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沖澤のどか『自分と自分の音楽を分けて考えられるようになりました』(今日の名言・その36)

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沖澤のどか『自分と自分の音楽を分けて考えられるようになりました』(今日の名言・その36)

沖澤のどか『自分と自分の音楽を分けて考えられるようになりました』(今日の名言・その36)

2022/09/19

 

 以前は自分の演奏が
 自分自身だと思っていました。
 だから、演奏について
 厳しい評価を受けると
 わたし自身が批判された気がしました。
 でも今は、自分と自分の音楽を
 分けて考えられるようになりました。

 

※沖澤のどか(1987年青森県三沢市生まれの指揮者)のドキュメンタリー“Jumping to heights Becoming Nodoka Okisawa”より。

 

 

8/28にNHK-BSプレミアムシアターで放映された

指揮者・沖澤のどかさんの

ドキュメンタリー番組を観たんですが、

今日の名言は、その番組の終盤で語られていた言葉を

取りあげてみました。

 

 

沖澤さんは2019年に

第56回ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝し、

現在はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の

カラヤン・アカデミーの奨学金を受け、

ベルリン・フィルの首席指揮者で音楽監督である

キリル・ペトレンコの助手を務めながら

更なる研鑽をされています。

 

 

 

番組はドキュメンタリーなので、当然のことながら

沖澤さんへのインタビューやモノローグを中心に

構成されていたんですが、冒頭の言葉から

 

「オーケストラが私の楽器、私は指揮者です。

 私にとって〝指揮〟とは、人を率いるというよりも
 巨大な空気の塊を手に抱え、

 それを自在に動かすイメージです。」

 

という、とてもクールな内容で、

一気に惹きつけられてしまいました。

 

沖澤さんは、指揮者の仕事や音楽についての考え、

ジェンダー、感情などについて、

良く見せようとするような気負いもなく、

かといって気後れするようなところもなく、

時折ユーモアも交えながら、

自分の言葉でゆっくり淡々と語ります。

 

当然のことながら演奏には人柄が

にじみ出てくるものですが、

番組のあと続けて放映されたコンサートでの

モーツアルトの交響曲「リンツ」には、

音楽に真摯に向き合いつつとても自然体で、

地に足のついた誠実さを感じました。

 

 

さて、それで、冒頭で紹介した言葉についてです。

 

少し前に、自己観察にまつわる米光一成さんの名言

紹介したことがありますが、

自分で自分を観察しようとしても、歪みが生じたり、

おもいこみや妄想が入り込んだりしてしまう

という話を書きました。

 

よって、自分自身の存在と自分が紡ぎ出す音楽を

ゴッチャにせずにきちんと分けて捉えることは、

自分を客観的に眺めるという意味でも

とっても大切な姿勢だとおもうんですが、

これは「言うは易し、行うは難し」であって、

30代半ばという若さでこんなふうに言語化でき

自分の言葉として語れているのはスゴイですね。

 

またこの見方は、心理学で言われる

「外在化」という考え方、手法にも

つながっているようにおもうんですが、

この外在化については、専門分野の話になるので、

心理学を学んだ方でないと

あまりピンとこないかもしれません。

 

ネットを検索すればたくさん情報がありますが、

次の記事が分かりやすいように感じたので、

参考のためにシェアしておきます。
「外在化」をうまく使おう

ー自分を責めずに問題と向き合うために

 

当塾で基本教材としているらくだメソッドでは、

学習記録表というツールを使って

この外在化を促していると言ってよいでしょう。

 

つまり、テストには必ず評価が生じますが、

らくだメソッドの場合は、この学習記録表に

「やったプリントの番号」と「かかった時間」、

「ミスの数」という客観的な事実情報のみを記すので、

その事実にまとわりついた良し悪しの評価や認識を、

学習者から切り離して見ることが可能になります。

 

この学習記録表が存在するお陰で

指導者の「評価しない」関わりが実現できるんですが、

たとえば、プリントができなかったときでも、

学習者は、自分の外側にある学習記録表に記された、

純粋に「プリントができなかった」という

事実とだけ向き合って、

自分が本当はどうしたいかを考えることができます。

 

この学習記録表の役割については
このblogでは過去にも何度か詳しく言及したので、

「学習記録表」タグのついたページ

昨年12月に3日連続で書いた次の記事をご覧下さい。
自分の器を拡げるためにできること(その7)
学習記録表(通塾用)右側の欄は何のため?
現状把握ツールとしての学習記録表

 

 

沖澤さんは、来春から京都市交響楽団の常任指揮者に

就任されることが決まったとのこと。

 

こちらの動画で記者会見の様子が観られるんですが

これからの更なる活躍がたのしみですね。

 

もっと詳しく知りたい方は

Forbes Japanのインタビュー記事もどうぞ!

前編後編がありとっても読み応えありますよ。

 

※写真はNHKのこちらのページより拝借しました。


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