落合陽一「超AI時代の世界、日本、そして人間」(その3)
2026/10/24
昨日10/23に投稿した記事の続きを。
一昨日から、落合陽一さんが
PIVOTチャンネルにゲスト出演され
2026.3.19にアップされた
次のYouTube動画をご紹介しています。
【超AI時代の世界:戦争がまた起きる】落合陽一のAI活用/1年以内にAGI/研究自動化、AI創薬が進む/落合信彦と今の時代/「AI×戦争」の融合/フィジカルAIの中心は国防/米中の勝者/エネルギー戦争
今日は文字起こしテキスト2回目をお届けするので
昨日投稿した(その1)を未読の方は、
以下を読まれる前にまずそちらからどうぞ。
本日投稿するのは、
文字起こしテキストの3回目で
30分08秒から本動画の最後までを
インタビュアーは佐々木紀彦さんです。
(文字起こし・ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日本のものづくりと、安全保障の行方
佐々木:IP系のものは伸びると思うんですけど、フィジカルAIも含めた軍事的なことについて言うと、アメリカはソフトウェアには強いですけど、今、ハードウェアはそんなに強くなかったり、船を作れなかったり。それで、兵器不足にも陥っているじゃないですか。日本は、アメリカの軍産複合体のようなものに、どんどん融合していくんですかね。それで、日本がものづくりを担うような感じに。
落合:今の政権を見る限りは、軍産複合体に融合していくんじゃないでしょうか。パランティアの彼とか、来ていましたよね。アンドゥリルだって、多分、普通にやっているんじゃないですか。
佐々木:日本が大好きだとか、彼は言っていましたよね。
落合:パーマー・ラッキーは、昔から日本が好きな人なので。オキュラスが買収された頃から、日本によく遊びに来ていましたし。
佐々木:これは日本として、その道しかないというか、その道で行ったほうがいいと思いますか?
落合:重厚長大のものを、我々の国で作るのは得意じゃないですか。ただ、タンカーなどは、もう韓国に代わっちゃったりしたと思うんですけど。でも、あれはやっていっても、全然いいんじゃないかとは思いますけどね。だって、背に腹は代えられないですからね。
佐々木:生存のためですもんね。
落合:生存のためには。
佐々木:そうすると、中国対米、日、韓など、そういう同盟国との戦いみたいな感じになるんですか?
落合:対立構造は、もう、とっくにそうなっている気がするんですけど。それが戦禍を生むかどうかは、ちょっと分からない。核を持っている国同士がやるかというと、それはちょっと分からないな、という話ですよね。ただ、僕は、そこの政治の専門外だけど。
例えば、トランプと中国と台湾の状況を考えたときに、台湾は別に核武装しているわけではないので。そうすると、そこに手を出したら、今度はアメリカ対中国になってしまうと嫌なのでというディールがすごくありそうだな、という感じはしますけど。
佐々木:そういうことですね。軍需隊も含めた重厚長大のところでもやりながら、IPなど、日本の強いところでやっていくと。
落合:IPとか、ご飯とか。あと、触りたくなるプロダクトとかじゃないですかね。車とか。ああいうのは、日本人はやっぱり感性がいいので得意だし。機能は何でもよかったプロダクトを、我々がもう作る必要はなくなったんだな、というのは結構ある。
つまり、AIが出てきて、すぐ作れるようになったので、「これは何で作ってもよかったのにな」と思っているものは、別に何で作ってもよくて。ただ、フロントエンドの気持ちよさとか、そういったものを人間がどう楽しむかという、場所だったり、目的だったりするものを、いかにして作るかが、すごく重要になっていて。

「機械と作る」から「機械が作ったものを選ぶ」へ
落合:あと、その系統で言うと、左が、人間が機械と協調して作る時代で、今は、自動で作られたものを見て選ぶ時代になっているんで。何が変わっているかというと、今までは、人間と機械が協調して何かを作っていたんですよ。だけど、今は、もう機械と協調して作ると遅くなるので、自動で作られたものを選ぶようになっていて。
佐々木:おお。
落合:だから、パラダイムが変わっているんですよね。「機械と協調して何かを作りましょう」ではなくて、「エージェントが自動で作ったので、機械を見て選びましょう」という時代になっているので。道具の形は変わるから、「それは研究しないとね」というところは研究しているんですけど、今、そういう時代になっている。無限に曲が出てきたら、どの曲を選ぶか、選ぶほうが難しいんですよ。作るより。
佐々木:そうですよね。
落合:だから、道具のパラダイムが大きく変わってきた。あと、テストをしたり、被験者を回したりするのも、人間ではなくなってきて。エージェントがいっぱい出てくるようになって便利だったので、政治のインフラサービスを作ってみようかなと思って。
佐々木:落合さんが作ったんですか。かっこいいね。
落合:はい。面白いのは何かというと、例えばブロードリスニングのサービスを作ろうと思って、作っていたんですけど。つまり、人間が管理するとよくないじゃないですか。エージェントだけが管理していてほしいじゃないですか。つまり、人間がいると、派閥性が生まれたり、主義主張が出てきちゃうので。
人間ではなくて、エージェントだけがずっといて、それで意見などを勝手に整理して並べている、みたいな世界があったらいいなと思って。そんなものを作って、集めたりしていたんですけど。これ、サービスは何個あるんだろう。いっぱいあるんですけど、こんなふうに。
例えば、各選挙データがわっと並んでいて。議員のところにアクセスすると、「誰が議員だっけ」というのが、人を集めてきて、わちゃわちゃっと並ぶようになっているんですけど。ま、何が言いたいかというと、それを全部APIベースでやっているし、エージェントが管理するという設計で作っていて。
でも、こういうでかいサービスを作るのに、大体どのくらいかかるんですか、といったら、「一晩ちょいぐらいかな」という感じなんですよ。で、そうなってくると、ものを人間主導では作らなくなるじゃないですか。そういうのを、最近面白いなと思って見ているんですけど。
佐々木:でも、これだけ生産性が上がるなら、みんなでいろんなことをやるよりも、一番センスのいい人、作りやすい人、得意な人が、バーッと大量に作ったほうが、一番いいものが世の中に生まれますね。
落合:はい。なので、「1人ユニコーン」が多分、増えるんですよ。
佐々木:そうですよね。
落合:それは、異常に増えると思う。つまり、1人でサービス全体を作れちゃうので。全体を作って、「楽しいから、これでよくない?」という人が、結構、増えそうな気がするな。
佐々木:確かに、こういう分野で、さっき言ったIPとか、日本人が才能を持つ分野はいっぱいあるので。そこで世界級に爆発する人が、いっぱい出てきそうですね。
落合:出てくると思いますね。
デジタルネイチャーが現実になり始めた
落合:それを前々から「デジタルネイチャー」と言っているんですけど。やっと、人間と計算機が並列化して、人間の定義が変わりつつあって、身体が拡張されて、人とロボットがネットワークを作った社会になるというのが、なってきたね、というのはありますよね。
デジタルネイチャーまでは十分、見えているので。
そうすると、今年は世の中で、どこまでデジタルネイチャーが進むのかな、というのがあって。サム・アルトマンのところも最近、AIでコードが出てくると、「これは、もはや自然物に近い」とか言い出すようになってきて。あれを自然として受け止めるか。もう、スーパーヒューマンとしては受け入れられない気がするな、これは。人間がすごいというよりは、環境が十分に整っちゃったので、割と何でも作れるという状態になってきて。ほぼほぼ、新しい自然に近づいているという。
佐々木:そういうことですね。分かりました。
エネルギー戦争と計算資源のこれから
佐々木:さっきのAI、戦争の話の中で、エネルギー戦争は、結局どういう結末になるんですか?やっぱり原発などになるんですか?
落合:まず1点は、原子力じゃないですか。原子力に戻ってくる。核融合発電はするけど、まだ時間がかかる。太陽光や再生可能エネルギーのようなものを作っていくのは超重要。データセンターの需要に関しては、めっちゃデータセンターがエネルギーを食うように見えるけど、ローカルのLLM[Large Language Model・生成AIなど大量言語モデル]は、実はそんなにエネルギーを食わないので。
めっちゃ使うところと、めっちゃ安くするところを、融合しながら。最終的には、エネルギー効率のいい方向に、専用チップなどを作っていくので。今までみたいな、データセンターへの莫大な投資ではない、もうちょっとスマートなモデルが、いっぱい出てくる。この前、サムスンとAMDが契約したりしていたんですけど。NVIDIA一強ではなくなるかもしれないが、いろんな戦略を持ったコンピューターが出てくるようになる。
今、推論がめっちゃ速い半導体が、よく出てきていて。あれを使って開発すると、もっともっと速くなるので。今、みんなClaudeやGPT-5.4などにアクセスしているけど、あれがオンボードで、超高速の推論が組み込まれたものとして出てくると、それでものすごい勢いで、プロダクトを作ったり、開発したりすることが、オフラインでできるようになる。そういうのは、めっちゃ普及しそう。今年度末ぐらいには。

佐々木:オイルショックのあとに、日本も省エネで頑張ったように、原子力も含めて、そこにも全力投入しなければ……。
落合:そうですね。[今が]1973年の頃にすごく似ているのは、1964年にオリンピックをやって、1970年に万博をやって。今は、2020年にオリンピックをやって、万博をやって、オイルショックが来て。
佐々木:確かに。
落合:ほぼほぼ、高度経済成長のときと同じ末尾をたどっていて。でも、ここから当時、バブル期が来たじゃないですか。成長投資の上振れでボーンと来たので。その当時に生まれたIPで、我々は今、生きているので。ここから、どう文化がボーンと出てくるかが、もう1つ、今の勝負だと思いますね。
佐々木:そうしたら、経済も文化も、結構、花開く時代になる可能性があるということですか?
コンピューターは、「働くための道具」ばかりだった
落合:うん。なぜかというと、我々はITを使って、仕事用の道具ばかり作ってきたんですよね。「パソコンを開いて、あなたは何をするの?」と聞いて、「ゲーム」という人もいるけど、結構[多くの]人は仕事をしているじゃないですか。Excelしたり、パワポを使ったりばかりですよ。ExcelとパワポをAIがやるのだったら、人間は何の道具を使うかというのは、まだ未知じゃないですか。これはコロナのときに思ったというか、研究者たちとよく話していたトピックなんですけど。
なぜかというと、コロナのとき、会議用のツールしか俺たちは持っていなかったから。ネットワークにつないでオンライン飲み会とかしていたけど、全然つまらなかったんですよ。つまり、人類は働くための道具しか、コンピューターの上に、ほとんど入れてこなかったので。
佐々木:ああ。
落合:働かないための道具は、でも、安直にゲームだけではないじゃないですか。別にゲームが好きな人ばかりではないし、ほとんどゲームをやらない人も、いっぱいいるわけで。音楽を聴くとか、映画を見るとか。でも、どれも受動的で、こんなふうに人と会っておしゃべりするのに比べたら、あまり刺激の少ないコンテンツばかり。コンテンツというか、道具ばかりなんですよ。
でも、公園に行けばブランコもあるし、自然を見ながら座るのも、バーベキューをするのもいいけど。そういった道具は、コンピューターの中にはないですからね。コンピューターから食べ物が出てくるかといえば、出てくるようなものを作っている人たちもいるけど、まだまだ全然だし。つまり、コンピューターは、実は働くため、しかも、その「働く」が、めちゃくちゃホワイトカラーの仕事ばかりをやる道具として作られていて。
その矛盾を突破するのが、多分、AIエージェントがなじんできた時代なので。今とか、そろそろですね。多分、みんな、今のコンピューターの使い方ではない、すんげえバカな、すんげえ楽しい使い方を、いろいろやるようになると思うんだけど。それは、ゲームという話だけではなくて。
佐々木:へえ〜そこの、ライフのところに、日本は可能性がありそうですね。
落合:はい。めっちゃ得意だと思います、むしろ。本当に、道具がダサいというか、効率的な道具ばかり作ってきたんですよね。それって、すごくもったいなくないですか?
佐々木:ちょっと無駄な、ライフ軸のためのパソコンやスマホの使い方ができる。
落合:そう。ライフ軸のものを作る。ほら、川上量生さんが新しいサービスを作ったとか…
佐々木:SNS[PoPoPo]ですね。(※3月18日にスタートしたSNS PoPoPoは9月17日15時にサービスを終了)
落合:あれなども、全然、無駄なことに、お金というかエネルギーを使っているので。ああいうものが、すごく大切になってくる。AI時代に、人間は何に時間を使うのか。
佐々木:その流れで、最後の人間のところ、仕事や生活のところでいくと。仕事の割合は、結局、減るんですか?
【次回予告編】
落合:直接、生産的なことはロボットがやるようになって、AIが知的生産をするようになると。人間は、人間同士の関係をどうやったら面白く、楽しく、文化的な価値にできるか、みたいなことに、多分、結構な時間を使うようになるはずなんですけど。ある意味では、AIエージェントを全世界の人に配っているから、生産設備という意味では、圧倒的な生産設備を、もう、みんなが持っている状態にすごく近い。
それなのに、「じゃあ、なぜ新しいものが出てこないの?」と言われたら、それで新しいものを作ろうとする人が、極めて少ないからかもしれません。これは、人間が今、突きつけられている本質的な問題で。
佐々木:「キャラクターを磨くことが大事だ」という話と、「これから大恋愛時代が来る」という話をしていましたけど、その2つは変わりないですか?
落合:変わらないし、あとは、超AI時代に必要なのは〝縁〟です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(文字起こし・ここまで)
1本目の動画の文字起こしが最後まで終了したので、
2本目の動画の紹介はまた明日!(^^)/

