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ギトン「学校は最長距離を教えるところ」(「今日の名言・その12」)

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ギトン「学校は最長距離を教えるところ」(「今日の名言・その12」)

ギトン「学校は最長距離を教えるところ」(「今日の名言・その12」)

2022/04/18

 学校とは、
 一点から一点への最長距離を
 教えるところであると、
 わたしは言いたい。

 

 ※ジャン・ギトン(1901〜1999・フランスの哲学者、神学者)のことば

 

寺子屋塾で行っているらくだメソッドの学習は、

〝セルフラーニング力〟つまり、

自分で学ぶ力が身につくことに主眼を置いています。

 

就学前の幼児や、小学校低学年の子どもの場合、

時間の計測や丸つけを

保護者の方にお願いすることもありますが、

プリント教材にはすべて、

表に問題、裏に答が印刷されていて、

原則として生徒自身で時間を計って問題を解き、

その答え合わせも自分でするようにしています。


それで、3年生以上の小学生や中学生が

らくだメソッドで学習する場合、

このような時間の計測と丸つけが

最初から正しくできる子どもは、ほとんどいません。

 

学校ではたいてい、

丸つけは先生がすることになっていますから、

間違っているのに丸をつけたり、

答を見ないで丸をつけたり、

まちがっている答を消しゴムで直して丸をつけたり、

時間をごまかして合格にしたりする子どもが

ほとんどです。

 

また、成績が良くて学力の高い子に多いんですが、

プリントに直接やらずに、時間を計らず、

別の紙なども使って何度も練習し、

最初からできる状態にしておいてから、

プリントに取り組む子もいます。

 

つまり、自分の答えに赤ペンで × をつけるのを

嫌がる子どもがけっこうな割合でいるのですが、

「できないことは悪いこと」という価値観や風潮は

今の社会に根強く存在していますし、

学校で受けるテストの場合、

速やかに、しかも間違いなく問題を解けることが

良い評価を受けることがほとんどでしょうから、

それもまた、子どもの自然な姿なのかもしれないと

おもったりしています。

 

子どもばかりでなく、大人であっても、

できない自分を見ることに対して

辛さや抵抗を感じるのは普通でしょうし、

ちょっと歪んだ形ではあっても、

自分を良く見せようとしている点においては
それもまた学習意欲の表れとも言えるので。

 

ただ、らくだメソッドの場合、

そんなふうに、実力が身についていない状態で

先の教材に進んで行っても

どんどん苦しくなっていくだけですから

たいてい3〜4ヶ月のうちに

「もうらくだやめたい!」と言いだすんですが、

それもまた想定内というか、

いたって順調な成長プロセスなんですね。笑

 

つまり、そうやって問題が表面化したときにこそ

自分のやり方でやっていくと

行き詰まってしまうことにも気がつけるし、

時間を何のために計っているのかということや

丸つけを自分ですることの大切さが

体験的に伝わるまたとないチャンスなので、
時間計測や丸つけをごまかしたり、

ちゃんとできなかったりしたことを

叱ったり責めたりすることはありません。

 

このように、問題が発生したり、

うまく行かなかったりするプロセスを経ることで

それまで、人からやらされていた学習が

少しずつ自分の学習と言えるものになっていき、

自らすすんで学ぶ姿勢の大切さや

問題を解くことに対しての自覚が深まって、

セルフラーニング力が身についていくからです。

 

こんなふうに、自分のできているところだけでなく、

自分のできないところまでが

抵抗なく受け入れられるようになると、

未知の新しいことに対しても、

自分からチャレンジできるようになって行きますし、

結局のところ、何のために勉強をするのかといった、

高校生や大学生になっても

なかなかわからないようなことまでが

伝わってしまうこともあります。

 

さて、冒頭にご紹介したギトンの言葉です。

 

ギトンは「最短距離」ではなく、

「最長距離」と言っていて、間違いではありません。

 

物事をいかに効率よく進めるかということや

ゴールに早く到達できるためのノウハウが

多くの人にもてはやされる昨今です。

 

たしかに、ビジネスにおいては、

生産性が大事な場面が多いかもしれませんが

人間は工業製品ではありませんから、

生きることや学ぶことに関しては、

定規で引いた一直線のルートや

近道すること、ショートカットの技術ばかりが

必ずしも役立つとは

限らないのではないでしょうか。

 

もちろん、人によっては、

「最長距離」と聞いただけで、

耐えられない長さを想像されるかもしれず、

道草のようにおもわれる方もあるかもしれません。

 

でも、人間は、同じ道を行ったり来たり、

つまずいたり、ころんだりしながらでも、

自分の足で実際に歩いてみることではじめて、

頭の中であれこれ考えるだけではできない、

体験してみることの大事さを実感できるものです。

 

そんな風に紆余曲折、さまざまな体験を経てはじめて、

その人にしかない

オリジナルな学びのプロセスが生まれ、

その人らしい成長が遂げられるのではないでしょうか。

 

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