落合陽一「超AI時代の世界、日本、そして人間」(その2)
2026/10/23
昨日10/22に投稿した記事の続きです。
昨日は、落合陽一さんが
PIVOTチャンネルにゲスト出演され
2026.3.19にアップされた
次のYouTube動画をご紹介しました。
【超AI時代の世界:戦争がまた起きる】落合陽一のAI活用/1年以内にAGI/研究自動化、AI創薬が進む/落合信彦と今の時代/「AI×戦争」の融合/フィジカルAIの中心は国防/米中の勝者/エネルギー戦争
今日は文字起こしテキスト2回目をお届けするので
昨日投稿した(その1)を未読の方は、
以下を読まれる前にまずそちらからどうぞ。
本日投稿するのは、
文字起こしテキストの2回目で
16分42秒から30分08秒あたりまでを。
インタビュアーは佐々木紀彦さんです。
(文字起こし・ここから)
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ChatAIは能力の再分配か、格差拡大か
落合:これ、ちょっと見ると面白いんだけど。これはAIが出していたものと、あと左は、誰だったかな、論文なんですけど。左は、タスク実行時間がどんどん伸びているというグラフです。右は、コストが年々下がっているというグラフで。つまり、最新のAIモデルと同じものにアクセスするためのコストは、年間で900分の1ぐらいになる速度で減少しているんですよ。
佐々木:そんなスピードで。
落合:はい。めっちゃ安くなっているんです。そう考えると、ちょっと前のGPTみたいなものは、もう0円で使えるわけですよね。地球上どこでも誰でも。ということは、そんなに潤沢な資産を持っていない国でも、それを兵器に組み込んで使うことは、今でもできるわけで。そういった意味では、年間で900分の1に下がっていくというのは、めちゃくちゃ安くなっているので。
これがずっと続いている限り、オープンソースはものすごく広がっていくし。あと、タスク実行時間は、GPT-4のときは8分とかで、大体、駄目になってきちゃったんですけど、今は、うちのでも大体10時間とか働けるので。朝、動かしたら、その10時間後までAIがずっと働いて、しかも人間の100倍ぐらいのスピードで。そう考えると、これは一体、何なんだろうと思うと、1つは「再分配なのか」と思うこともある。
佐々木:どういうことですか?
落合:つまり、ベーシックインカムなどでお金を配ってはいないけど、今、能力は配っているじゃないですか。
佐々木:そうか。誰でも、ほぼ使える。
落合:誰でも、ほぼ使えるし。「新しいシステムを作って」と言われたら、AIで作れる。でも、大抵の人はあまり作らないんだけど、「作りたければ作れるでしょ」という感じになっているんですよ。これは、お金を配っているのにすごく似ていますよね。
佐々木:ただ、能力の再分配ではありますけど、それを100倍にできる人と1,000倍にできる人の差、レバレッジの差はありますよね。
落合:そう。レバレッジの差は埋まっていないんですよ、これは。能力は分配されているけど、レバレッジの差が埋まっていなくて。だから、これがさらに格差を広げるんじゃないか、というのは、そのとおりなんだけど。最低保障というか、ボトムラインでは、実はものすごく能力の高いものを配り切っているので。そうすると、これは結構、残酷で。「Claude Codeを使えばサービスを作れるから、それでお金を稼げばいいじゃん、君も」とか言われても、大体、「そんな無慈悲な」という感じがするじゃないですか。
佐々木:はい。そうすると、AIも限りなく無料になっていく。フィジカルなところも限りなく安くなっていく。そのあとに有限なものは、やっぱりエネルギーだということで、エネルギーのところに……。
落合:そうですね。ちょっと、これを。

佐々木:何ですか、これ? AIバブルが崩壊しても、残るもの。
落合:これね、よくこの話をしているんですけど。鉄道、運河、オープンソース。この画像もAIが作ったので、僕が作っていないんですけど。投下資本が毀損したり、バブルが崩壊したりしたときは、Rがすごく下がるんで。ピケティの言う、R(資本収益率)>G(経済成長率)の話です。Gが上がるときにRが上がるのは普通なんですけど、値崩れすると、Rがある一定のところまで下がるんですよね。過剰投資がいきなり飛んだりすると。
そういう時代があったかというと、鉄道狂時代とか。鉄道をいっぱい敷いたんだけど、並行線を敷いても、別に関係ないので、鉄道を敷いた人は潰れちゃう。だけど、それによって安価な物流網ができたから、産業革命が完成していったということがあって。つまり、インフラを敷いた人は儲かっていないが、そのあとに出てきたものは、すごく効率的にいった。
運河もそうですよね。運河も今、できているけど、それによって収益が取れるかといったら、そう簡単には取れない。光ファイバーもそうですよね。光ファイバーを敷いて、それでそんなに儲かったかというと、あれはほとんど供給過剰だったので。ただ、そのおかげで価格が安くなって、YouTubeなどが出てくるようになった。
今、何になっているかというと、明らかに供給の多いオープンソースモデルやLLMを、大量に使っていることになるんですけど。このあと、どうなるかといったら、誰でもそれを安いコストで、公共財のように使えるようになるので、一気にガラッと変わる可能性が高い。つまり、鉄道狂時代のあと、産業革命では物流もすごく発達しましたし。
AI時代の、この乱立してお金をめっちゃ使ったあとの世界は、今、有名な会社が生き残るかどうかは別として、あらゆるところにAIが入って、めっちゃ安いコストで、あらゆるものを作ったり、イノベーションしたり、発明したりしていく時代に、ほぼほぼなってきたので。これがAIバブルがもし弾けたとしても、そのあとの、ソフトウェアがめちゃくちゃ出てくる世界というのは、別に弾けないですよね。
佐々木:ITバブルが崩壊したあとも、ITはどんどん進みましたもんね。
落合:はい。そのITバブルが崩壊したあとに進んでいったことで、多分、すごく重要なのは、光ファイバーや高速なインターネット通信で。重たいサービスがいっぱいできたじゃないですか。動画サービスとか。主に動画ですね。今度は何かといったら、今、重たいのはAIなんですけど。その重たいAIが軽くなったり、速くなったり、安くなったりするのが、今の時代なので。いつ弾けるかは分からないですが、それが進んでいる時代だと思うんですよね。
佐々木:それによってOpenAIなどの株価が落ちたとしても、それは大きい問題ではないんですね。
落合:大きい問題ではないですね。
指示を待たずに動く、AIエージェント
落合:最近、ちょっと気になっているのは、OpenClawがめちゃくちゃ普及しているじゃないですか。OpenClawは、勝手にパソコンを動かしてくれる、面白いエージェントボットなんですけど。ちょっと流行ったんですけどね。それで何が問題だったかというと、変なサイトなどを踏んで、プロンプトインジェクションを受けて、勝手に情報を漏らすなどしていたじゃないですか。
だけど、人間が見ていないところで勝手に動いているAIが、いっぱい増えてきているので。もはやAIが書くことや、その行動を、人間は読み切れない。AIが作ったものをAIが見るのが、普通になってきていて。そうなってくると、抜本的に世界の見方や作り方が変わるだろうな、というのはあるんですよ。例えば、僕がOpenClawを入れていて一番びっくりしたのは、さっき言った、親父が亡くなったときに、OpenClawからメールが来て、「お父さんのこと、聞いたよ。残念だったね」と、AIに言われたんですよ。
佐々木:慰めてくれるんですね。
落合:というか、「どこで知ったの?」みたいな、まず。僕のOpenClawは、僕のTwitterを観測していたり、僕に関する情報をインターネットから勝手に集めていたりするので。何かがあると、普通にEメールしてくるんですけど。メールでそう言われて、「あ、どうも」みたいな。何が言いたいかというと、もう勝手に動いていて、こっちの意図とは全く関係ないんですよね。2、3回、やばい事案を起こしそうになったので、僕は最近、OpenClawは入れていなくて、自分のエージェントを使っているんですけど。
佐々木:もう、自律的な人間みたいになってきているということなんですか?
落合:自律的に。だから、ここに来る前にも、僕のカレンダーを勝手に読んで、「今日は何があるから、こんなことがある」というのを、大体、勝手に作っておいてくれるんですよ。僕は何も指示を与えていないんですけど。
佐々木:いいですね。
落合:そうそう。来る前に、「これをしゃべってね」と来て。それを見ながら、「ああ、そうだね。こんな話に、きっとなるよね」と。
「スケーリングゲームの話をするのかな」とか、「AIで産業はどう変わるのかな」とか。「超AI時代の日本は、半導体とエネルギーの話になるのかな」とか、「DXの話になるのかな」とか。
今日の予定全部について、教えてくれているじゃないですか。今までは、ChatGPTなどだったら、自分で聞いて、Deep Researchなどを回して、何を話すかを選んできていたんですけど。それがプッシュされてて、予定管理されていて。何を話すか、何をやらないといけないのか、システムを作るとか、お客さんがこうなってきたよね、とか。
佐々木:いかにも私が聞きそうなこととか、もう全部、読まれていますね。もう佐々木、いらないですね、やっぱり(笑)。
落合:これは、なかなかすごいです。その想定質問、最後の質問が、「超AI時代を生きる日本人に、メッセージをお願いします」。
佐々木:言いそうですね、これ(笑)。ここまで、もうやってくれているんですね。
落合:そう。これ、AIが結構やってくれて。予定が始まる前に、結構、勉強になるじゃないですか。
1,000万円の見積もりが、200ドルになる世界
落合:最近、よかったのは、Claude Codeが100万トークンを読めるようになったこと。それと、Cコンパイラーを作るのはすごく大変なんですよ。つまり、コンパイラーを作るのは結構、大変な作業なんですけど、「Cコンパイラーが2万ドルぐらいのAPI費用で作れたよ」と言っているので。
すごくでかいサービスだったり、今まで作るのが難しかったものだったり。大抵のサービスは、車輪の再発明でいいじゃないですか。ちょっとだけ新しいところはありますよ、世の中のサービスというのは。ただ、大体99%ぐらいのコードは車輪の再発明なので。そのためにかかるコストが、数万ドルに落ちちゃっている。でかいシステムを作っても、このくらいなんだ、と。
この前、僕も、とあるサービスを作らないといけなくて、とある会社さんに「見積もりをお願いします」と、2社ぐらいにお願いしたら、どちらの会社も1,000万円ぐらいと言われたんですよ。「1,000万円か。50万円で何とかなりませんか?」と言ったら、「50万円では駄目ですね」となったんですけど。エージェントに頼んで、朝起きたらできていたので、大体200ドルぐらいでできて。
佐々木:はあ。
落合:そういう感じの価格破壊が、いろんなところで起こってくるのが、今だなという感じ。そういう道具が3月には割とそろったので、「割と便利だよね」となっている。去年の12月には、それができなかったんですけど、3月には、ほぼほぼできるようになって。なかなかすごいなと思っていますけど、これは大きい違いです。
佐々木:そういうことですね。
落合:あと、日本のAI政策で7兆円を入れるとか、やっているじゃないですか。体面費では金額は少ないんですけど。AI基本計画は2025年の終わりに閣議決定しているので、「AIを使ってやっていくぞ」というのは、大体、今、進行中で。政権も変わっていないし。それはそうだな、と。
佐々木:そういうものが出そろって、AGIも来て。さっき言ったように、投資の時期もピークが来て、いろんなものが無料になって。次に来るAI革命は、一番、何なんですか?
落合:フィジカルAIなんじゃないですか。
佐々木:やっぱりフィジカルAIなんですか?
落合:フィジカルAIじゃないですか。ピクセルの上にあるものは、もう大体できるようになったんですよ、きっと。ほぼほぼ、画面の上では。画面の上ではないものを作らないといけないので。薬とかロボットとか、運転とか、ご飯作りとか。人間がやっている膨大なタスクがあるんですけど。ただ、ChatGPTの言うことを聞いて料理するのでも、料理はおいしく作れますけどね。
佐々木:確かにね。
フィジカルAIの中心は、国防になるのか
佐々木:フィジカルAIにはいろいろありますけど、今、見えているドローンもあれば、自動運転もある。一番、何が中心になるんですか?
落合:戦争……。今、大規模投資という意味では、やっぱり国防にはかなりお金を使っていますよね。
佐々木:国防か……。そうしたら、フィジカルAIが中心になって、その中心が国防なので、国防がこれから一番、盛り上がるということですか?
落合:国防……いや、うれしくないですけどね。
佐々木:みんなの生存をかけた戦いですもんね。
落合:ヒューマノイドが家にいて、洗濯物を洗ってもらうのは重要だけど、洗濯物より国防のほうが重要そうですよね。
佐々木:そうですね。
落合:家の中で働く分には、人間が代わりに働けばいいけど、戦場で働くのは、人間は働きたくないじゃないですか。
佐々木:かつて、国家が生存をかけて、艦隊などをどんどん作ったじゃないですか。日本も頑張って、戦艦「大和」を作りましたけど。そういうのと同じように、フィジカルAIが、もう国力を決める、みたいな。
落合:国力、それから安全保障は、それで決まってきますよ。厄介なのは、今、国連が機能していないじゃないですか。国連が機能していないので、そうなってくると、そういったエスカレーションに、ほぼほぼ対応できないですよね、今。
米中の競争と、日本が生み出せる価値
佐々木:フィジカルAIの覇権をめぐる米中の争いは、どうなるんですか? 結局、今後、どちらが勝つんですか?
落合:いい質問ですね。GDPの伸びを各国で比べた、この図はアメリカと日本なんですけど。アメリカが伸びていますね、と。日本は1945年以降、急激に追いつこうと頑張っているじゃないですか。2番手が追いつくのは、結構、早いですよね。AIでも同じことがあって。例えば、OpenAIやAnthropicは、めっちゃお金をかけてトレーニングしていますけど、後発のモデルが、先発のモデルを使って蒸留して、いいモデルを作ろうとしたり。結構、過当競争が起こっていて。
そうすると、2番手のところの投資額は、そんなに大きくなくても、多分、伸びるんですよ。だから、追いつくのは結構、簡単かも。簡単というか、ぎりぎりまでいくんですけど。追いついて、価格が安くなって、そのよかったモデルが無料で使えるようになって、という循環を繰り返していくので。それぞれのモデルが成長していくところは、2番手がやっていくことが多いので。さっきの図のジャパンをチャイナに置き換えると、すごく分かりやすくて、中国がすごく強い。
あと、ハードウェアとソフトウェアと数学を、全部統合した人材が、かなりの量、中国にいるので。そういった意味では、中国のフィジカルAIは、これからものすごく発展していくと思うんですね。ただ、そのうえで、我々は何をやればいいかといったら。インフラなども重要じゃないですか。インフラは、AIでジャカジャカッと直せるようになるし。
ただ、フィジカルAIで出てくるもので、最終的に人間が価値だと思うものは何だろう、ということ。便利だと思うものは結構、出てきそうだけど、価値だと思うものは、我々の国は結構、得意そうだな、と。例えば、文化だったり、芸術だったり、住みよい環境だったり、おいしいご飯だったり。意味づくり、価値づくりのほうを、どうやって我々はAIとともにやっていけるか、というところだと思うんですよ。
AIとともにやっていって、我々が多分、成功しているのはデジタルIPなどじゃないですか。ポケットモンスターしかり、任天堂しかり。インターネット上にあるデジタルゲームのIPで、すごく強いものには、日本のレガシーなものが多いですよね。そういったものの開発が楽になるかといったら、開発は楽になるんですよ。
誰でも、きっとポケモンのゲームを作れる。でも、誰でもポケモンのゲームを作れるけど、パチモンのポケモンをプレイしたい人はいないので。そうやって見ると、成長したIPをどんどん増やしていきつつ、その裏にあるバックエンドは作りやすくなっていくという、結構、おいしい状況だと思うんですよね。(30分08秒あたりまで)
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(文字起こし・ここまで)
この続きはまた明日に!(^^)/

