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マルセル・デュシャンのどこがスゴイのか?

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マルセル・デュシャンのどこがスゴイのか?

マルセル・デュシャンのどこがスゴイのか?

2026/08/09

昨日投稿した記事

AI時代において、そもそも

「教養」とは何なのか?という問いに対して

「反応の〝前〟を整える力」だと書きました。

 

それで、今日はそれを具体的に

どのように実践するかにつながる話を

書いてみようとおもいます。

 

 

2週間ほど前のことですが、

中村教室にやってきていた塾生数名が

対話しているなかで、

「美しさ、美意識とは何か?」というテーマが

浮かび上がり、

マルセル・デュシャンの作品「泉」は

どこが美しいのか?というような問いをめぐり

やりとりをしていました。

 

たぶん、現代アートについて語ろうとするとき、

デュシャンの存在抜きには

何も語れないとおもうし、

わたしもその場でふたことみこと

喋った記憶があるんですが、

「デュシャンのどこがそんなにスゴいのか

5つ挙げて説明してください」と問われたとき

わたしならどう説明するだろうかと

そのあとで考えてみたのです。

 

 

1.「芸術とは何か?」という問いを作品にしたこと

デュシャン以前の美術は、

基本的に「美しいものを作る」

「技術で表現する」が中心でした。

 

しかし、1917年デュシャンは、

便器にR.MUTTと《泉》として提示することで、

(展示は拒否され展示されなかった)

作品の価値そのものを問い直し、

手で作った〝美しさ〟だけで決まるのか?という

大きな〝問い〟を投げかけました。

 

美術を「見るもの」から「考えるもの」へ

大きく転換させた点がすごいです。

 

 

2.レディメイドによって日用品を芸術に変えたこと

彼は既製品を選び、少し手を加えたり、

文脈を変えたりして作品にしました。

 

つまり、芸術家の役割を「何かを作る人」から、

選ぶ人、意味をずらす人、

〝問い〟を設定する人へと広げたことになります。

 

芸術の日常化という意味において、

現代アート、コンセプチュアル・アート、

インスタレーション、ポップアートなど、

このような発想なしには考えられません。

 

 

3.技巧や情熱よりアイデアを中心に置いたこと

デュシャンは、絵のうまさや感情表現よりも、

作品の背後にある〝概念〟や〝仕掛け〟

〝思考の構造〟というものを重視しました。

 

これは「芸術は目で味わうもの」という常識を壊し、

体験そのものが芸術だと示した点において

非常に新しく画期的だったとおもうのです。

 

 

4.美術制度そのものを批評したこと

デュシャンの《泉》がすごいのは、

便器という事物そのものが与えたインパクト以上に、

展覧会、審査員、美術館、署名、タイトル、

展示空間といった

〝芸術を芸術に見せている仕組み〟そのものを

あぶり出してしまったことでしょう。

 

つまりデュシャンは、作品を作っただけでなく、

「美術の世界」という社会的制度そのものまで

作品の一部として批評したわけです。

 

 

5.後世への影響が圧倒的に大きいこと

ピカソが「20世紀の絵画」を大きく変えた人なら、

デュシャンは

「コンセプチュアル・アート」を創始し

20世紀以降の芸術についての考え方そのものを

大きく変革した人と言えるでしょう。

 

具体的に人物名を挙げるなら、ジョン・ケージ、

アンディ・ウォーホル、ヨーゼフ・ボイスなど、

アートの世界だけにとどまらず、

現代芸術の世界全般に強い影響を与えました。

 

「これは芸術なのか?」という

現代アート特有の問いは、

かなりの部分でデュシャン以後の問いです。

 

 

もしデュシャンのすごさを一言でまとめるなら、

作品を作ったこと以上に、

〝芸術というゲームのルール〟自体を

変えてしまったことと言えるのではないかと。

 

たぶんデュシャン自身は、

こんな風にもっともらしく解説され

評価されること自体を

何よりも嫌ったことでしょうが。笑

 

 

デュシャンについてのオススメ記事は、

松岡正剛さんの千夜千冊
マルセル・デュシャン&ピエール・カバンヌ

『デュシャンは語る』

 

 

2017年、《泉》が発表されて100年を記念し

東京国立博物館で開かれた特別展のポスター

 

 

記事のさいごに、ジョン・ケージが

プリペアドピアノのために作曲した

『マルセル・デュシャンのための音楽』をプレゼント


John Cage - Music for Marcel Duchamp (1947)

 

※参考過去投稿記事

ガチャを回す 生物進化における変異と適応(その2)

 

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