豊岡憲治『脳も臓器の1つなんです』(今日の名言・その37)
2022/09/20
私がいつも言ってることですが、 脳というのは、心臓や肝臓、胃腸と 同じ臓器なのだということです。 治療が難しくなるのです。 そして、脳の部位を分けて 治療するという発想が大切なのです。 病気になっている部分を 順序良く治療することが大事なのです。 胃潰瘍になっていることはなくて、 正常な所、正常に近い所、 胃潰瘍になっている部分とあるのです。 胃潰瘍になっている部分や 正常に近いけれど 異常な部分を治療すればいいように、 脳も異常な部分を治療するといいのです。 症状を現しているわけですから、 その部位を治療するのです。 また、脳の神経細胞同士の つながりが悪い場合もあります。 その場合もそれを治療すればいいのです。 働きが低下しているのですから、 その部位を治療すると良くなっていくのです。 視覚領域の異常が主なので、 ここから治療すればいいのです。
※豊岡憲治(1947〜2018・青森県生まれの医師・とよおかクリニック院長)のことば ※出典はこちらのblog記事より
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火曜は生活デザイン・ヘルス関連の記事を
投稿しているんですが、
月曜に投稿している
「今日の名言シリーズ」のスタイルで、
主治医として長年お世話になった
豊岡憲治先生の言葉をご紹介しました。
わたしが豊岡先生の治療を受けるようになって
新しく知り得たことのうち、
大きな衝撃を受けた言葉がいくつかあるんですが、
冒頭に挙げた言葉はその1つです。
昨日の記事では指揮者・沖澤のどかさんの
名言を紹介しましたが、
たとえば、指揮者という仕事について、
オーケストラ全体を統率する司令塔の役割のような
イメージを持たれる方は少なくないかも知れません。
彼女のドキュメンタリー映像の中に、
「わたしもオーケストラの一員だと思っています。
演奏者とは気さくに接しますが、
互いに尊重し合える関係です。」
という言葉がありました。
もちろん、沖澤さんのこの言葉は、
「経歴の浅い自分には力量が乏しく
巨匠といわれる指揮者には到底及ばない」という
謙虚な姿勢から語られたものでしょうが、
脳もたくさん有る臓器の1つにすぎなくて、
特別扱いする必要はないんだという
豊岡先生の言葉と、沖澤さんの言われる
オーケストラにとっての指揮者の役割が、
わたしには重なって感じられたのです。
2006年夏、自分の精神的不調を解決しようと、
医療情報をインターネットで検索していて、
Oリング友の会のページに書かれていた
「脳も臓器の1つだから特別扱いしないこと」
という豊岡先生の文章を見つけた時の衝撃は
今でも忘れられません。
結局その文と、当時は月水金に更新されていた
先生のblog記事を読んだことが、
先生の治療を受けるために、
当時は青森市内で開業されていたクリニックを
訪ねてみようと決意する決め手となりました。
2006年9月、青森のクリニックを訪ね、
豊岡先生に診て頂くと、結局わたしの場合、
精神的な不調の原因は、脳内の問題ばかりでなく、
さまざまな原因が複合的に重なっていて、
しかも、半年に1回の通院でアドバイスを受ける形の
ゆっくりペースでの治療だったので、
自信をもって寛解したと言える状態にまで
回復するまでに9年という時間がかかりましたが。
先生のクリニックを初めて訪ねた頃に書かれた
次の記事などを読み、
とても勇気づけられたことを覚えています。
また、2017年から2018年にかけて
NHKで放映された
脳や心臓が人体の中心ではなく、
臓器や細胞が相互に情報交換しているという
最先端科学の知見が紹介されていたんですが、
この豊岡先生の見解を裏付けるようなものも
少なくありませんでした。
豊岡先生と出会っていなかったら
きっといまの自分はいなかったことでしょう。
よって、先生にはどれだけ感謝してもしきれない程の
恩義を感じていますが、
だからといって、わたしは先生の言われたことが
すべて正しかったと考えているわけではありません。
豊岡先生は残念ながら2018年に72歳で
肝臓がんで亡くなられました。
生前がんについても熱心に研究を重ねておられた
先生ご自身ががんで亡くなられたということは、
豊岡先生にも見えていない
盲点があったということですから、
先生が亡くなられて以後は、
豊岡先生に見えていなかった盲点は何だったのか、
という問いを、先生から頂いた宿題だとおもって
ずっと考え続けています。