そばとうどんの比較で見えてくる陰陽の法則
2024/07/09
先日、教室にやってきた塾生の一人から
次のような質問を受けたので、
そのときにわたしが話したことを
整理して記しておきます。
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Q:先月投稿された、陰と陽についての記事を
いろいろ読んでみたんですが、
十翼に書かれた漢文は難しかったし、
「陰と陽を日常生活に活かす」というところが、
あまりピンと来なかったので、
もうすこし噛み砕いて話して貰えますか。
A:わたしたちは常識と呼ばれるものに
普段からとり囲まれているので、
その常識を外したところで物事を捉えたり、
考えたりすることが
とても難しくなってしまっているんですね。
だから、陰陽の考え方というのは、
善悪二元論から離れて
物事をニュートラルに捉える練習でもあるわけで。
ただ、概念を頭の中だけで弄んでいるだけでは
仕方がないので、それを日常生活において
具体的に活かして行くことが大事だと。
わたしが易経のことを20代の頃から学んで
ヨカッタとおもっている理由の筆頭は
その点に尽きるからなので。
マクロビオティックの桜沢は
「陰陽一日、正食三年、真生活七九年
無双原理は丸一生よ」という言葉を残していて、
易経を東洋哲学の根幹をなす
実用的な弁証法だと捉えていました。
そういう意味でいうと、わたしが
先月1ヶ月間ずっと書き続けていた記事のなかでも
次の5つはとりわけ重要です。
・陰と陽とは何か⑬「日常生活での応用(その3)仁王像の不思議」
・陰と陽とは何か⑭「日常生活での応用(その4)食べ物にみる陰陽」
・陰と陽とは何か⑮「日常生活での応用(その5)運勢、運命、使命」
ただ、狛犬や仁王さまの阿吽が
陰陽の象徴と言われても、
食べ物の話とはすぐにはつながらないでしょう。
わたしの場合、20代の前半からずっと
40年以上やっていますから、
まあ、ぼちぼちやってください。
練習問題もたくさん挙げておきましたから。
たとえば、蕎麦と小麦の陰陽について
すこし考えてみましょうか。
蕎麦好きでいつも蕎麦ばかり食べているわたしでも、
夏になるとうどんやそうめんなど、
小麦の麺類を食べる機会が増えます。
冒頭の写真は、蕎麦とうどんの相盛りですね〜
日本国内でのそば処というか
蕎麦の美味しい地域は、
長野県、新潟県、福井県、山形県など
寒い地域が多いですよね。
逆にうどんの美味しい地域として
全国ダントツのトップは香川県ですが、
福岡県、大阪府と続くようで
西日本が多いとありました。
寒い地域に多い蕎麦は、身体を温めるのに対して
暖かい地域に多い小麦は、
身体をゆるめて冷やすわけです。
だから、夏の暑いときにいただく、
素麺や冷や麦は美味しく感じるのでしょう。
マクロビオティックの陰陽表現ですが、
蕎麦と小麦を比較してみたときに、
蕎麦は小麦よりも陽性であり、
小麦は蕎麦よりも陰性となります。
また、この陰陽という概念は、絶対的なものでなく、
相対的なものなので、
何かと何かを比較して初めて言えることに
注意してください。
「100円は多いか少ないか?」って問われても
答えられないのと同じです。
100円は、10円と比べれば多いけれど、
1000円と比べれば少ないというように、
基準がなければ決められないので。
だいたい名古屋近辺が
東西の分かれ目らしいんですが、
ネットの情報を見ると、
麺類を提供するお店でも、東日本にはそば屋が多く、
西日本にはうどん屋が多いって書いてありました。
めんつゆでも、
大阪と東京では随分違っていて、
関東が塩気の多い濃い味に対して、
関西は塩気の少ない薄味が主流になっていますね。
マクロビでは塩や醤油は
陽性食品の代表ですから、
これも、陰陽の法則どおりになっています。
こんなふうに、穀物からつくる同じ麺類でも
蕎麦と小麦という2つの違いから、
日本の食文化をみていくだけでも、
その現象がなぜそうなのかを考えることで、
見えない陰陽の法則性が
そこに存在していることに
気づくことができるんですね〜