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ETV特集「谷川俊太郎と死の絵本」を観ました

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ETV特集「谷川俊太郎と死の絵本」を観ました

ETV特集「谷川俊太郎と死の絵本」を観ました

2022/03/04

2/12(土)の夜NHK-Eテレ「ETV特集」で放映された

「ぼくは しんだ じぶんで しんだ

 谷川俊太郎と死の絵本」を見ました。

 

1/20に発売された絵本『ぼく』(岩崎書店)

2年にわたる製作プロセスに光を当てた番組です。

 

語りは、TVドラマ「逃げ恥」で森山みくりの

叔母・土屋百合役を好演した石田ゆり子さん。

 

BGMとして流れていた曲がすべて

フランスの作曲家モーリス・ラヴェルのピアノ曲で、

マ・メール・ロワやソナチネの第二楽章など、

わたしの好きな曲ばかりだったというのも、

画面に釘付けになってしまった

理由のひとつでした。

 

東日本大震災をきっかけに“死”をテーマにした

絵本シリーズを多く手掛けるようになった

フリーの絵本編集者・筒井大介さんは、

長年の盟友である絵本編集者・堀内日出登巳さんに

協力を仰ぎ、“子どもの自死”という

難しいテーマに向き合います。

 

筒井さん、堀内さんの2人が

テキストづくりに関してオファーを出した先が

日本を代表する詩人のひとり

谷川俊太郎さんだったんですが、

谷川さんもテーマがテーマだけに

即答せずに返事を保留されました。

 

それでも、4ヶ月後には谷川さんから

『ぼく』と題された詩が筒井さんの元に届きます。

 

それから筒井さんは、死という重くて暗い世界に

対抗できるような明るい絵本にしたいと、

井上荒野さんの小説『あたしたち、海へ』の表紙絵を

描いたイラストレーター合田里美さんに制作を依頼。

 

ちょうどコロナ騒動が始まったタイミングで

企画がスタートしたため、

直接顔を合わせて行われたのは初回の打合せのみ。

 

番組は、2年近くにわたってリモート会議で行われた

制作プロセスを丁寧に追いかけていきます。

 

350冊を超える絵本制作に関わって来られた

超ベテラン詩人90歳の谷川さんに、

絵本の描画は初めてという

37歳の合田さんの組み合わせからも

企画サイドの冒険的な意気込みが感じられました。

 

わたしは絵本『ぼく』をまだ

手に入れていないのですが、番組内での

谷川さんの語りがとってもすばらしく、

また、高校時代の一番の友人を

自死で亡くしたわたしにとっては、

常に考え続けてきたテーマを

扱っている本ということもありますし、

さらに言えば、学生時代からずっと

谷川さんの詩が好きだったわたしなので、

そのうち買ってしまうことでしょう。

 

谷川さんの語りは、

全部文字起こししたいくらいですが、

さすがにこの場でそれはできないので、

番組の最後の方で語られていた、

最も共感の大きかった部分を以下にご紹介。

 

(「読者に伝えたいメッセージは?」の問いに対し)
谷川:一切ないですね。あの〜 

   一般的な読者っていうふうなものに対して、

   何か言うことはできないと思ってるわけ。
   だから、もし、今、何か、

   死にたいと思ってる子が目の前にいて、

   何か こっちに話しかけてきたら、

   何か言うことはあると思うけどね。
   何か 一人一人 全然違う境遇にいて、

   全然違う人間関係を持ってる子どもたちに、

   何か一般的に 何かメッセージっていうのは、

   言えないと思いますね。はい。


   今は ほら、意味偏重の世の中なんですよ。

   誰でも 何にでも意味を見つけたがるわけね。

   で、意味を探したがるわけ。
   意味よりも大事なものは、

   何か存在するってこと。何かがあるってことね。

   その存在っていうことを、

   そういう言葉を介さないで、

   感じ取るってことが

   すごく大事だとぼくは思ってんのね。

   なかなか、そういう機会がないんですけど。
   生きてるうえで、そういうふうに、

   意味を何か、こう、回避するっていうのかな。

   意味づけないで、じっと見つめる。

   じっと我慢するとかってことがあるんだけど、

   みんな、結構、そういうことは、

   しなくなってんですよね。

   意味を見つけたら満足しちゃう。

   そうじゃないものを作りたいとは思っています。

 

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