寺子屋塾

『世界は贈与でできている』読書会への参加覚え書き(その4)

お問い合わせはこちら

『世界は贈与でできている』読書会への参加覚え書き(その4)

『世界は贈与でできている』読書会への参加覚え書き(その4)

2023/08/16

寺子屋塾生・本田信英さんの主催で

2022年7月から2023年5月まで

9回にわたって行われた

近内悠太さんの『世界は贈与でできている

資本主義の「すきま」を埋める倫理学』

お題本とする読書会に参加したことをふり返って、

わたし自身の憶え書きにするつもりで

8/13から記事を書き始め、

今日で4回目になりました。

 

したがって、いきなりこの記事から読まれても、

前提となっている話や

これまでのプロセスがある程度見えないと、

主旨が伝わりにくいこともありますので、

昨日までに投稿したり

シェアした記事を未読の方は

記事の最後にある関連記事のリンク集を

適宜アクセス下さるとありがたいです。

 

 

さて、昨日投稿した(その3)の記事では、

近内さんの著書に書かれていた内容について触れ、

映画『ペイ・フォワード』や

哲学者ウィトゲンシュタインの話を書きました。

 

また、専門領域はウィトゲンシュタイン哲学という

近内さんのプロフィールについても

言及したんですが、

わたしが本書の内容に対して、

共感するところが非常に多かったのは、

近内さんが学習塾講師で、

しかも、リベラルアーツを主軸にした

従来型進学塾とはひと味ちがうテイストの

統合型学習塾「知窓学舎」という

新しい教育実践の場に身を置いていることに

あるからかもしれません。

 

近内さんは、最後の第9章で、

贈与の受取人としての想像力を鍛える行為が

いわゆる〝勉強〟なんだと書いています。

 

個人的な好みを言わせてもらうなら、

わたしは勉強という言い回しは

あまり好きではないので、

〝学習〟と書きたいところなんですが。

 

つまり、この世界はもともと贈与に満ちていて、

そうした贈与を受け取ることができる

想像力を鍛える行為を〝学習〟と呼ぶとするなら、

教育者は贈与の差出人であるわけですから、

映画『ペイ・フォワード』で、

トレバー少年が事故で亡くなってしまうという

ショッキングな結末を迎えてしまったことからの

教訓として語られていた

「贈与の差出人は名乗ってはいけない」という言葉は、

まさに〝教えない教育〟そのものであると。

 

「これを勉強しておかないと将来困るゾ!」とか

贈与しようとしているものの有用性を

教える人間の側、つまり

贈与する側から語ってしまうことは、

受取人を呪いにかける行為になりかねないわけで。

 

以前書いた記事で、易経の山水蒙という卦について

触れたことがありましたが、

「教えてあげるから来なさい」と

教える人間の方から生徒を求めることから

スタートするのではなく、

学ぶ人間の方から師を求め、

学習者が問いを発することから始めるのが

順序としては正しいのではないかと。

易経と教えない教育

 

昨日の記事の最後に書きましたが、

ウィトゲンシュタインという哲学者は

小学校教員時代に、体験学習や

子どもたちが自分の力で学べるようになることを

重視していて、

まさに、寺子屋塾で実践している

〝教えない教育〟の先駆者でもありました。

 

ウィトゲンシュタインの

「言語ゲーム」の考え方に基づいて言うなら、

たとえば、「贈与」という言葉にしても、

最初から意味が確定しているわけでも

単独に存在しているわけもなく、

まず先に、わたしたちの生活や

コミュニケーションがあって、

そのうえで、

さまざまな文脈とのつながりによって、

意味をもつようになります。

 

したがって、贈与というテーマについて

考えようとするときには、

贈与という事柄だけを取り出して

単独で論じることはできませんし、

その中味を示すことによって

人に教えることはできないんじゃないかと。

 

贈与というテーマについて考えようとすることは

贈与以外の事柄、つまり

贈与とは関係がなさそうに見えるような事柄とも

関連づけながら、そのつながりについて

考えることだと言ってよいでしょう。

 

だから、贈与は教育という営みとも

けっして無関係ではありません。

 

近内さんの本では、

ギブ&テイクの限界点と題された第2章に

教育という社会システムは、

交換の論理では基礎づけられない

という重要な指摘が書かれています。

 

わたしも以前このblogで、

起業のポイントというテーマの記事を

7回にわたって書いたことがあったんですが、

(その5)に次のようなことを書きました。

 

寺子屋塾を続けていく中でわかってきたことは、

経営に必要なのは、

どうやれば儲かるかというノウハウなどではなく、

何が価値を生み出すのかを考え、

その価値を生み出すしくみづくりであり、

そして、その前提として、

自分自身が何を価値あるモノと考えているのか

という問いについて、

あきらめず、粘り強く考え続けること

 

この記事中には、

わたし自身が何を価値あるモノと考えているかを

具体的には書かなかったんですが、

ひとつだけ確実に言えることを挙げるなら、

「お金では簡単に買えないようなもの、こと」

つまり、教育を切り売りできるような

サービスの交換だと考えてはいないことです。

 

この続きはまた明日に!

 

【本田さんが書かれた読書会の記事】

読書会『世界は贈与でできている』

『世界は贈与でできている』読書会の振り返り

 

【関連記事】

『世界は贈与でできている』読書会への参加覚え書き(その1)

『世界は贈与でできている』読書会への参加覚え書き(その2)

『世界は贈与でできている』読書会への参加覚え書き(その3)

内臓感覚が大事ってどうしたら実感できますか?

計画的偶発性の場づくり 哲学対話とゲームセンター型コミュニティ
改めて「書くこと」と「教えない教育」との関係について(その24・最終回)
内田樹『日本辺境論』より(今日の名言・その32)

※以下のblog記事はその1にてシェア

世界は贈与でできている 

読書会『世界は贈与でできている』に参加しました

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
☆寺子屋塾に関連するイベントのご案内☆

 8/19(土) 易経初級講座 第14回

 8/27(日) 『言葉のズレと共感幻想』読書会 #2

      ↑満席御礼<(_ _)>

 9/17(日) 第23回 経営ゲーム塾Bコース

 10/15(日) VOP予告編⑤ビデオ上映会

      

◎らくだメソッド無料体験学習(1週間)

 詳細についてはこちらの記事をどうぞ!

 

2023年・中村教室のお盆休み

 8月10日(木)〜8月17日(木)は

 休業させていただきます。<(_ _)>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。