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TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(二巡目・その40)

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TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(二巡目・その40)

TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(二巡目・その40)

2026/09/22

8/14からこの寺子屋塾ブログでは、

TVドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集の
二巡目を投稿しています。
 

どんな流れ、経緯から二巡目を投稿し始めたか、

その理由やきっかけ等については、

(その1)(その2)の記事

関連している8/13以前の記事等に記したので、

未読の方はご覧ください。

第1話から第11話まで順番に1シーンずつ紹介し、
最終話まで行ったらまた第1話に戻るスタイルで
(その45)まで投稿するつもりです。


基本一巡目100記事で取り上げたシーンへの

コメントをリライトして投稿しているんですが、
さすがにそればかりだと能がないので、
(その10)(その15)(その23)

(その29)の記事では、
一巡目で取り上げたシーンそのものを差し替え
新たに書き起こした場面のシナリオに

コメントする記事を書きました。

 

9/16から四周目に入っていて、
今日は一巡目(その40)で取り上げたシーンへの
リライト記事なんですが、

第7話中盤の24分過ぎたあたりから始まる場面です。

 

ボーナスという名目とはいえ、

1ヶ月以上もすぎてからの誕プレ3万円に

「もしかするとキスの慰謝料かも」と

疑念をもったみくりが

意を決してキスの理由を平匡にメールで尋ねます。

 

ふたりが同じ屋根の下にいる二人が

スマホのメールでやりとりしていて

セリフはほとんどありません。

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〔平匡のマンションにて〕
平匡:〔自分の部屋で、寝間着姿でベッドに座っている。スマホにメール着信。見ると「みくりさん」から。思わずドアの方を見る〕
平匡:?〔恐る恐るメールを開く。文面の出だし『賞与、ありがとうございます!』〕
みくり(声):賞与、ありがとうございます!
平匡:〔ほっとして〕はぁっ……
みくり(声):『聞いていいですか? どうしてわたしにキスしたんですか?』(メール文面)
平匡:!!〔思わずスマホを落としそうに。危うくキャッチしてドアをふり向く。〕
みくり:〔寝室の前にしゃがみこむ。スマホを握りしめ返信を待っている〕
平匡:〔スマホを前に、頭を抱えている〕
〔時計の針、進む〕
みくり:〔ソファーの上で丸まっている。返信を待っているが来ない。〕
〔時計の針、進む〕
平匡:〔寝室の中をウロウロ歩いている。頭を抱えたり、床に座ったり、落ち着かない様子〕
みくり:〔敷いた布団の上に倒れている。握ったスマホ、返信は来ず〕……寝よ……
みくり:〔スマホを置いて布団に入り消灯〕
〔みくりのスマホ、メール着信音が鳴る〕
みくり:〔がばっと飛び起きメールを確認。見ると平匡から。緊張の面持ちで、メールを開く〕
平匡(声):『すみませんでした。雇用主として不適切な行為でした。』(メール文面)
みくり:……!!
みくりM:(謝罪じゃなくて、理由!)
平匡:〔苦悩しながら〕
平匡M:(言えるはずがない。調子に乗ってキスしてしまったなんて)
平匡:……
平匡M:(重ねてお願いしておこう)
平匡:〔スマホでメールを打ち始める〕
平匡(声):『どうか、なかったことにしてもらえませんか』(メール文面)
平匡:〔送信ボタンを押そうとするが、すんでのところにみくりからのメール着信〕
平匡:!!
平匡:〔みくりからのメールを恐る恐る開く〕
みくり(声):『謝る必要はありません』(メール文面)
平匡:!?
平匡(声):……謝らなくて、いいの?
平匡:???
みくり:〔スマホにメール着信〕
平匡(声):『しかし、一方的で許されない行為だったように思います。深く反省しています。』(メール文面)
みくりM:(だから!なぜ反省?)
平匡:〔スマホにメール着信〕
みくり(声):『社員旅行としてはセクハラでアウトですが、新婚旅行という体でもあったし、一応形式上は恋人なのでスキンシップの延長線上でアリじゃないでしょうか』(メール文面)
平匡M:〔驚いて立ち上がり〕(アリなの!?)
みくり:……
平匡(声):『ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。』(メール文面)
みくり:……
みくりM:(なにを?なにをよろしく!?)
みくり:〔布団の上に倒れて〕
みくりM:(わからない!なんて返せば正解なのか…わからない!)
みくり:〔再びメールの文面『これからもよろしくお願いします。』を目で追う〕
みくり:〔起き上がってメールを打ち始める〕『こちらこそよろしくです。二回目もお待ちしております。』
みくり:〔突っ伏して布団や枕をバンバン叩く。むっくりと起き上がり、メールの『二回目もお待ちしております。』を消していく……自分の行為に笑えてきて、笑顔に〕
平匡:〔スマホにメール着信〕
平匡:
平匡:〔メールの文面を確認『こちらこそよろしくです。末永く』〕
平匡:……
〔大きく『末永く』の文字〕
平匡:〔笑えてきて口元を隠し、ベッドに倒れる。外を見る。窓の外に満月に近い月〕
みくり:〔窓の外に見える月に気づいて〕
平匡&みくり:〔別々の部屋から二人とも同じ月を見て〕

平匡:……

みくり:……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

TVドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』第7話より

 

 

COMMENT:この場面、同じマンションの、ほんの数メートルしか離れていない部屋にいる二人が、わざわざメールでやり取りするという設定だけで、すでに『逃げ恥』らしさが凝縮されています。寝室のドア一枚を隔てただけの距離なのに、心理的には遠距離恋愛。笑 でもメールは、二人の臆病さを表すと同時に、対面で言えない言葉を相手に届けるための避難路にもなっている。つまり二人は、逃げているようでいて、逃げ道を使いながら少しだけ前へ進もうとしているんですね。


みくりが送った質問は、「どうして私にキスしたんですか?」と至ってシンプルです。知りたいのは、平匡の気持ちであり、キスの理由です。ところが長い時間をかけて返ってきたのは、「雇用主として不適切な行為でした」という謝罪文。理由を尋ねているのに、平匡は行為の適否を答えてしまう。みくりは「あなたはどう思っているの?」と聞いているのに、平匡は「わたしは処分されるべきでしょうか?」という別の議題に変換してしまうわけです。


これって単なる会話下手でなく、感情の問題なのに、コンプライアンス案件へ置き換えてしまうという平匡の防衛反応なんでしょう。「好きだったから」と言えば、自分をさらけ出さなければならない。でも「不適切でした」なら、雇用主という役割の後ろに隠れられる。第1話では、行き場をなくした二人を救った契約の言葉が、第7話では本音を隠すシェルターになっている。せっかくキスまで進んだのに、言葉だけが雇用契約へ逆戻りしてしまうのが、何とも平匡らしくて切ないところです。


一方のみくりも、「社員旅行としてはセクハラでアウト」「新婚旅行という体でもあった」「一応形式上は恋人」「スキンシップの延長線上でアリ」と、一つのキスを複数の法体系にかけて審議し始めます。笑 社員旅行なのか、新婚旅行なのか。雇用主なのか、夫なのか、恋人なのか。恋愛テンプレなら「うれしかったからアリ」で済むところを、二人はローカル憲法を総動員して、キスの合法性を確認しなければ前に進めない。でも、みくりの「アリ」は告白ではないものの、平匡に対する事実上の恩赦宣言とも言え、次の一歩への許可証にはなっているんですね。


そして、この場面で最も興味深い点は、実際に送信された文章よりも、二人が書いてから消した文章の方に本音が露出していたところ。平匡は「どうか、なかったことにしてもらえませんか」と打ちながら、送信寸前で止まる。みくりは「二回目もお待ちしております」と書いて、自分の大胆さに悶絶し、結局消してしまう。平匡は関係を後退させたい本音を消し、みくりは関係を前進させたい本音を消す。正反対の方向を向いた二つの本音が、結果的にどちらも相手に届かなかったことで、かろうじて二人の関係は壊れずに済んだ。人と人との関係がつながるか切れるかは常に紙一重のところにあって、亀井勝一郎さんの「恋愛とは美しき誤解なり」という言葉をおもいだしたんですが、この皮肉な対称性が、ドラマとしてすごくよくできています。


つまりここでは、入力中の文字、削除される文字、着信音、時計の針、部屋を歩き回る平匡、布団や枕をバンバン叩くみくりを積み重ねて、文章が完成するまでの〝編集履歴〟そのものがドラマになっている。送信済みの文章が、相手に見せられる自分だとすれば、削除された文章は、まだ相手に見せられない自分。表面上はメールを数通交わしているだけなのに、画面の中では「建前の会話」と「未送信の本音」という二つの会話が同時進行しているんですね。


そうして二人が最終的にたどり着くのが、「こちらこそよろしくです。末永く」という、意味の輪郭がぼんやりした言葉です。何を末永くなのか、ハッキリとは書かれていません。雇用関係なのか、同居生活なのか、形式上の夫婦なのか、それとも恋愛なのか。でも、この場面では、意味が確定されていないからこそ、みくりは送ることができたし、平匡もそれをうれしく感じた。二人が初めて、同じ〝曖昧さ〟の中に一緒にいられた瞬間なのだとおもいます。


そのあと、別々の部屋から同じ月を見る二人。言葉で同じ場所にはたどり着けなくても、視線が同じものに向けられる。理由を尋ねたのに、結局のところ、その理由は最後までわからない。それでも辛うじて「末永く」だけは届いた。二人の本音は送信されたメールでなく、削除されたメールの中にある———それでも、削除と沈黙の隙間から、関係は少しだけ前へ進んでいく。意思疎通としては失敗寸前なのに、恋愛としては距離がちょっと近づいたという、何とも『逃げ恥』らしい可笑しくて美しいシーンでしたね。



この名セリフ&名場面集で紹介しているシナリオは、野木亜紀子さんの『逃げ恥シナリオブック』を参考にしながら、2020年に放映された『逃げ恥・ムズキュン特別編』を書き起こしました。こんな風にTVドラマ『逃げ恥』のシーンを毎日投稿することになった最初の動機については、一巡目の初回として書いた(その1)の記事のコメントをお読みください。5/20に投稿した1巡目の最終回(その100)には、すべての記事内容を総括するコメント、全100回のINDEXつきリストと関連リンク集を載せています。
TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(その100・最終回)

また、当塾ではすべて関連し合っているという考え方を大切にしていますので、さらに詳しく知りたいという物好きなお方(笑)は、タグ「逃げ恥」を付している過去記事のみならず、他の記事を適宜アクセスください。当塾で開塾時から基本教材と位置づけてきたらくだメソッドの学習内容については、らくだメソッド関連を、大切にしているエッセンスを短いコトバで端的に知りたい方は、つぶやき考現学をどうぞ。アクセス数が最も多いカテゴリーは、今日の名言シリーズ(現在その130まで投稿)です。最近は、易経、論語、仏典などをひもといている古典研究関連カテゴリの記事もアクセスが増えています。
 

明日は一巡目(その40)の記事でとりあげた第7話のシーンへのコメントをリライトして投稿する予定です。

 

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●2021.9.1~2024.12.31記事タイトル一覧は

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