寺子屋塾生への33の質問(プロローグ)
2021/09/11
「寺子屋塾では何を教えているんですか?」・・・
指導者の立場にあるわたしですが、
実はこれほど困る質問はありません。
なぜなら、寺子屋塾では体験学習が主で、
わたしが塾生に
「何を学びたいですか?」と問いかけながら、
学習者自身が自分に合った学習カリキュラムを
自分でつくれるようになっているんですが、
あらかじめ分かっていることや
わたしが教えたい学習コンテンツを、
どの塾生にも一律に、
一方的に教えるということはほぼしていないためです。
結局、何を学ぶべきかは個別に異なるので、
指導者のわたしにできることは、
各々が実体験するなかで、
個別の課題が浮き彫りになるような場や、
課題の解決を促すようなツールを提供し、
そうしたツールを自分で使いこなせるように
機会を提供することぐらいだからです。
そんな状況を鑑みて、
一人ひとりの多様性と個別性が大事にされる
寺子屋塾であればこそ、
同じ問いを各々に投げかけることで、
そこがどんな場であり、
どんなコミュニティであるのかが
浮き彫りになるのではないかと、
塾生のひとり・本田信英さんが、
『谷川俊太郎の33の質問』(写真)にならって
「寺子屋塾生への33の質問」を考案し、
塾生たちひとりひとりに
インタビューし始めたのが一昨年のこと。
これまでに8名の塾生への
インタビュー内容が公開されており、
この寺子屋blogでその内容を
一人ずつ順番にご紹介しようとおもい立ちました。
ただし実際のインタビュー内容を
ご紹介するのは明日からにして、
今日はインタビュアーである
本田さん自身の前口上というか、
インタビュー記事に先立って投稿された
プロローグ記事からご紹介しようとおもいます。
では、どうぞ〜
---------
愛知県の名古屋市中村区のビル、地域資源長屋。階段で3階まで上ると「寺子屋塾」がある。
ノックして、扉を開ければ、膨大な本が出迎えてくれる。
小さい子は5歳から大人は60代の人までが通う不思議な塾だ。老若男女関係なく集まり、らくだメソッド(※)に取り組んだり、対話を重ねたりしている。
「寺子屋塾とはなんなのか?」
それについて説明しようとすると、だれしもが言葉に詰まる。
具体レベルで行われていることは説明できても、「なにをしているの?」「結局どんな場所なの?」の問いになると答えに窮してしまう。
だから、「まあ、一度行ってみなよ」とお茶を濁す。
もしかしたら、それは輪郭を捉えようとしているからではないだろうか?
つまり、白紙の中に寺子屋塾の絵を描こうとしている。けれど、見る角度によって、色も形を変えるため、だれもしっかりとつかむことができていない。
では、反対にしてみればどうだろう?
背景を塗りつぶしてみれば、おのずと輪郭は浮かび上がってくるのではないだろうか?
つまり、そこに集まる塾生に同じ質問を投げかけ、答えを重ね合わせていけば、炙り絵のように寺子屋塾が顔を覗かせると考えた。
そうして「寺子屋塾生への33の質問」はできあがった。
それは一体どんな形をしているだろうか?
あなたにはどんな形に見える?
※頻出ワード解説
【らくだメソッド】……平井雷太氏によって開発され、寺子屋塾生が取り組むプリント形式の教材で、算数・数学、英語、国語の3教科がある。
”「できること・うまくいくこと」よりも、「できないこと・うまくいかないこと」を大切にする学習法です。それによって、幼児から大人までの学習者・ひとり一人の生きる力を育んでいきます。「自分にできないことは何?」「これができるようになるためには、自分は何をしたらいいの?」らくだメソッドの学習では、幼児でさえもデータから自分の学ぶべきプリントを決め、 学習の主体となっています。”(らくだメソッド公式サイトより)
【井上淳之典】……1959年名古屋生まれ。コンピュータ・プログラマー、経営経済研究所アシスタント、進学塾講師等を経て、1994年「らくだメソッド」などの対話型体験学習教材を用いた〝セルフデザインスクール・寺子屋塾〟を開設。教室経営の傍らさまざまな地域づくり事業に関わり、NPOや企業、大学等で研修講師、ファシリテーターを務める。現在教室は名古屋市中村区本陣通にあり、活動の詳細はblog「往来物手習い」(旧ブログ)を参照。
【経営ゲーム】……双申株式会社が制作した、経営を疑似体験できるアナログゲーム。寺子屋塾で提供されている学習ツールの1つ。(公式サイト)
【未来デザイン(考程)】……株式会社博進堂から出版されている「集団創造化プログラム」に記載されているプログラムの1つ。6つの考程を通して、事業や人生の理念から行動計画までを落とし込む。寺子屋塾で提供されている学習ツールの1つ。
始まり
今から、あなたに33の質問をします。
曖昧な問いや答えにくい質問、答えたくない質問もあるかもしれません。
3回までは、パスしても構いません。
この内容は録音し、文字に起こして公開します。公開前に一度確認していただいて、個人名を伏せるなどの配慮はしますが、その点はご了承ください。
それでは始めます……
Q1 .旅行に行くとき、場所、日時、メンバー、予算、やることのうち、なにを最初に決めますか? また、それはどうしてですか?
Q2 .桃太郎の全ての登場人物の中で、あなたが最も共感するのは?
Q3 .五感[聴覚・視覚・嗅覚・味覚・触覚]の中で大事にしていることは?
Q4 .あなたは、まわりの人からどんな人だと言われることが多いですか?
Q5 .井上淳之典さんの第一印象は?
Q6 .寺子屋塾に入ろうと思ったきっかけはなんですか?
Q7 .寺子屋塾生になっていなかったら、いまのあなたはどうなっていましたか?
Q8 .塾生になる前と後とで、生活にどんな変化がありましたか?
Q9 .寺子屋塾の空間は、あなたの知っている他のどんな場所と似ていますか?
Q10 .寺子屋塾から連想するキーワードを3つあげてください。
Q11 .寺子屋塾で絶対起こらないことがもしあるとしたら、それはなんでしょう?
Q12 .このまま塾生を続けたとして、3 年後に、あなたはどうなっていたいですか?
Q13 .「入学式も卒業式もありません」がキャッチフレーズの寺子屋塾ですが、あなたはどうなったときに、あるいはどういうタイミングで卒業しようと思っていますか?
Q14 .いままでにあなたに影響を与えた塾生はいますか?
Q15 .あなたの知っている範囲でかまいませんので、ほかの塾生を見て、聞いて、気づいたことがあれば挙げてください。
Q16 .もし塾生に共通のものがあるとしたら、それはなんだと思いますか?
Q17 .知り合いを寺子屋塾に 1 人誘うとしたら、それはどんな人ですか? その理由もあれば教えてください。
Q18 .いまのあなたは、どんなことに対して苦手意識を持っていますか?
Q19 .「『事実』と『真実』の違いは?」と問われたら、なんと答えますか?
Q20 .「できないこと」に直面した時、いまのあなたならどう対処しますか?
Q21 .あなたにとって、居心地の良い空間に欠かせないことはなんですか?
Q22 .あなたが「一緒にいたい」と思える人ってどんな人ですか?
Q23 .らくだメソッドをやっていて、あなたにとって最大の学びはなんでしたか?
Q24 .あなたが自分で気づいているのに目を背けていることは?
Q25 .メリットがないとわかっていても、喜んでやりたいことは、どんなことですか?
Q26 .「あなたらしさ」ってなんですか?
Q27 .もし、過去の体験を1つだけ変えられるとしたら、なにを変えますか?
Q28 .自分が心がけている「習慣」を1つだけ思い浮かべてみください。あなたはそれをどのようにして身につけましたか?
Q29 .物事を「継続」するとなにが起こりますか? 過去の体験でも想像でもかまわないので答えてみてください。
Q30 .あなたは、寺子屋塾のなにに対して会費を払っていますか?
Q31 .10 年後の自分に尋ねたいことは?
Q32 .「10 年後の自分に尋ねたいこと」をいまのあなたが答えるとしたらなんと答えますか?
Q33 .いまのあなたにとって一番大事な「問い」は?
※もとの記事はこちらから確認できます