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心のありか

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心のありか(つぶやき考現学 No.91)

心のありか(つぶやき考現学 No.91)

2022/02/02

ねえ、きみはたぶん心って
身体の中にあるって思ってるよね?
でも、ぼく、気づいちゃったんだ。
心は身体の〝外〟にもあるんだって。
 
たとえば、ある年の夏休みに、
ぼくはヨーロッパを
旅したことがあったんだけど、
そのとき過ごした
居心地のイイ風景を想い出すとき、
心はその場所にあるんだ。
 
また、きみにとって大切な人なら
2度と会えない
死んでしまった人であっても、
その人が生きてた時の語り口を
いつでも想い出せるだろう?
 
そう。心は時間も空間も
らくらく飛び越えていける。
 
だから、ぼくの心も
こうしてきみを想うときには、
ぼくの身体の中にはなくて、
きみとぼくの〝あいだ〟を
行ったり来たり揺れている。
 
だけど、ぼくの心は、
そうして揺れながら、
きみの身体の外にある
きみの心と響きあう場所を
探しているんじゃないかな。(2018.5.26)

※井上淳之典のつぶやき考現学 No.91

COMMENT:この詞は、2018.5.26に名古屋市西区中小田井にある浄土真宗の寺院・長善寺にて行われた、小野美由紀さんと矢野青剣さんの「クリエイティブライティング講座」での作品。小倉紀蔵『新しい論語』のなかにある「孔子の仁とは、人と人との間に偶発的に立ち現れる〝いのち〟のことである」というフレーズに触発されたことをきっかけに書いたものです。

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