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3つの幻想領域の〝次元が違う〟ってどういうことですか?

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3つの幻想領域の〝次元が違う〟ってどういうことですか?

3つの幻想領域の〝次元が違う〟ってどういうことですか?

2022/02/19

今日は、最近中村教室であった、

塾生とのやりとりを書いてみようとおもいます。

 

Q:1/25のblog記事で書かれていた、

吉本隆明さんの3つの幻想領域についての話で、

各々が〝次元が違う〟というのが、

あまりピンと来なかったんですが、

どういうことか、もうすこしわかりやすく

教えていただけますか?

 

A:では、TVドラマ「逃げ恥」第8話にある

次のシーンをもとに話してみましょう。

 

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〔百合の運転する自動車の中で〕
風見:津崎さんのお陰で、昔のことを思い出しました。
百合:その話おもしろい?
風見:ちっとも!
百合:じゃあ、話さなくっていい!
風見:中学の頃、ぼくはモテたんです。
百合:ふふっ(笑)話すんだ。
風見:初めてできた彼女は、どちらかというと、
   地味な女の子でした。ぼくはとても、

   彼女が好きだった。ところがある日……
―――
〈風見の中学時代の回想シーン〉
ゆかり:風見くんといるのがつらいの。

    風見くんは、カッコ良くて、

    スポーツもできて、女子に人気で。
風見青年:……
ゆかり:私は地味で可愛くないし、

    なんであの二人がって、みんなに言われて…
風見青年:そんなこと気にしなきゃいいだろ!
ゆかり:風見くんにはわかんないよ!
風見青年:……
ゆかり:わたしと風見くんは、全然ちがうんだもの!
―――
風見:そんなことぼくにはどうしようもない。
   彼女が自信が持てないことは、

   彼女の問題なのに。

   あなたにどれだけ拒絶されても、

   大好きだよって、言ってあげれば

   よかったんでしょうか? 

   向こうは僕の気持ちなんか考えちゃいないのに、

   自分ばかりみている彼女に、
   何を言えばよかったんでしょうか?

 
※TVドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』第8話より

(引用ここまで)

 

この回想シーンに出てくる

風見さんの中学時代の彼女・ゆかりさんの話から、

彼女がなぜ辛いのか、何に苦しんでいるのかを、

3つの幻想領域という観点から考えてみると、

わかりやすいんじゃないかとおもうんです。
 

 ゆかりさんとゆかりさん自身の関係

 →個人幻想領域

 ゆかりさんと風見青年との関係

 →対幻想領域

 ゆかりさんとクラスメイトとの関係

 →共同幻想領域

 

というように、3つの幻想領域は、

そのまま対人関係に置き換えられるんですね。

 

つまり、ゆかりさんがゆかりさん自身を

どう見ているかということと、

風見青年がゆかりさんをどう見ているか

ということと、

クラスメイトがゆかりさんをどう見ているか

ということは、すべて別次元のもので、

その良し悪しについては、

比べようにも比べられないものなんです。

 

ゆかりさんと風見青年との問題は、

対幻想次元にある問題だから、

風見さんとの二者間で折り合いを

つければいいだけの話なのに、

そこに、みんなが二人をどう言っているかという

共同幻想次元の話を持ち込み、

さらに、ゆかりさんが自分自身に対して

自信を持てないという、

個人幻想次元にある問題までを

投影させてしまっているわけです。

 

風見青年も

「そんなこと気にしなきゃいいだろ」

と言っていますが、

残念ながらその想いは

自分自身についての個人幻想に囚われて、

風見青年と比較している

ゆかりさんには伝わりません。

 

異なる次元にある3つの幻想領域を混同し、

その良し悪しを比べたり、

正解探しをしたりすることで

どのような苦しみを生んでしまうかが

わかりますか?

 

別次元にあるから、食い違うのは当然のことで、

良し悪しを言ったり、

正解を探そうとしたりするのでなく、

自分がどの幻想領域にある見解を

大切にしたいかだけを考えればいいわけです。

 

 

このように、「異なる次元」というのは、

結局、関係意識の違いということで、

ひとつの現実に対して、

異なる意味づけ、価値付けをするということで、

それぞれの幻想領域に固有の

繋がりと縛りを生み出すわけです。

 

つまり、対幻想や共同幻想というのは、

個人幻想の単純加算ではありません。

 

対幻想=個人幻想+個人幻想

共同幻想=個人幻想+個人幻想+個人幻想……

ではなく、

各々の個人幻想に還元できないものなんです。

 

たとえば、水素(H)と酸素(O)が化合して

水(H₂O)になりますが、この水は、

水素や酸素とは別の物質ですよね。

 

つまり、「水素」さんという男性と、

「酸素」さんという女性の二人が

結婚したとして、

この二人のパーソナリティは

個人幻想領域にあるので、

全く別のものなんですが、

結婚すると「水」さんという

対幻想を新たに生みだすわけです。

 

この、共同幻想が単純加算でないという話を、

逃げ恥のTVドラマで具体的にいうと、

ゆかりさんの言葉に、

「なんであの二人がって、みんなに言われて…」

というのがありますが、

たぶんゆかりさんは、

実際にクラスメイト全員から

言われたわけではなくて、

言われたとしても

きっと一部の子から言われただけで、

場合によっては、

そのように言われたという事実はないのに、

ゆかりさんがそのようにおもいこんでいるだけ

ということもあり得ます。

 

にもかかわらず、それが、いつのまにか

「みんなに言われて…」に変わってしまうわけで。

 

これは、大脳思考の為せる技でもあるんですが、

この「みんな」という共同幻想は、

一人ひとりの個人幻想を加算したものではなく、

ある種の普遍性を抜き出した

抽象的な概念にすぎないということです。

 

ちなみに、この共同幻想に対する被害妄想が

行きすぎて病的になったのが、

統合失調症といわれるもので、

自分自身についての個人幻想との

折り合いが付けられないことが

病的になったものが

うつ病とか、双極性障害といわれるものなんですが、

いわゆるメンタルトラブルというのは、

3つの幻想領域のいずれかに

不調を来した状態と言っていいでしょう。

 

 

※冒頭の図版は宇田亮一『吉本隆明〝心〟から読み解く思想』から拝借しました。

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