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平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その11)

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平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その11)

平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その11)

2024/07/21

毎日暑い日が続きますが、バテテいませんか?

 

東海地方は7/18に梅雨明けしたとみられると

発表がありました。

 

今年の梅雨入りはかなり遅めでしたが、

梅雨明けはほぼ平年通りでしたね〜。

 

夏本番はこれからなので、くれぐれもご自愛下さい。
 

さて、昨日投稿した記事の続きです。

 

平野啓一郎さんの著書

『私とは何か 「個人」から「分人」へ』

とっかかりに、「私とは何か?」という問いを

考察し続けているんですが、

今日の記事で11回目となりました。

 

「私とは何か?」という問いを主軸に置いて、

「分人」という捉え方が、どういうもので、

どういう背景から生まれてきたものなのかを

明らかにしています。

 

今日これから書く記事は、

これまでの投稿内容を前提とすることがあるので、

未読記事がある方は、まず次からどうぞ。

平野啓一郎『私とは何か』(その1)

平野啓一郎『私とは何か』(その2)

平野啓一郎『私とは何か』(その3)

平野啓一郎『私とは何か』(その4)

平野啓一郎『私とは何か』(その5)

平野啓一郎『私とは何か』(その6)

平野啓一郎『私とは何か』(その7)

平野啓一郎『私とは何か』(その8)

平野啓一郎『私とは何か』(その9)

平野啓一郎『私とは何か』(その10)

 

平野さんの『私とは何か』は、

講談社現代新書の1冊として出版されたもので、

比較的手に入れやすく読みやすいので、

まずは入手され読まれることをお奨めします。

 

本日の記事に入る前に、

これまでの内容をざっとふり返ってみましょう。

 

前提や基礎的な話は(その1)と(その2)に

概ね記しました。

 

また、「分人」というの捉え方が、

どこまで普遍性があるかも検討したい想いもあり、

(その3)(その4)では、

平野さんの本だけでなく、

仏教を開いたお釈迦さまの教えや、

歴史学者・阿部謹也さんの「世間について」、

脳科学者・池谷裕二さんの心についての捉え方、

モト陸上選手・為末大さんの

「自分と向き合う2つの方向性」についてなど

様々な切り口から関連付けて考えました。

 

また、『私とは何か』に書かれた内容の全体像を

できるだけ時間をかけずに把握されたい方は

(その5)(その6)で紹介した哲学チャンネルの

動画2本を視聴され

文字起こしした講義録を読まれるとよいでしょう。

 

(その7)では、「分人主義」という言い回しに

わたし自身が感じている若干の違和感についてと、

「分人」という捉え方は、

平野さんがオリジナルではなく、

哲学者ドゥルーズの le dividuel という概念や

文化人類学の研究領域で

用いられた痕跡があることを記しました。

 

そして、この「分人」という捉え方を

具体的に活かせる日常的な場面の筆頭は、

対人関係ということになるんですが、

一般論として抽象的に考えているだけでは

わかりにくいし、話がなかなか進まないので、

(その8)からは

対人関係のなかでも、多くの人と共有可能な

恋愛関係という具体的な状況に即して

考察しています。

 

(その9)と(その10)では、

この寺子屋塾ブログではしばしば紹介している

恋愛哲学家・二村ヒトシさんの

『すべてはモテるためである』(以下『すべモテ』)に

「分人」的な捉え方が登場していることに触れ、

該当箇所を引用して紹介しました。

 

たとえば、『すべモテ』第4章のP.145には

 

あなたは戦隊ヒーローの中の「誰か一人」ではなく

あなた一人で、スーパー戦隊なんです。

 

って書かれているんですが、

まさに「分人」的な捉え方そのものですよね。

 

また、一昨日投稿した(その9)では、

平野さんの『私とは何か』第4章P.145に

 

恋愛関係というのは、

自分が抱いている「相手向けの分人」と、

相手が抱いている「自分向けの分人」との

サイズが同じぐらいでないと、

なかなかうまくいかない

 

という記述があり、

昨日投稿した(その10)で

じゃあ具体的にどうすれば?ってことについて

二村ヒトシさんの『すべモテ』に書かれていた

考えるヒントになるように感じた箇所を

引用して紹介しました。

 

とくに後半部分に、

大事なことが凝縮されてたように感じたんですが

あまりピンと来なかった人は、

10回ぐらい繰り返し読んでみると

イイかもしれません。

 

たとえば、

自分自身を「知る」ために【自分の中の女】と

なかよくしましょう。

「自分の中の【女】が、どんな女なのか」を

理解してあげましょう。

って書かれていたんですが、

どういうことか、わかりましたか?

 

恋愛において、目の前にいる人との関係を

何とかしたいのであれば、

自分の中にいる異性の「分人」を理解し、

その「分人」と良好な関係を築いていくことは

同じように大事じゃないかって話なので、

「個人」のアイデンティティーに囚われていると

理解しづらいようにおもうんですね。

 

また、二村さんの『すべモテ』から引用した部分に

あなたの中の【女】というのは、

あなたと一緒に生まれて、

あなたとともに育ってきたわけですが、

あなたの中の【女】は必ず

あなたのお母さんの影響をうけます。

とありましたね。

 

これも非常に重要な指摘で、

親子関係のあり方や生育歴がその人を構成している

「分人」に多大な影響を及ぼしている

ってことは、

40年にわたって

教育の仕事に携わってきたわたしも

日々実感してきたことです。

 

でも、平野さんの『私とは何か』には、

誰とどうつきあうかで、

あなたの中の分人の構成比率は変化し、

その総体があなたの個性となる。

個性とは決して

生まれつきの生涯不変のものではない

と書かれていたように、

それを変えて行くことはもちろん可能なんですね。

 

それで、二村ヒトシさん『すべモテ』から

引用した箇所の最後のパラグラフに書かれていた

 

【自分の中の女】の悪い性格は、

どうやって治せばいいのか。

生きている「いろんな人」とたくさん関わって、

たくさん【対話】をして(傷つけあうことも

多くあるでしょうが、その上で)

なるべく人に優しくすることです。

 

となるわけで、具体的に実践できることとしては、

いろんな人とたくさん「対話」を

重ねていくことなんですよね〜

 

二村さんの『すべモテ』には、

「対話」の極意に触れる

重要事項が書かれているように感じていて、

インタビューゲームのルールシートにも

推薦図書の1冊として紹介しています。

 

ちなみに、「対話」の極意について書かれた内容は

昨年5月に投稿した次の記事で

紹介したことがあり、

未読の方はぜひご覧下さい。

インタビューゲームでなぜ人生が変わるのか(番外編2・二村ヒトシ『すべモテ』)

 

あと、この記事は恋愛が主テーマではないので、

あまり深入りせず

結論だけサクッと書くにとどめますが、

こと恋愛において、

自分の中の異性の「分人」を理解し、

その「分人」と良好な関係を築いていく上で

大事だとおもっているのは、

1.自分の何がその相手を求めさせたのか?

2.その相手との恋愛において

 自分が最終的に得たいモノは何なのか?

 

この2点をハッキリさせることですね。

 

このあたりの話は、昨年12月の後半に、

2週間ほどにわたって二村ヒトシさん関連の記事を

集中的に書いたので、未読の方はどうぞ!

最終日の次の記事に骨子はほぼ集約したつもりです。

〝心の穴〟とセルフラーニング

 

それから、響月ケシーさんのブログで

パートナーシップについて書かれた記事を

以前この寺子屋ブログでも

何度か紹介したことがあるんですが、

覚えていますか?

【永久保存版】これからの生き方 ⑥【真のパートナーシップ】

 

ケシーさんのYouTubeチャンネルに、

内容の解説動画(ボイスブログ)もあります。

【永久保存版】これからの生き方

⑥【真のパートナーシップ】【ケシーズボイスブログ】

ハイライト部分のみ記しておくと、

たとえば、ケシーさんのブログ記事にあった、

 

私たちの多くは

相互的に依存した

不完全な女性性と不完全な男性性で

交わっている

 

自分に足りない異性性のエネルギーを

直接与えてくれる人が現れた時には
真の源から自分自身を断ち切り

その誰かのエネルギーに
依存してしまう

 

真のパートナーシップを見つける為には

たった1人で

自分自身の内なる異性性に目覚め

統合することに

挑戦しよう

 

ってところなど、

平野さんの『私とは何か』の

その人といるときの自分の中の「分人」が好き

って文や、

二村さんの『すべモテ』の

自分の中にいる異性の「分人」と仲よくしよう

って文の内容とも重なっているというか、

通じているんじゃないかと。

 

 

この続きはまた明日に!

 

同じテーマで

もう10回以上書き続けてきましたが、

次回でそろそろ区切りにしたいとおもいます。

 

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●2021.9.1~2023.12.31記事タイトル一覧は

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