変わらないのは無理に変えようとするから(つぶやき考現学 No.7)
2022/10/05
人間は「変わっていきたい」気持ちと
「今のままでいたい」気持ちとが
相半ばして揺れ動いている存在だ
意識の上では変わりたいとおもっても
変わることへの不安が心の底にあるから
「変わりたい」気持ちと同じくらい
「変わるまい」と抵抗する力がはたらいてしまう
だから、自分を変えようと頑張るほど葛藤し
変わらないジレンマに陥るのは
自然ななりゆきだろう
本来「生きること」そのものが
日々「変わっていくこと」でもあるのだから
もし、本気で自分を変えたいなら
「こうありたい」と夢を描くことや
理想の自分を目指すのを一旦脇に置くことだ
「変えよう」「変わろう」と頑張るのをやめ
いま、ここにいる自分の小さな変化に目を向け
その一つひとつを大切にしながら生きていけばいい
そうするうちに
「こうありたい」と望んでいた姿に
いつのまにか変わっている自分に
結果として後から気づくことになるだろう
「変えられない」のでも
「変わらない」のでもなく
日々変わりつつある自分のいまの姿に
自分自身が気づこうとしていなかったという
自覚の問題にすぎなかったと気づくだろう(1998.10.31)
※井上淳之典のつぶやき考現学 No.7
COMMENT:
もう20年以上も前に書いた詞なんですが、
自分自身との関わり方をテーマにしたもので、
一昨日10/3に「今日の名言シリーズ」で紹介した
ブレイディみかこさんの
つながっていると言ってよいでしょう。
「自分を変えようとしてもなかなか変わらない」
という話はよく聞きますが、
自分のことは自分が一番わかっているっていうのは
だいたい勘違い、錯覚、おもいこみなので、
事実と観念を分け、自分の思考の癖を知って
日々の生活のなかで自覚的に物事を捉える鍛錬を
地道に繰り返して日常化していくことが大事です。
現在の寺子屋塾では、塾生の8割以上
社会人が占めるようになっているので、
なぜ大人が学生時代に学んだ
算数や数学のプリントをやっているんだろうと
不思議におもわれる方がすくなくないんですが、
この詞に書いたような自己観察や自己内対話の
トリガーとしてもらくだメソッドが活用できることが
長年にわたってたくさんの人の指導にあたる中で
分かってきたためで、このことは
わたし自身もまったく想定していなかった展開でした。