フェア・パラダイムで生きようとすること 違う価値観に接して視野が広がる喜び
2022/09/29
寺子屋塾で提供できる学習ツールには、
らくだメソッドの他に
トータルゲームや未来デザイン考程があり、
主にその2つの学習ツールにまつわる話題として、
木曜はマネジメント関連の記事を投稿しています。
また、マネジメントという概念に
直接関係はないんですが、
らくだメソッドやトータルゲーム、
未来デザイン考程のような
次世代型学習ツールの効果を最大限に引き出すために、
その指導者に
高いファシリテート能力が求められることから、
ファシリテーションにまつわる話題も
このカテゴリー内で投稿してきました。
過去記事では次の記事などが該当します。
・大学生のためのファシリテーションガイド
・ファシリテーションと情報編集
このファシリテーションを具体的に実践するうえで、
必要なスキルについては、
堀公俊 『ファシリテーション入門』などを読むと
次の4項目が重要であるとされています。
1、場のデザインのスキル ~場をつくりつなげる 2、対人関係のスキル ~受け止め引き出す 3、構造化のスキル ~かみ合わせ整理する 4、合意形成のスキル ~まとめて分かち合う |
たとえば、9/26に投稿した今日の名言シリーズの記事
先週9/21のつぶやき考現学で紹介した記事
・双方がどうしたいかを伝え合わないとコミュニケーションは始まらない
昨日9/28のつぶやき考現学で紹介した記事
など、最近投稿している記事がいずれも
対話的コミュニケーションがテーマになっていて、
前掲のファシリテーションスキル4項目のうちでは、
主に2と4にあたるものと言ってよいでしょう。
そもそも「人と人とがわかりあう」って
どんなことであるのかというのは、
あまりにテーマが大きすぎ、
オリザさんの名言の記事では詳しく言及できずに
ペンディングにしたこともあり、
対話的コミュニケーションにおけるファシリテーション
というテーマがここ5日ほど
わたしの脳内を飛び交っていたのは確かで、
今日は、その関連でおもいだした重要な記事を
ひとつご紹介しようとおもい立ちました。
それは、2019年の暮れに
信岡良亮さんという方が書かれた
対話、めんどくさくね? でもその先には、
違う世界観に接して視野が広がる喜びがあるのかも。
#学習するコミュニティに夢を見て
という記事です。
とても内容が濃く読み応えありますので、
ぜひリンク先の記事をご覧になってみて下さい。
・人間は自分のことを理解されたい、認められたいと
強く願う一方で、干渉されることを嫌うので、
距離を取りたがるというジレンマを抱えている
・日本人は「共感」というものを
「私も同じ経験したことがある」というシンパシー
同質性からくる共感1種類しか知らないことが多い
・シンパシー・ベースで話す人と、
エンパシー・ベースで話す人との大きな差に、
社会や他者に対する世界観の違いがある
・対話がめんどくさくほとんど成功しない理由は、
日本で自然に生活していると、
「フェア・パラダイム」を生きる経験が
ほぼ育たないからだ
・最終的に対話が必要な相手である「家族」や
「上司」「恋人」はラスボスだ
・対話が本当に必要な相手は
「対話をしたくない人=自分の思っている正しさを
崩されたくない人」
等々いずれも重要な指摘ばかりが書かれています。
他者と話すときの前提が、
シンパシー・ベースの共感がほしい、
今の自分を承認してほしい
褒めてほしいということしか求めてない人、
つまり、ランクパラダイムで生きている人とは、
そもそも対話しようにも、その対話自体が
成り立たないのが現実で、
互いにわかりあう以前の問題でしょう。
結局、コミュニケーションについて考えようとすると
前提としている価値観や世界観、目的などとは
無関係ではなく、
ディベート(討議)、ダイアローグ(対話)、
インタビューといった手法の選択という問題と、
どう絡ませるかを意識しなければいけないことを、
信岡さんの記事を読んで強くおもった次第です。
それにしても、世界観を
「ランク・パラダイム」と「フェア・パラダイム」
という風に、対比させて言語化すると、
違いがとてもわかりやすいし絶妙の表現ですね。
エンパシーという概念は
日本人にはまだ馴染みが薄いようですが、
信岡さんが書かれているように、
エンパシー・ベースの対話的な関わりを
地道に日常化していくことで、
「フェア・パラダイム」で生きようとする人が
少しずつ増えていくことにつながるかもしれません。