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世界は贈与でできている

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世界は贈与でできている

世界は贈与でできている

2022/07/01

今日は金曜なので読書の話題を。

 

寺子屋塾生の本田信英さんから、

「最近読んだ本の中でも1番のヒットだった。」

と教えてくれた本が、

近内悠太『世界は贈与でできている

資本主義の「すきま」を埋める倫理学』です。

 

さて、そもそも「贈与」とは何でしょうか? 

 

プレゼント、供物、利他など、

いろいろ言葉はおもいうかびますが、

本書のまえがきに、

著者により次のように定義されています。

 

僕らが必要としているにもかかわらず

お金で買うことのできないものおよびその移動を、

「贈与」と呼ぶことにします。

 

とても明確ですね。でも、

 

僕らはお金で買えないもの=贈与のことが

よく分かっていません。

 

というのが著者の問題意識のようです。

それで、

 

僕らにまず必要なのは、贈与を正しく語る言葉です。
そして、その言葉を通して、

贈与の原理を見出すことです。

 

というように、本書のアウトラインが語られます。

 

ちなみに、出版社NewsPics Publishingにより、

本書の内容の一部が

3本の記事として公開されているんですが、

まえがき全文を読まれると、

全体像を概略つかめるように感じたので、

興味のある方はこちらの記事をご覧ください。

 

わたしはまだ、本書のまえがきを読んだだけなので、

全体についての意見は語れないのですが、

本田さんの読後レポートはこちらの記事で読めます。

 

また、本田さんは7/9(土)午後に

この本の読書会を企画しているので、

詳細はこちらのFacebookイベントページをご覧ください。

 

 

わたしがこの〝贈与〟という言葉を聞いて、

最初におもいだしたのは、

20代前半に出会ったマクロビオティックの創始者

桜沢如一『永遠の少年』にある次の言葉でした。

 

・・・はっきりいっておきますが、

おくりものをすることは遊びであって、

けっして世のため、人のためなどという、

ぎこちない義務や道徳ではありません。

また、感謝されたい、

というような気分でもいけないのです。

そんなのは偽善であり、商売であり、詐欺であり、

インチキです。

おくりものをするのは、自分が自由な

幸福な人になるためのトレーニング(鍛錬)なのです。

義務だとか道徳だとか思っている間は、

ぜったいにできません。

かりにできたとしてもムダです。

実は感謝されても、もう失敗です。

 

つまり、贈りものをするのは、

あくまで自分自身が

自由で幸福な人間になるためのトレーニングであり、

見返りを求めないギフトなのだから、

ということで、

とりわけ、人から感謝されても失敗というところは、

わたしには結構大きなインパクトがありました。

 

人に対して感謝の気持ちを表現しようとする姿勢は

大事なことだといえるでしょう。

 

でも、だからといって、

「ありがとう」を言えばイイってもんじゃない。

 

たとえば、有名な話ですが、タレントのタモリさんが、

生涯の恩人といえる赤塚不二夫さんに対して、

生前に感謝の言葉を一度も言われたコトがなく、

告別式での弔辞で初めて語りました。

 

肉親以上のつながりを感じている人に対して、

お礼を言う時に漂う他人行儀な雰囲気が

たまらなく嫌で、赤塚さんも同じ考えだと

他者を通じて知っていたというのが

その理由のようです。

 

人と人を結びつける「ありがとう」もあれば、

人を遠ざけてしまう「ありがとう」もあるんだと。

 

あと、もう1冊贈与という言葉からおもいだした

10年近く前に読んだ

内田樹&岡田斗司夫『評価と贈与の経済学』

さいごに挙げておきましょう。

 

著者の近内さんは、内田さんの贈与論に対して

最後の方でコメントしているようですし、

比較されるのも面白いかも知れません。

 

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