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ショーペンハウエル『読書について』より(「今日の名言・その4」)

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ショーペンハウエル『読書について』より(「今日の名言・その4」)

ショーペンハウエル『読書について』より(「今日の名言・その4」)

2022/01/17

 本を読むとは、自分の頭ではなく、
 他人の頭で考えることだ。
 たえず本を読んでいると、
 他人の考えがどんどん流れ込んでくる。
 自分の頭で考える人にとって、
 マイナスにしかならない。
 なぜなら他人の考えはどれをとっても、
 ちがう精神から発し、ちがう体系に属し、
 ちがう色合いを帯びているので、
 決して思想・知識・洞察・確信が

 自然に融合して

 ひとつにまとまってゆくことはない。
 
  ※ アルトゥル・ショーペンハウエルのことば

  (1788-1860:ドイツの哲学者)

  『読書について』より

 

 

ショーペンハウエルの

読書という行為に対するこの率直な言葉は、

率直であるがゆえに、辛辣な響きも含んでいて、

敬遠したくなる人もすくなくないかもしれません。

 

わたし自身も十代の頃から今日まで

さまざまな書物を読み、

また、名古屋に中村教室を開いて以降は、

にんげん図書館との共催企画つんどくらぶで、

読書会という場のファシリテーター役として

場に関わることも経験してきているので、

読書ガイドとして、本の選び方や読み方について

意見を求められる機会も次第に増えてきました。

 

でも、本というのは固定されたメディアですから、

ただ読んでアタマの中の知識を増やしたり、

書かれた内容を理解しようとしたりするだけでは、

どんどん情報が溜まっていくばかりで、

現実にはショーペンハウエルが言っているとおり、

プラスどころか、マイナスにしか

ならないこともあるでしょう。

 

本には価値ある情報が記されていますが、

その価値を自分自身で活用しようとしても、

現実にはそれほど簡単ではなく、

本に書かれた情報に接するときには、

それなりに注意して臨む必要性を感じます。

 

たとえば、APU立命館大学学長・出口治明さんが

『ビジネス書は後出しじゃんけんのようなもの』

と書いておられたんですが、

成功したビジネスマンの話を本にしたり、

話を聞ける講演会などを企画すれば

多くの人が飛びついて盛況を博すのでしょうが、

そうした本の読者や講演会の聴講者から

ビジネスで成功する人が

たくさん輩出するということはほとんど起きません。

 

なぜなら、成功したビジネスマンの話というのは、

言ってみれば過去の遺物であって、

個人的な体験として語られている他者の言葉を、

あとから丁寧にたどって理解できたとしても、

それを読んだ人のビジネスがうまくいくかどうか

ということとは、別の次元の話だからです。

 

そもそも全く別の環境に生まれ,

別の条件で育ったような一読者の立場で、

本で読んで知り得た情報だけを切り取って、

そのまま活用しようとしたところで

無理があるというのは当然のことでしょう。

 

知識や情報というのは、あくまで

考えるための素材にすぎなくて、

本に書かれたことをもとに

参照、対比、統合しながら

自分で考察してみることや、

どんな精神構造がその言葉を生み出したのか、

その人の精神構造そのものに

迫ってみようとする姿勢が大切だからです。

※画像はこちらのページより拝借しました

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