与でできている』読書会の振り返り

そもそも、著者と自分とは別の人間ですから、

もし、1冊の本を読もうとするときに、

そこに書かれた言葉を

自分のそれまでの経験や得た知識に基づいて

解釈しようとするだけであれば、

それは、未知のことを既知のことで

知ろうとするようなものですから、

残念ながら、その著者が伝えたかった内容を

正しく理解し受け止めたことには

ならないでしょう。

 

その著者が伝えたかった内容を

正しく理解しようとするためには、

まずは自分の経験や知識をいったん脇に置き、

著者の文脈に自分から跳び込んで、

そこに書かれている言葉に対して

虚心坦懐に耳を傾ける必要があるとおもうからです。

 

そしてその上で、自ら問いを立てて

自分のアタマを使って考えるという

プロセスが必要だとおもうのですが、

これがなかなか易しくありません。

 

改めて「書くこと」と「教えない教育」との関係について(その24・最終回)

の記事で全体を総括する部分など、

このblog記事ではときどき登場している、

次の図の ①入力 と ②加工 を

きちんと分けるという情報リテラシーの問題です。

 

1冊の本を繰り返し何度も読んで熟読することも

そのためのひとつの手段でしょうが、

人間の大脳というのは、

何でもかんでもわかりたがる性質をもっていて、

すぐ「わかったつもり」になりやすいので、

一人だけでやろうとするのは

ほぼ不可能と考えた方がイイということは、

加藤哲夫さんの文章を紹介しながら

次の記事に書きました。

改めて「書くこと」と「教えない教育」との関係について(その10)

 

でも、まわりの人と自由に対話を交わしながら、

入力と加工のステップを分け、

自ら問いを立てて粘り強く考え続けることを

ふだんから当たり前のように

実践できている人は、

現実にはあまり多くないのではないでしょうか。

 

そんな現状も鑑みて、

寺子屋塾とにんげん図書館との共催行事として

2015年から行ってきた

読書会つんどくらぶでは

本の内容を参加者全員で音読(輪読)して、

読んだ箇所について

自由に対話を交わすことを大事にしてきました。

 

今回の本田さん主催の読書会もこの、

つんどくらぶの

全員で「音読」→自由に「対話」という

運営スタイルを踏襲しているので、

そうした場では、参加者一人ひとりが

自分の意見や感想、問いを自由に表明することで、

本の内容の受け止め方や感じ方の違いが

自ずと浮き彫りになり

共通の問いや認識が生まれ易くなるわけです。

 

つまり、1冊の本を読み解こうとするときにも、

〝場づくり〟の発想を有効に活かせるし、

そのためには、

どのようにその〝場〟をコーディネートし

ファシリテートするかが重要だということを

今回の読書会9回に参加してみて

わたし自身も改めて実感し、再認識しました。

 

本書での「贈与」という言葉の定義として

まえがきに、

私たちが必要としているのにもかかわらず、

お金では買うことができないもの

およびその移動を「贈与」と呼ぶ

と書かれていて、

また、第3章では、

贈与の差出人は、「これが贈与だ」と

宣言してはならないし、

それが贈与であると知られてはいけない

とあります。

 

本田さんが、読書会のふりかえり記事に書かれていた

今回の読書会は

とても不思議な経緯で続けられてきました

という言葉が

わたしにはとりわけ印象的だったんですが、

それはたぶん、今回の読書会そのものが、

本書を読んで感銘を受けた本田さん自身が

本書から受け取ったものを

まわりの人たちに贈与しようと

意識していたわけではなかったでしょうから、

あくまで結果的に、そして偶発的に

贈与の場がそこに生まれていたからでしょう。

 

そのことは、本田さんが

純粋に自分の意志で読書会を開いたのは、

最初の1回目のみで、

以降は参加者からの要請によって開催が喚起され、

本田さん自身、けっして熱心に集客したわけではなく

申込者が4名未満となって、

参加者からのニーズがなくなったときには

いつでも終了するつもりだったという

本田さんの姿勢にも現れていました。

 

したがって、そんな形で9回も続けられたのは、

お金では買うことができないような

本田さんからの〝贈与〟に対し、

自然に気付いて受け取ることが

できるような面々が奇跡的に集い、

そして、その集まった一人ひとりが

当事者であるという自覚がまったくないばかりか

いつの間にか全員で

その読書会の場をつくっていたという、

贈与の連鎖のようなものが

そこに生まれていたからかもしれません。

 

この続きはまた明日に!

 

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※以下のblog記事はその1にてシェア

世界は贈与でできている 

読書会『世界は贈与でできている』に参加しました

 

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