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「考える」と「考へる」

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「考える」と「考へる」

「考える」と「考へる」

2023/01/12

木曜はマネジメント関連の話題を投稿しています。

 

今日は「考える」という言葉には、

2つの側面があるという話を書いてみようかと。

 

「考える」については、これまでにも

いろいろ記事を書いていますので、

未読の方は、まず参照いただいてから、

以下の文章を読んで頂けるとありがたいです。

 

そもそも〝考える〟ってどういうこと?

 

孫正義『考えても答が出ない時の一番の解決策は』

(「今日の名言・その23」)

 

昨年5/5に書いた

ファシリテーションと情報編集

という記事で、松岡正剛さんの講演内容を

ご紹介したんですが、その中に

「日本文化の特徴はダブルスタンダード」

という言葉がありました。

 

日本の神は、西欧のGod=主ではなく客神。

客神は「マイナスの価値」を背負っている。

負の状態から価値を生み出すのが日本的方法の特徴。

「わび・さび」も元は「詫びる」「錆びる」という

ネガティブな状態から創出している。

「はかどる」も「はかない」もどちらもよしとして、

「あはれ」から「あっぱれ」に転化させてしまう。

 

変わるものは、変わらないものがあって存在でき、

物事はたいてい対になっているから

2つのものをセットに捉えるといいという話は、

易経の陰陽論がまさにそうですし、
あるがままに生きる(つぶやき考現学 No.97)

など、これまでにも繰り返し書いてきたんですが、

「考える」という言葉も、

2つの相反する側面があると捉えることで、

そもそも「考える」とはどういうことかという

理解を深めていけるのではないかと。

 

日本語の起源を研究されている方が書かれた本に

あった話なんですが、昔は旧かなづかいで

「かんがえる」を「かんがへる」と書いていた

時代がありました。

 

でも、その旧かなづかいの時代にも

「かんがえる」という表記が

使われていたようなんです。

 

つまり、「かんがえる」と「かんがへる」の2つは

いまは同じになってしまっているけれど、

もとを遡ってみると、違うものとして、

使い分けられていた時代があったんだと。

 

そのようにして各々の語源をたどると、

「かんがえる」という言葉は、

植物がどんどん枝葉を伸長させるように

拡がっていくことを意味し、

それに対して「かんがへる」の方は、

根源を究明すべく、

収束に向かうことを意味するそうなのです。

 

この記事の冒頭に掲げた画像は、

このプロセスを試しに図解してみたものなんですが、

まず、テーマを設定して(問いを立てる)、

そのテーマについて情報を集め、出し合う局面が

発散させていく前半とすれば、

ときには混沌とした状況を迎えることがあっても

量的に出尽くした状態にまで至れば、

そのデータの幅がアイデアの多様さでもあり、

おのずとそれが編集、統合されて収束し

なんらかの結論に至る後半の局面を迎えるんだと。

 

たとえば、未来デザイン考程の一つひとつの局面で

テーマを設定し、素材を集めるプロセスが

「かんがえる」であり、

集めた素材を統合、集約して整理し

本文と主文、心象図にまとめ上げていくプロセスが

「かんがへる」なんだと言ってよいでしょう。

 

そもそも「考える」ってどういうこと?

という問いを立ててみたときに、

こんなふうに、「発散」と「収束」という

2つの局面があるということを知っているだけでも、

随分違うような気がしませんか?

 

 

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