寺子屋塾

光丘真理『キミが主役の勉強 勉強の「当たり前」をこわそう』

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光丘真理『キミが主役の勉強 勉強の「当たり前」をこわそう』

光丘真理『キミが主役の勉強 勉強の「当たり前」をこわそう』

2024/01/10

1/6に投稿した記事から、

年末から年始にかけて4回に分けて書いた

「2023年のふりかえり年間読書ベスト24」で

紹介した24冊の本の中うち、

このblogの記事でこれまで

あまり取りあげてこなかった本を中心に

内容を紹介することを始めていて、

今日がその5回目になります。

 

1/6の記事で紹介したのは、

1/3に投稿した(その3)の記事で⑨にとりあげた、

今村仁司編訳『現代語訳 清沢満之語録』

 

また、1/7の記事で紹介したのは、

1/4に投稿した(その4)で⑲にとりあげた、

佚斎樗山(高橋有・訳&解説)『新釈 猫の妙術 武道哲学が教える「人生の達人」への道』

 

一昨日1/8の記事で紹介したのは、

1/3に投稿した(その3)の記事で⑮にとりあげた、

ハナムラチカヒロ『まなざしの革命 世界の見方は変えられる』

 

昨日1/9の記事では、

1/4に投稿した(その4)で⑱にとりあげた

古田徹也『はじめてのウィトゲンシュタイン』を。

紹介しました。

 

さて、今日は

1/3に投稿した(その3)の記事で⑩にとりあげた

光丘真理『キミが主役の勉強 勉強の「当たり前」をこわそう』

についてです

 

現在の寺子屋塾は在籍している塾生の8割以上が

社会人の大人なんですが、

去年4月に1年ぶりに

小学生の入塾者がありました。

 

正解を出そうとすることよりも間違えること、

自分で問いを立ていろいろやってみることが

大事だってことを、

小学5年生の女の子にどう伝えたらよいものか

考えていたときに見つけたのが本書です

とコメントしました。

 

本書は、静岡県三島市に本社があり、

大学受験生への通信添削指導から始まって

現在では受験指導を中心に手広く

教育事業を展開しているZ会の出版物です。

 

以前は増進会出版部とも言われていた

このZ会という会社は、

創業者が事業を開始した時期が

昭和6年(1931年)という老舗で、

わたしの学生時代に既に有名になっていました。

 

Z会の問題集や参考書はクオリティが高く、

進学塾で専任講師をしていたときに

随分お世話になったものです。

 

そのZ会が10年後の日本社会を想定し

小学生高学年の子どもたちをターゲットにした

読み物を出版するということで、

その子たちが大学を卒業する頃には、

かなり大きな変化が訪れているでしょうから、

なかなかに攻めた内容になっています。

 

題して

「99%の小学生は気づいていない!?」シリーズで、

いまのところ11冊でているんですが、

本シリーズは今後も順次発刊予定とのこと。

 

『キミが主役の勉強 勉強の「当たり前」をこわそう』

については、

Z会のこちらのページをアクセスすれば

最初の13ページ分を読むことができます。

 

目次にあるように、本書のメインは

タイガ、シホ、カズの3人が登場する

4つの物語から成っていて、

監修者のお二人・井本陽久さん、土屋敦さんへの

インタビュー記事、そして最後に

教育ジャーナリスト・おおたとしまささんの

「読んで頭がモヤモヤしている人のための解説」

と続きます。

 

このおおたとしまささんが書かれた解説の

後半部分をつぎに引用してご紹介。

 

 

(引用ここから)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・・・さて、ここまで、おさらいのつもりでこの本に書かれている内容を、わたしなりの言葉に置きかえて解説してきましたけど、いちばん大事なことを述べていませんでした。それは、この本はだいぶ危険な本だってことです。

 

だってこの本を読むと、知識を教えてくれる学校や塾の勉強なんてしなくていい、いや、しないほうがいいと思えてきちゃいますよね。 そこのところ、みなさんはどう思います?学校や塾の勉強はしないほうがいいですかね?


「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」という慣用句があります。何事もやりすぎはダメだということです。勉強も同じです。

 

わたしよりももっと年上の昔のひとたちはよく「勉強しすぎるとバカになるぞ」と言ったものです。 勉強の仕方をまちがえると、教科書に書いてある知識を覚えるだけで手一杯になってしまって、自分のなかに生まれる問いを無視するようになってしまうんです。 問いは宝でしたよね。 宝物に気づけなくなっちゃうんです。 それがもったいないと、昔のひともこの本も、口をそろえて言っているのだと思います。たぶん。

 

では宝物を無駄にしないで勉強を続けるにはどうしたらいいか。 こんなふうに考えてみたらどうでしょう。


さきほど光合成やアントシアニンなどという難しい言葉が、カズの塾の教科書に出てくるという話をしました。 教科書には、光合成やアントシアニンの説明が、たった数行で書かれています。でも実際には、昔の科学者たちが、光合成のしくみやアントシアニンという物質の働きを解明するのに、何十年、場合によっては何百年という時間がかかっています。

 

教科書は、人類のそうした経験をまるでフリーズドライの食品のように、 ぎゅっと凝縮したものです。教科書をただ読んでもおもしろく感じられないのは当然なんです。だって、フリーズドライの食品をそのまま食べてもおいしくないでしょう。だから、先生がいるんです。

 

こんな言い方をすると先生に怒られそうですが、先生はお湯です。フリーズドライの食品にお湯をかけるとみずみずしさがもどるように、先生が教科書にみずみずしさを与えてくれます。光合成やアントシアニンを発見した科学者たちが感じていたわくわくを、少しでもみなさんにも感じてもらうようにするのが先生たちの役割です。

 

人類が経験したわくわくをぎゅーっと凝縮して、おいしいところばかりを味わえるようにしたのが、本来の学校での学びです。そして本来、塾は、学校だけでは物足りないというひとが通うところです。

 

でも、本当に申し訳ないんですけれど、そういう大切なことを、大人たちが忘れてしまっているんです。それで学校や塾の勉強がつまらないものになってしまいがちなのが現実です。勉強がつまんないと感じるのはみなさんのやる気がないからとかではないんです。

 

そんな現実のなかで、 みなさんには何ができるでしょう?

 

一つには、いいお湯の役割をしてくれる先生を見つけることです。 まあ、学校の先生はほとんど選べないんですけど。もう一つは、つまらない勉強を押しつけてくる大人は化石人間なんだと思って、話半分に聞いておくことです。 そして、身の回りにある 「なんで?」 を楽しみましょう。

 

言われたことをぜんぶやらなきゃいけないと思うと、学校はしんどい場所ですけれど、話半分に聞いてうまくやっとけばいいやと思えるなら、学校はそれほど悪い場所でもありません。 いろんな友達や先生がいるし、本来は、人類のわくわくがつまった玉手箱ですから。

 

で、賢いみなさんは、もうお気づきですよね。ここで大きな大きな壁が立ちはだかることに。そう、親の存在です。

 

いくら自分がわくわく学び続けようとしても、親がテストの点数ばかり気にしていたら、いつも小言を言われることになります。どこのおうちでも、多かれ少なかれ起きていることだと思います。

 

ここでみなさんは、なぜ親は小言ばかり言うのか? という問いに向き合うことになります。 なぜだと思いますか? もうページ数も残り少ないのでヒントだけ言っちゃいます。

 

不安です。

 

親は自分の不安な気持ちを吐きだすために小言を言っているのです。 親という生き物がなんで不安になるのかは、自分で考えてみてください。

 

いずれにしても、親が自分のなかにある不安に対処するのは親自身の責任です。その責任を子どもであるあなたが引き受ける必要はありません。それに、不安だって問いの一種です。 つまり親が親であるがゆえに得ることができた宝物です。 だから、自分が親を不安にしていることに、過度に責任を感じる必要もありません。


あんまりにも小言が多い場合には、自分のために心配してくれている気持ちはありがたく受けとめながら、言っている内容についてはこれまた話半分で聞き流しておきましょう。 みなさんも将来、 大人になれば親の気持ちがわかります。 そのときに、実感をもって「ありがとう」を伝えれば、きっとぜんぶゆるしてもらえますから、大丈夫です。


仮に親が多少わからず屋でも、化石人間になっていない大人が身の回りに一人でもいると、その存在がみなさんの人生において、きっと大きな支えになるはずです。たとえば、この本の最後に出てくるイモニイやツッチーみたいなひとたちのことです。 みなさんの身近にも誰かいないかよく探してみてください。

 

光丘真理『キミが主役の勉強 勉強の「当たり前」をこわそう』 おおたとしまささんの解説(後半部分)

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(引用ここまで)

 

わたしが同じシリーズの11冊のなかから

この1冊を選んだ理由でもあるんですが、

この本で一番良いなぁとおもったところは、

次のようなことでした。

 

勉強する上で大事なことは、

知識を広く知って正しく記憶することではなく、

自分でいろいろ体験してみることや、

問いを立て、自分なりに考えて

答を出そうとする姿勢にあるんだと。

 

そして、そのことがひとりの人間だけでなく、

複数の人たちがいろんな角度から語っている形で

編集されているところです。

 

問いを立てるってホント大事なんですね。

 

わたしがそのことに心底気づいて

考える方向を改めたのは、

34歳のときでしたが、

そのことに十代で気づけたら、

たしかに10年後に

まったく違った人生が開けてゆくことでしょう。

 

本書には、読者にさまざまな問いかけが

なされていますが、

分からないままで終わっていて、

正解はどこにも書いてありません。

 

そう、すべて答は自分の中にあるので。

 

 

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●2021.9.1〜2023.12.31記事タイトル一覧は

 こちらの記事(旧ブログ)からどうぞ

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