谷克彦『食と暮らしの技術』と24歳のときに出合ったこと
2023/02/17
昨日まで3日間にわたって谷克彦さんの
『食と暮らしの技術 実践健康ノート』より、
「独学のすすめ」と題された序文を
ご紹介したんですが、いかがでしたか?
1回目のところにも書いたんですが、
1984年1月初版の本書は、
生活術という視点をふまえた
独学メソッドともいえる希有なもので、
この本と、20代半ばという早いタイミングで
出会えたことを
本当にラッキーだったとおもっています。
1982年に桜沢如一の『永遠の少年』をよみ、
マクロビオティックを実践しはじめていたんですが、
実際に日常の食べ物が変わると、
身体がどんな風に変化してゆくのかなど、
具体的な実践記録が書かれた本は稀少で
なかなか見つけることができなかったからです。
また、小中学校時代は比較的良い成績で
終えられたものの、高校時代に体調を崩したり、
家庭の不和を経験したりした谷さんの境遇と
自分の境遇にはとても近いモノがあり、
世の中の風潮になかなか素直に乗っかって行けない
自分とどう折り合いをつけるかという点など、
谷さんと似た課題を自分も抱えていました。
それでも、大学へ行かない道を選んだ自分が
これからどう生きて行くかを考えたとき、
本書で〝独学〟という指針を得られたことは
非常に勇気づけられたことでもあり、
いまでは、大学へ行かなかったことを
密かに誇りにおもっているほどです。
ただ、自然塩復活運動の草分けでもあった谷さんが
この本を出版された翌年、1985年に
脳腫瘍のために48歳の若さで逝去されたと
知ったときにはとてもショックを受け、
マクロビオティックの食事法や自然塩も
決して万能では無いということを知り、
以後は肝に銘ずることにもなりました。
現在のわたしはマクロビオティックの食事法とは
かけ離れた食生活を送っているんですが、
それでも日常の食べ物が健康の土台である
という考え方は揺らいでいませんし、
易経という実用弁証法、人生哲学の入口となる
視点を20代前半という時期に得られたことは
どれだけ感謝しても仕切れないほど
大きな価値のある出会いだったのです。
いずれにしてもこの本がわたしの人生に
欠かすことのできない貴重な1冊であったことには
変わりがありません。