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平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その10)

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平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その10)

平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その10)

2024/07/20

昨日投稿した記事の続きです。

 

平野啓一郎さんの著書

『私とは何か 「個人」から「分人」へ』

とっかかりに、「私とは何か?」という問いを

考察し続けているんですが、

今日の記事が10回目となりました。

 

これまでに書いてきた内容を前提として

話を進めることがありますので、

未読記事がある方は、まず次から先にどうぞ!

平野啓一郎『私とは何か』(その1)

平野啓一郎『私とは何か』(その2)

平野啓一郎『私とは何か』(その3)

平野啓一郎『私とは何か』(その4)

平野啓一郎『私とは何か』(その5)

平野啓一郎『私とは何か』(その6)

平野啓一郎『私とは何か』(その7)

平野啓一郎『私とは何か』(その8)

平野啓一郎『私とは何か』(その9)

 

昨日投稿した9回目の記事では、

8回目の記事で紹介した

平野さんの『自分とは何か』第4章を読んでいて、

二村ヒトシさんが書かれた

『すべてはモテるためである』第4章にある

あなたの中のスーパー戦隊みたいなもの

って言葉をふとおもいだして、

『すべモテ』の該当箇所を引用して紹介しました。

 

また、平野さんの『私とは何か』も

二村さんの『すべモテ』(文庫ぎんが堂版)も

同じ2012年に出された本と書きましたが、

二村さんの『すべモテ』は、

上の写真の帯に「名著復活」とあるように、

ぎんが堂版の出るまえの

1998年に原著が出されていました。

 

前記したように、引用した箇所には、

あなた一人で、スーパー戦隊なんです。

ってあったので、これってまさに

分人主義的人間観そのものって書いたんですが、

もしかすると二村さんの方が

先だったかもしれません。

 

というのは、

引用した箇所が文庫ぎんが堂版から

新たに加筆修正された表現でなければ、

「分人」的捉え方は、

二村さんの方が早かったってことになるからです。

 

その原著が手元にないので確認できないし、

まあ、どちらが先か後かというのは、

本質に関わることではないんですが。。。

 

 

さて、昨日投稿した(その9)に

平野さんの『私とは何か』第4章P.145に

 

恋愛関係というのは、

自分が抱いている「相手向けの分人」と、

相手が抱いている「自分向けの分人」との

サイズが同じぐらいでないと、

なかなかうまくいかない

 

ということが書かれていることを紹介し、

これは、二村さんの『すべモテ』P.173に

書かれている次の箇所

 

「恋愛をする」ということは

「彼女と【あなたの中の女】との関係」だけの

問題ではありません。

「あなたと 【彼女の中の男】との関係」の

問題でもあります。

あなたと 【彼女の中の男】が似ていて

【あなたの中の女】と彼女も似ている、

ということでなければ恋愛は成立しません。

 

と、ほぼ同じということにも触れました。

 

でも、これだけだと何を言おうとしているのか、

なぜそういうことが言えるのかという

根拠も何もなく結論だけ抜き出したので、

そこだけ読んでもよくわからないですよね〜

 

それで、昨日投稿した(その9)を読んだ

塾生の一人から、

 

恋愛関係というのは、

自分が抱いている「相手向けの分人」と、

相手が抱いている「自分向けの分人」との

サイズが同じぐらいでないと、

なかなかうまくいかないってあったんですが、

じゃあ、具体的にどうすればいいんでしょう?

 

という質問を受けたので、

 

だから、自己観察を日常化する

セルフラーニングという学習法に

価値があるっておもっているんだよね。

 

平野さんの『私とは何か』第4章の

引用した言葉の後には、

どうしたらいいかって話は書いていないんだけど、

それはたぶん、

この本が恋愛を主テーマにした本ではないから、

主テーマがぼやけてしまわないように

そうしているので、

他の章に、平野さんの考えは書いてあるんだ。

 

ヒントになる話は

二村さんの『すべモテ』に書いてあるので、

読みなおしてみるといいよ。

 

と話しました。

 

昨日の記事で引用した箇所の後半部に、

男性ならば、自分の中の女性の分人を

意識するといいという

モモレンジャーの話を引用したんですが、

前後の部分をまとめて、

以下に引用しておきます。

 

なお、『すべモテ』は男性向けに

書かれた本なので、

女性が読む場合は、あなたの中の【女】

そのままあなたの中の【男】

読み替えてみてください。

 

(引用ここから)

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あなたの中の【女】の性格を理解しよう。
ところで【あなたの中の女】は【いい女】ですか?「そりゃそうだろう」と、思いますか? 「だってオレが恋した女性と【オレの中の女】は、似てるんだろう? だったら【オレの中の女】は、オレにとっては【いい女】に決まってるじゃん」と。そりゃまあ、そうです。では質問を変えます。あなたの中の【女】は【性格いい女】ですか?


あなたの中の【女】が「ろくでもない女」で、しかもあなたの心の中で強い力をもっていて、そしてあなたが女性から恋されてしまうような【いい男】だったら、せっかくあなたに恋してくれる女性たちを、次々と「あんな女ダメ、こんな女ダメ」と、どんどん捨てることを命じるかもしれない。家来の首を刎ねるのが趣味の女王様みたいなものですね。


あるいは「なぜか毎回、性格の悪い女にばかり恋してしまう男性」というのも、います。 それで本人が毎回つらそうにしてると、あー、あの人は人柄はいいのに、心の中に【たちの悪い女】に住みつかれていて、さだめし集団ヒーローのほかのメンバーと【女メンバー】とがケンカばかりしてるんだろうな・・・・・・、などと想像してしまいます。


また「あなたが惚れた女性と、あなたの【女】は、似たところがある」からといって「似た者同士で仲がいい」とは、かぎらない。人の心というのは不思議というか厄介なもので「あなたがどんなに彼女を好きでも【あなたの中の女】は彼女のことを憎んでしまう」ということがあります。


あまのじゃくな【女】とか、すごいバカな【女】とかに住みつかれている男性は、恋愛関係で苦労がたえません。本人は頭がよくて仕事とかよくできるのに【心の中の女】がすっごいバカ、ていう男性は、わりと、よくいるんじゃないでしょうか?


【あなたの中の女】と、あなたのお母さんとの関係。
あなたの中の【女】というのは、あなたと一緒に生まれて、あなたとともに育ってきたわけですが、あなたの中の【女】は必ずあなたのお母さん(もしくはあなたを育ててくれた女性)の影響をうけます。といっても普通は【あなたの中の女】と【あなたのお母さん】は、【あなた】と【あなたのお父さん】が似る程度にしか似ないわけですが、影響をバッチリうけちゃって【お母さん】と【自分の中の女】がそっくりな男は、マザコンと呼ばれるわけですね。


あなたが好きになって、つきあいだした女性を無自覚に傷つけてしまうことがあるとしたら、その影には【あなたの中の女】の元になっている、あなたの母親が隠れているかもしれません。あなたの【心の中の女】が、あなたの【心の中の男の部分】つまり戦隊の他のメンバーを甘やかすことで、男としてのあなたを通して「つきあっている現実の彼女」を傷つけてしまうのです。


それでも、あなたが男性である以上、現実に出会う彼女の気持ちを知る手がかり」は、あなたの中の【女】だけが握ってるのです。傷つけてしまう可能性であると同時に、彼女と「なかなおり」できる可能性も 【あなたの中の女の部分】なのです。
 

「恋愛をする」ということは「彼女と【あなたの中の女】との関係」だけの問題ではありません。「あなたと【彼女の中の男】との関係」の問題でもあります。あなたと【彼女の中の男】が似ていて【あなたの中の女】と彼女も似ている、ということでなければ恋愛は成立しません。

 

いくらあなたのほうで「【オレの中の女】と彼女はソックリだ!」と一方的に確信してても、【彼女の中の男】があなたとは似ても似つかぬ男であったら、彼女の中ではなにも始まりません。


しかし【彼女の中の男】というのは、彼女の心の中だけに存在してるのです。ですから「どんな男が好みなの?」とか訊いて、それに自分を無理にあわせていく、などというやりかたは、やめておいたほうがいいです。悲しいけど時間のムダです。


「男は、女に恋するのではない。女の肉体を通して【自分の中の女】に恋しているのだ」と言った人がいます。女性にフラれて死にたくなったとき、恋するあまりストーカー行為に及びたくなった時には、「あの人はオレの中の女に似てるだけの人。そんなもんのために死んだりタイホされたりしては、つまらん」と思ってみてください。


女心のわかる男がモテる男だ、などと言いますが、「女ってのは、こういうとき、こういうふうに考え、こう行動する生き物だ」なんてデータをいくら収集しても、あまり意味はありません。


何度もくりかえしますが女性はナマモノで、一人ひとり、ちがうのです。それよりも、自分自身を「知る」ために【自分の中の女】となかよくしましょう。「自分の中の【女】が、どんな女なのか」を理解してあげましょう。


【自分の中の女】がキモチワルい女だったりすると、あなたのほうから好きになった女性に思いをちゃんと伝えられなかったり、最悪の場合は、自分でもキモチワルいなあと思う女をなぜか好きになってしまったりしてロクなことがありませんから、性格を治しましょう。


【女】はあなたの心の一部なのですから(あなた自身のキモチワルさを治すことができたように)【あなたの中の女】のキモチワルさも、あなたが治すことができるはずです。

 

【自分の中の女】の悪い性格は、どうやって治せばいいのか。生きている「いろんな人」とたくさん関わって、たくさん【対話】をして(傷つけあうことも多くあるでしょうが、その上で)なるべく人に優しくすることです。【自分の中の女】が「すなおな性格」になってくると、現実の女性の「いいところ」が、顔やスタイルだけじゃなくて、たくさん見えるようになってきます。

 

二村ヒトシ『すべてはモテるためである』第4章どうやって「恋愛」するのか より

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(引用ここまで)

 

 

この続きはまた明日に!
 

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