占いとくじ引きで就職を決める???〜若新雄純さんのベツルート〜
2022/04/14
NEET株式会社、鯖江市役所JK課など
ユニークな実験的事業のプロデューサーとして知られる
若新雄純さんが7年前に書かれた
プレジデントオンラインの記事
占いとくじ引きで就職を決める
を久しぶりに読み返したので、今日はそれについて。
現在の寺子屋塾は、
社会人の塾生が8割以上を占めることもあり、
仕事のことで相談を受けることは少なくありません。
未来デザイン考程や経営ゲーム塾など、
情報生産やマネジメント、コミュニケーションという
テーマに関連する学びの場を設けているのは、
そうしたことの延長線上にある言ってよいでしょう。
最近ある人が、「人間の悩みというのは、たいてい
①人間関係の問題
②お金の問題
③健康の問題 の3つのうちのいずれか」
と話しているのを聞いてナルホドとおもったんですが、
仕事の問題は、①か②かどちらかが関係しています。
「自分が何をやりたいのかがわからない」という
話を聞くこともありますが、
これも「自分自身との折り合い」と言い換えれば、
広い意味での人間関係の問題といえ、
①に含めてよいでしょう。
たとえば、学生時代に音楽家志望だったわたし自身、
進学塾で専任講師をしていた知人から
たまたま誘われ、たまたま教育の仕事に
関わるようになったわけですから、
若新さんの書かれた「ベツルート」を
地で行く人間と言っていいかもしれません。笑
若新さんの記事にも紹介されている
計画的偶発性理論で知られるクランボルツ教授によると、
個人のキャリアの80%は、
予想しない出来事で決まっているとのこと。
大学を出ていなくて、教育についての専門的な勉強を
正規に積んだわけでもなく、とくに教育の仕事が
やりたかったわけでもなかったわたしが、
その後30年以上も教育の仕事に携わるようになるとは
夢にもおもわなかったからです。
そうした過去の体験からも、
人生経験もない20才前後の若者が、
自分が何をやりたいのか、何が向いているのか、
正しい自己理解を踏まえて明確に自覚している、
なんてことは、ほとんどあり得ません。
自分が何をやりたいのか、何が向いているのかが
明確であることが,却ってその人の可能性を
狭めてしまうこともあるわけですから、
本当に良いことなのかどうかは疑問なのです。
また、選択肢が多いことが必ずしも、
豊かな人生につながるかどうかもわかりません。
たとえば、4/1に書いた記事に、
NHK-Eテレで放映された『コロンビア白熱教室』の
視聴メモとともに、
紹介したんですが、第4回の番組のなかで、
「不況時に就職した人は、
好況時に就職した人と比較すると、
給与は低くても、仕事に対する満足度は高い」と
語られていたことを印象深く記憶しています。
また、記事の最後に若新さんは、
「大切なのは、さまざまなサービスを自分なりに
選んで活用していくバランス感覚だと思います。
僕の狙いの一つは、これまであたりまえだった
『これしかない』というサービスやシステムを、
とことん“相対化”していくことです。」
と書かれているんですが、このスタンスは、
既存の教育のあり方を見直し、
相対化したいとおもっているわたしの実践にも
つながるように感じました。
ちなみに、若新さんは2014年から2017年にかけて、
プレジデントオンラインに
「マネジメントからの逃走」というテーマで
74本記事を書かれていますし、
2015年に『創造的脱力 かたい社会に変化をつくる、
光文社新書として出版されていますので、
こちらもご覧になってみてください。