カミュ「生きることへの絶望なくして、生きることへの愛はない」(今日の名言・その52)
2023/01/16
生きることへの絶望なくして、
※アルベール・カミュ(1913~1960)の処女作エッセイ集『表と裏』より
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このカミュの言葉は、
これまで取りあげてきた名言のうちでも
まだわたしが20歳すぎだった1980年代初頭という
比較的早い時期に出会ったものです。
プライベートな領域の話なんですが、
その頃のわたしは、16歳のとき罹った
自然気胸という厄介な病気が何度も何度も再発し、
つきあっていた彼女にはフラれ、
大学受験に失敗し、進学を諦め、
唯一無二の親友は自死してしまい、
父親はギャンブルに狂って家で暴れ、
母親は病気になり、妹は家出をして・・・という
悲惨な状況にあったんですが、
そんな状況の中で出会ったこのカミュの言葉に
どれだけ勇気づけられたか分かりません。
最初に読んだカミュの著作は、
『シーシュポスの神話』だったと
記憶しています。
この名言は『表と裏』という、かれが
最初に出版したエッセイ集のなかの1節ですが、
これを書いたときのカミュはまだ24歳でした。
「絶望」と「愛」という、
真逆に位置しているとおもわれる言葉を
結びつけてしまうなんて
スゴイなぁとおもいます。
わずか34歳という、史上二番目の若さで
ノーベル文学賞を受賞しただけあって、
言葉に対する感性は、
若い頃から研ぎ澄まされていたんですね。
カミュも若い頃に結核に罹り、
生涯、病気と向き合いながら生きた人だったようで、
「重要なのは、病から癒えることではなく、
病みつつ生きることだ。」
という言葉ものこしています。