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先崎彰容「日本とは何か」 (その5)日本が自画像を取り戻すには――古典、学び直し、知のサロン

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先崎彰容「日本とは何か」 (その5)日本が自画像を取り戻すには――古典、学び直し、知のサロン

先崎彰容「日本とは何か」 (その5)日本が自画像を取り戻すには――古典、学び直し、知のサロン

2026/10/18

昨日10/17に投稿した記事の続きです。

 

日本思想史を研究されている

先崎彰容さんが2025年7月19日に

PIVOTチャンネルにゲストに招かれた際の
「日本とは何か」と題されたYouTube動画を

文字起こししながらご紹介してきました。

 

昨日までの記事を未読の方は

まず以下から先にどうぞ。

・先崎彰容「日本とは何か」 (その1)国際秩序の転換と情報革命――福澤諭吉の警告

・先崎彰容「日本とは何か」 (その2)破壊的な孤独と、国家の軸――日本は何を取り戻すのか

・先崎彰容「日本とは何か」 (その3)ルールをつくる力と、古典に学ぶ日本の姿――本居宣長と「もののあはれ」

・先崎彰容「日本とは何か」 (その4)西郷隆盛と本居宣長から学ぶ死生観——見えなくなった死と、失われゆく営み

 

YouTube動画を再々度シェアしておきます。

 

【日本とは何か?西郷隆盛、本居宣長、福澤諭吉の日本論】

本日投稿する記事は、

文字起こしテキストの5回目で

動画の65分12秒あたりから最後まで

インタビュアーはPIVOTの佐々木紀彦さんです。

 

(文字起こし・ここから)
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日本の自画像を、未来像につなげていくために

佐々木:この80年、僕たちはアメリカニズムの中で生きてきました。まとめに入っていきますけれども、そこから、いい意味で何かを取り戻して、新たな自画像を未来像につなげていく。そのためのヒントは何でしょうか。一人ひとりができること、あるいは社会全体でできることについて、伺いたいと思います。

 

今日も歴史の話がいろいろありましたけれども、アメリカや欧米の大学のいいところは、あらゆる学問で、ちゃんと歴史から学んでいくことだと思うんです。日本は、そこが弱いのかなと思ったりします。先ほどの『万葉集』の話なども、特にエリートの人たちには、必須の教育として学んでもらう。あるいはエリートだけではなく、本当にあらゆる日本人が、そうしたことを感じられるようにする。どうすれば、日本は自画像を取り戻せるんですかね。

 

 

リベラルアーツと言葉の厚み

先崎:まず一つ、肯定的かつ実践的な話をすると、昨今、日本で「リベラルアーツ」という言葉が、少しはやっているでしょう。僕は、これはそんなに否定すべきではないと思っています。「リベラルアーツって、要は昔の教養学部でしょう」とか、いろいろ突っ込みはできるんですけれども、やっぱり、そういう分厚いものがなければ、言葉に迫力が出てこない。

 

結局、人と人とは、最後にはその人の言葉によって説得されて動くと、僕は思っているんです。ところが、言葉が厚みを失っているのに、その言葉に足をすくわれる。それをポピュリズムと言うわけでしょう。だから、ポピュリズムを防ぐためにも、やっぱり重厚な言葉が必要なんです。ただ、全員がそれを持つことはできない。

 

だから僕のように、勉強する時間を与えられている人間は、自覚を持って、歴史を学んでいかなければいけない。その上で、西郷の話や『万葉集』の話が、何か今に、ぴちぴちと躍動しているように伝えられればいい。お刺し身を食べているような感じですね。1000年も冷凍してあったものを、解凍して食べてみたら、味が一緒だった、というような。

 

佐々木:なるほど。

 

先崎:そういう形で、歴史についての気づきを皆さんに提供できたら、いい意味で古典を届けられているのかなと思います。そういう意味でも、リベラルアーツ、いわゆる古典教育のようなものが、今、少し復活しているように見えるのは、僕は結構好きなんですけれどもね。

 

佐々木:そうですよね。自画像を知りたいという潜在的な欲求は、すごく感じるんですけれどもね。

 

先崎:そうでしょうね。

 

佐々木:やっぱり、みんな迷っているというか、それが欲しい。

 

 

学び直したいのに学び方が分からない

先崎:そうなんです。そして、そのための勉強方法が、実は分からない。いろいろなところで教えていて、僕が感じるのは、そのことなんですよ。人間は不思議で、大学生ぐらいのときに「勉強しろ」と言っても、全然勉強しないんですね。ところが30代、40代ぐらいになると、急速に、勉強し直したくなる。リスキリングというか、そういう気持ちになるんです。

 

そのときに皆さんが一番困っているのは、勉強の仕方が分からないことと、どの本がいい本なのか、出会い方が分からないことです。ここに、僕は自分の役割があると思っています。これだけ、おびただしく本がある中で、「この本は読みやすくて、入りやすいよ」と案内することです。例えば、最近ここ何週間か、日本で問題になっていた、お米の問題がありますね。

 

佐々木:はい。

 

先崎:実は戦前にも、全く同じことがあったんですよ。

 

佐々木:そうなんですか。

 

先崎:日本の内地の米が足りないからと、満洲のほうから大量に輸入した。さらに、増産を命じたんです。そうしたら翌年、かえって米価が下がって、恐慌に陥る。日本史の資料集にある、大根をかじっている貧しい子どもたちや、お姉さんが東京へ身売りされていく、ああいう状態になる。

 

だから今、「米を増産しろ」と言っているけれども、これが本当に正しいのか、と。こういうことを、すごく分かりやすく書いた本があります。新潮新書から出ている片山杜秀さんの『国の死に方』です。これは、すごく読みやすい。僕は政治家の方や、「勉強をどこから始めたらいいかな」という一般の方には、必ず資料の最後に読書案内を付けるんです。

 

まず、星一つの読みやすい本として片山杜秀さん。もう少しレベルが高いものなら、誰々さんの天皇論、といった具合に。そうやって、お土産を持って帰ってもらうことをしています。

 

佐々木:そういう講座を、やってほしいですね。

 

先崎:そうなんです。勉強したい人は、いっぱいいると僕は信じています。

 

 

学びが軌道に乗るまでを手伝う

先崎:ただ、勉強というのは、ゼロを1にするというか、軌道に乗るところまでが難しいんですよね。だから、軌道に乗るお手伝いをする。そのためには、いい本に出会うことが大事ですし、その本を分かりやすく伝えることも大事です。僕は大学生の頃から、こう言われてきました。「先崎、いいか。本当に優秀な人は、難しいことを分かりやすくしゃべれるやつなんだ」と。やっぱり、そこを学者が頑張ってやることなのかなと思いますね。

 

佐々木:そうですね。それを通じて、いろいろな人と出会えれば、孤独の解消にもなりそうですね。

 

先崎:そうなんですよ。だって、それは昔のサロンでしょう。知のサロンですよね。今それを、こういう映像メディアでやっていくのは、一つのあり方だと思います。

 

 

対談を終えて――本との出会いを入り口に

佐々木:分かりました。ということで、今日はたっぷり、先崎さんにお話を伺いました。こちらの本は本当にお薦めなので、ぜひ読んでいただければと思います。ほかにも、私、持ってきたんですけれども。

 

先崎:ありがとうございます。

 

佐々木:吉本隆明さんの『国家とはなにか』。こちらには、長い解説を書かれていらっしゃいます。それから、『維新と敗戦』などですね。

 

先崎:はい。

 

佐々木:これは別の方ですけれども、宇野重規さんの『日本の保守とリベラル』も、これまでの歴史がよく分かる本です。福澤諭吉『文明論之概略』は(現代語に訳され)解説を書かれていらっしゃる。いろいろありますので、ぜひ先崎さんの本を読んでいただければと思います。また、読書講座のようなものも、ぜひやりたいと思います。本日は、ありがとうございました。

 

先崎:どうもありがとうございました。

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(文字起こし・ここまで)

 

この動画の内容に対するわたしのコメントは

明日の記事で投稿する予定です。

 

読書のガイド役であることは、

寺子屋塾の重要な役割だと認識しているので、

文字起こしの今日引用した箇所を読まれると、

わたしが何故この動画を

この寺子屋塾ブログで紹介したかったか、

ピンとくる方がいらっしゃるかもしれません。

 

これまで、夏目漱石、西郷隆盛

福澤諭吉、本居宣長と

江戸時代から明治時代にかけての日本史における

重要な人物が紹介されていました。

 

先崎さんとはちょっと違う角度から

これらの人々の生き様や業績、

日本、日本人について読み解く素材として、

松岡正剛さんの『千夜千冊』で

関連するページを以下に紹介しておきます。

 

長編が少なくないだけでなく、

さまざまなリンクがめぐらされていて

文字を追うだけでも

充分手応えがあるとおもいますが、

今日は文字起こしの分量がやや少なめだったので、

読み解きにチャレンジしてみてください。

 

・第143夜 折口信夫『死者の書』

 

・第412夜 福澤諭吉『文明論之概略』

 

・第583夜 夏目漱石『草枕』

 

・第992夜 小林秀雄『本居宣長』

 

・第1167夜 『西郷隆盛語録』

 

・第1144夜 柳田國男『海上の道』

・第1628夜 梅棹忠夫『行為と妄想』

・第1792夜 橋本治『知性の転覆』

 

 

この続きはまた明日に!(^^)/

 

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