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池谷裕二+糸井重里『海馬 脳は疲れない』

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池谷裕二+糸井重里『海馬 〜脳は疲れない〜』

池谷裕二+糸井重里『海馬 〜脳は疲れない〜』

2023/10/20

今日は昨日投稿した記事の続きで、

池谷裕二さんの本、2冊目の紹介記事です。

 

昨日の記事の最後で、

『のうだま やる気の秘密』を出版された直後、

池谷裕二さんと上大岡トメさんをゲストに迎え

糸井重里さんが鼎談されている
ほぼ日の記事をシェアしたんですが、

今日は、記憶を司る大脳の部位「海馬」をめぐる
池谷さんと糸井さんの対話を収めた

『海馬 脳は疲れない』を。


冒頭の写真は文庫版ですが、

この文庫本の元になった単行本が出たのは

2001年ですから、
池谷センセイが31歳のときですね〜

これは2005年、文庫化された際に

追加された章にある池谷さんの写真なんですが、
めちゃ若くて、中学生といっても

通じちゃいますよね〜 笑

 

でも、今年53歳になる池谷さんの
最近の写真を拝見しても

とってもお若く写っているんです。

 

脳を知れば「やる気」はいらない
脳研究者/東京大学薬学部教授・池谷裕二



それで、この『海馬 脳は疲れない』の中から
いつもわたしが寺子屋塾の教室で

話していることなんですが、
たとえすこしであっても、
毎日コツコツ繰り返すのがなぜ大切なのか、
また、そのようにコツコツ続けることが、

結果的に学力の飛躍的変化を
生む可能性があると考えるのか、
その根拠はどこにあるんですか?と
問われたときに紹介している箇所を

引用してみましょう。

(引用ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

糸井:ここではわかりやすいように、仮に、単なる暗記(意味記憶)を「暗記メモリー」と呼んで、自分で試してはじめてわかることで生まれたノウハウのような記憶(方法記憶)を「経験メモリー」と呼んでいいですか?
 

池谷:いいですよ。そのふたつで言うと、ぼくは「暗記メモリー」よりも「経験メモリー」の方を重視しています。30代から頭のはたらきがよくなるとぼくが言っているのも、「脳が経験メモリーどうしの似た点を探すと、「つながりの発見」が起こって、急に爆発的に頭のはたらきがよくなっていく」ということだと捉えているからなのです。
 

糸井:そうだとすると、野球のバッターの打ち方や、困った時の対処法だとか、アイデアの生み出し方とか、文字だけでは伝えにくいものも経験メモリーですね。実際にトライした人には、確かに深く記憶として残るでしょう。
 

池谷:ええ。やった人にしか、残らないです。
 

糸井:その経験メモリーの蓄積が30歳を超えると爆発的に増えるというのは、数字で言うとどのぐらいですか?
 

池谷:最初のチカラを1としますと、べき乗(たとえば2の何乗)で成長していきます。つまり、Aを憶えたあとにBを憶える時には、Aを憶えたことを思い出してやるので、まず方法を記憶しやすくなるんです。そのうえにAとBふたつを知るだけでなく、Aから見たB、Bから見たAというように、脳の中で自然に4つの関係が理解できるんです。つまり、2の2乗ですね。1の次は2。2の次は4。4の次は8。8の次は16……。16のチカラの時には、1000なんて絶対に到達できないように見える。しかし、そこから6回くりかえせばできてしまうんです。2の10乗は、1024ですから。
 

糸井:すごい差だね。4回目で16なのに、10回目で1024。
 

池谷:そのままあきらめずにくりかえしていると、2の20乗まで行ったとしますよね。10回目で1024だったチカラは、20回目には、いくつになっていると思いますか?……1048576。100万を超えています。
 

糸井:うわぁ!


池谷:凡人と天才の差よりも、天才どうしの差の方がずっと大きいというのは、こうやって方法を学んでいく学びの進行が「べき乗」で起こり、やればやるほど飛躍的に経験メモリーのつながりが緊密になっていくからなのですよ。
 

糸井:いやぁ、それはかっこいい。16の人は1024の人を天才だと思うだろうけど、1024の人が10回やっているところをもう10回増やしている人は100万回かぁ。
 

池谷:脳で起こる反応は、直線グラフでは表されないのです。
 

糸井:「ひとつのことを毎日、10年くりかえしさえすれば、才能があろうがなかろうがモノになる」という言葉があるけれど、やっぱりそれは正しい。
 

池谷:脳の組み合わせ能力の発展のすごさを考えると、10年やり続ければ、経験メモリーどうしの組み合わせは能力を飛躍的に増すでしょう。
 

糸井:目指す位置が遠く見えても「ほんとは遠くはないんだ」と思っていた方がいいぐらいですね。
 

池谷:ええ。案外近いんです。脳の組み合わせ能力というのは自分の予想以上に発展するので、今現在自分より上の人をことさらすごいと思う必要もありません。
 

糸井:バカだと思われるぐらいに楽観的になったほうがいいぐらいだ。・・・(後略)・・・

池谷裕二・糸井重里『海馬  〜脳は疲れない〜』
(新潮文庫・2005年)
より抜粋
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(引用ここまで)
 

わたしが池谷さんの本を読んで

最初に感じたことは、

書かれている内容が

とにかく明解でわかりやすいことです。

 

世の中で、いわゆる常識と呼ばれている事柄は

たくさんありますが、

たとえば

「熱い珈琲は時間が経てば冷める」って話は

誰にとっても同じように

目の前で再現できる物理現象ですから、

まちがいなく事実と言ってよいでしょう。


ところが、脳に関しては、

たとえば、

「年齢を重ねるとともに人間の記憶力は衰える」

といったような、

それが誰にとっても正しい事実であると

証明されたわけでもないのに、

それがあたかも事実であるかのように

おもいこまされてしまっていることは

たくさんあるんだってことを

この本を読んで気付かされました。
 

今日引用した箇所については、

1日10分の学習を

10日間、毎日続けて行ったときの学習効果は

10分の10倍(10×10=100)ですから、
使った時間は100分なので、

10日のうちのどれか1日だけ

100分学習するのと同じ時間を使っていますが、
では、同じ学習効果を生むのかというと、

そうではありません。

 

続けて繰り返すときは「べき乗」とあり

単純なかけ算ではないわけで、
前者は後者に比べものにならないくらい

学習効果が大きくなる(可能性がある)

って話なんですが、

なぜ、こんなになぜわかりやすい本が書けるのか、

わかりやすい話ができるのか、

その理由について詳しくは、

明日の記事にて書く予定でいます。

 

 

池谷さんの本は、とにかくよく売れているようで、

単著だけでなく共著を合わせると30冊を超え、

その総売上げ部数は

ナント200万部を超えるとのこと。

 

スゴイですね〜 (゜Д゜)

でも、池谷さんの本を1冊でも読んでみれば、

なぜそんなにも売れるのか、

ほとんどの人が納得するんじゃないでしょうか。

ちなみに、糸井さんの話のなかに出てくる

「ひとつのことを毎日、10年繰り返しさえすれば、

才能があろうがなかろうがモノになる」

言った人は吉本隆明さんで、
『15歳の寺子屋 ひとり』などの著書に

書かれているんですが、
関心ある方は次の記事をどうぞ!
吉本隆明『15歳の寺子屋 ひとり』の内容を整理してみて



この続きはまた明日!
 

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