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易経の歴史学への応用ーーー文明法則の発見について

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易経の歴史学への応用ーーー文明法則の発見について

易経の歴史学への応用ーーー文明法則の発見について

2022/06/26

日曜は古典研究カテゴリーの記事を投稿しています。

 

易経の考え方の土台を一言で要約するなら、

陰陽論にあると言ってよいでしょう。

 

そしてその陰陽論の特質を簡単に述べれば、

物事にはすべて周期性、相補性があるということで、

これは、アジア地域(東洋)に共通する

ものの見方と言ってよいでしょう。

 

たとえば、一日のうちの昼と夜の巡りがあります。

夜が明けて、だんだん太陽の光がさすと、

明るさが増し、気温も上がってきますが、

昼過ぎにピークを迎え、

日が暮れて、太陽が沈むとふたたび暗くなって

温度も下がります。

 

昼を陽とし、夜を陰とするなら、

陰極陽転・陽極陰転・陰極陽転・・・というふうに、

陰と陽の交代、変転が絶え間なく毎日

繰り返されています。

 

この陰陽論を、歴史の見方に応用したものが

法則史学(文明法則史学)の考え方で、

1938年に村山節さんが発見されました。

 

写真の左側は、村山さんの著書で、

1975年に書かれた『文明の研究』です。

 

わたしは1991年にこの法則史学を知ったのですが、

そこに至る伏線がいろいろあるので、

そのうち書くことになるとおもいますが、

昨日まで書いてきた「観察力」の話にもつながるので、

今日は、村山さんが文明法則を発見されたときの

エピソードをご紹介することにしました。

 

以下、法則史学の普及啓蒙活動をされている

林英臣さんの著書『地球のバイオリズム』所収の

村山さんへのインタビュー記事からの抜粋です。

 

(引用ここから)

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Q:文明法則史学はどうやって発見されたのですか?


A:昭和13年、27歳の夏に不思議な体験をしたのです。そのころ散歩などの目的で八幡宮をよく散歩していたのですけれど、神に手を合わせたり、おみくじを引くことは一度もしませんでした。神様に頼っても仕方がないという気持ちがあったからです。


ある午後のことです。夕焼けが空一面を赤く染めていました。境内を散歩した後、二の鳥居近くの並木道を歩いていたとき、突然空から声が落ちてきました。「歴史は直線の分析より始まる」というのです。大きな声でね。心の中から起きた声ではなく、天からそういう言葉が降ってきて私の心を驚かせました。


「歴史は直線の分析から始まる」ーーー家へ帰ってもこれが頭の中でわんわん響いてしかたがない。しばらくの間考えに考えて「直線は時間軸、分析といったら目盛を読むしかない。つまりこれは物さしかも......統計かな」と考えました。 当時私は天才論の研究をしていました。天才学の世界的潮流はフランシス・ゴルトン。この人はダーウィンのいとこで、ユージェニクス(優生学)の開拓者です。彼は「天才は遺伝である」と主張しています。私は考えました。遺伝は社会的に大量に変動はしない。天才が平均分布するのならゴルトンの説は正しい。しかし、平均分布しないならば彼の説は間違いである。


そこで私がとりかかったのは、ギリシャの天才時代の研究です。広告の裏をつなぎ、直線を書いてそれに1センチ間隔で目盛りを入れていきました。紀元前800年から1000年間以上に渡り、ギリシャの政治、経済、文化、哲学、芸術などで活躍した 天才の名前や生まれた年、没年などを記入していきました。そうしてわかったことは、天才は平均分布していないということです。ゴルトンの学説は成り立たないのです。


同様に次々と年表に記入しながら、中国、ローマ、フランス、イギリスと歴史研究を続けた結果、全体のパターンが似てくることに気づきました。どうも法則があるらしいのだが、これだけでは世界史全体の法則を云々するには資料が足りません。そこで大世界年表を作ることを思い立ちました。


これが文明法則史学研究の始まりです。まず幅1メートルくらいの紙をつないで廊下に敷き、これに目盛りを入れていきました。1センチを10年としました。紀元前であろうと、二十世紀であろうとあくまで10年=1センチの等間隔です。100センチで1メーター。人類六千年の歴史でもって6メーター。六畳二室の勉強部屋のほかに家に長い廊下があったことが幸いしました。これに時間軸を直線で横に入れて、横線から上はアジア、下はヨーロッパ、中央付近は中央アジアとインドにして、さまざまな歴史上のできごとを毎日毎日書き入れていきました。寝ている時間とトイレ、食事の時間以外は年表に向かいました。文明のところは赤鉛筆にしよう、天才については紫にしようという具合に色わけして記入しました。廊下はガラスを閉めきってインコ小屋にしていたので、インコの糞が落ちてくる。その下でタバコを吸いながら一日中年表をながめていたら、ある日ハッと気づくことがあったのです。


文明はかたまり、集合するらしい。赤や紫の鉛筆で記入したのが固まって出る。決して平均に分布するのではない。たとえば、紀元後四世紀。ここでギリシャ・ローマ文明が衰退する。次に五世紀から十三世紀まで東洋の大文明。唐、宋、ササン朝、サラセンなどの大文明はみなこの時期に集中している。このアジアの大文明期にヨーロッパは中世、暗黒時代。そして1300年ころからヨーロッパがルネッサンスを迎えると、逆にアジアは衰退に向かっていく。どうも文明には西と東の二本の波があり、それが約800年で周期的に交代しているようだ。本当にそうか?と何度も何度も調べ直しました。

私が文明の法則を見つけだしてから10年以上経った1953年に、ワトソンとクリックらの学者によって遺伝子のDNAの二重螺旋構造が明らかになりました。文明もDNA同様に、東の文明波と西の文明波が二重螺旋になっているらしい。地球の北半球が夏のときに南半球は冬。同様に東の文明圏が栄えているときには西の文明圏は休止状態です。こうして文明や歴史の流れをマクロ的にとらえて考えていきますと、法則史学の考え方ができてくるのです。

 

※文明法則の図版は文明法則史学websiteより

 

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