『世界は贈与でできている』読書会への参加覚え書き(その3)
2023/08/15
寺子屋塾生・本田信英さんの主催で
2022年7月から2023年5月まで
9回にわたって行われた
お題本とする読書会に参加したことをふり返って、
わたし自身の憶え書きにするつもりで
8/13から記事を書き始め、
今日で3回目になりました。
したがって、いきなりこの記事から読まれても、
前提となっている話や
これまでのプロセスがある程度見えないと、
主旨が伝わりにくいこともありますので、
昨日までの記事を未読の方は
記事の最後にある関連記事のリンク集を
適宜アクセス下さるとありがたいです。
さて、昨日投稿した記事に、
近内さんのこの本では、
「贈与」という言葉を、
私たちが必要としているのにもかかわらず、
お金では買うことができないもの
およびその移動
と定義されていることを記しました。
そして、本田さんによって企画され、開催された
読書会の存在そのものが、
お金を出したからといって
誰にも簡単にすぐ手に入るような
ものではないという意味においても、
本田さんが近内さんの著書から受け取ったものを
他の人にまわしていくことのできるような、
贈与の場になっていたのではないかと。
【本田さんが書かれた読書会の記事】
もちろん、本田さんは「これが贈与です」と
名乗ったわけではありませんし、
(自ら贈与だと名乗ってしまうと、
贈与ではなく〝呪い〟になってしまいます)
他の参加者の皆さんがどう感じられたか、
確認したわけではないんですが、
少なくともわたしにとっては、
そのように受けとめられたのでした。
昨日書いた記事でわたしが言及したのは、
主として読書会そのものの存在に対してでしたが、
その1で紹介した
6枚の感想カードに記したように、
近内さんの本の内容についても、
とても多くの示唆を得たように感じています。
たとえば、冒頭の画像で示した
映画『ペイフォワード』のストーリーは
第1章で示され、「贈与は受け取ることなしに
開始することはできない」という
映画から得られた教訓が、
贈与の原理のひとつとして語られていましたし、
その他にもさまざまなエピソードが
「贈与」というテーマと関連づけながら
紹介されていました。
また、近内さんのプロフィールには、
専門領域として、ウィトゲンシュタイン哲学と
書かれているんですが、
本書のちょうど真ん中にあたる
第5章の内容がほぼ1章まるごと
ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」について
説明する内容になっていたことも
とりわけ強い印象に残っていて、
ウィトゲンシュタインの哲学には
20代の頃から関心を持ち続けてきたわたしも
今回の読書会をきっかけに、
ウィトゲンシュタインについて書かれた
本や資料を引っ張り出して改めて読み直し、
認識を新たにするところがあったのです。
たとえば、『論理哲学論考』を書き終えた彼が
小学校の教師になったことや、
子どもたちを教えるなかで、
言語ゲームのヒントになる体験があったことや、
熱心なあまり子どもたちに体罰を加えたことが
問題となって、教師を辞めさせられたことは
知っていたんですが、
実際彼が小学校で
どんな授業をしていたかということまで
調べたことはなかったので。
彼が教科書よりも体験学習を重視し、
子どもたちが自分の力で学べるようになることを
重視していたことや、
『小学生のための正書法辞典』という
彼にとって2冊目の著書は、
こどもたちに自学自習の機会を増やそうとして
編纂されたことが新たにわかって、
なぜわたしが若い頃から彼の哲学に惹かれ
関心を持ち続けてきたのかという
深い理由が見えてきたのです。
この続きはまた明日に!
【関連記事】
・『世界は贈与でできている』読書会への参加覚え書き(その1)
・『世界は贈与でできている』読書会への参加覚え書き(その2)
・計画的偶発性の場づくり 哲学対話とゲームセンター型コミュニティ
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