寺子屋塾

現状把握ツールとしての学習記録表

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現状把握ツールとしての学習記録表

現状把握ツールとしての学習記録表

2021/12/11

昨日の続きです。

 

昨日の記事では

らくだメソッド学習記録表の右側にある

枚数・採点・時間・訂正・記入・教材・

記録表という欄が何のためにあって、

どんなふうに使っているかについて書きました。

 

らくだメソッドと、

市販されているドリル教材との違いは

計算問題や、漢字の書き取り問題が並んでいる

プリントだけを見ると分かりづらいのですが、

「プリント」「ストップウォッチ」「記録表」

という3つの学習アイテムが

一定のルールに基づいて有機的につながり、

ひとつのシステムを形成していると

捉えて頂くことで、その違いは歴然とします。

 

よって、らくだメソッドの特徴である、

セルフラーニングという学び方を実現する上でも、

「学習記録表」が存在していることの意義は、

非常に大きいと言ってよいでしょう。

 

学習者が自分で

1枚1枚のプリントと丁寧に向き合って、

自分の現状についてのデータを

継続的に記録し

事実レベルで正確に把握することさえできれば、

そのことについての良し悪しの評価を

指導者が下さなくても、

具体的にどうすればいいかは、

学習者自身で判断できるようになっていくからです。

 

教育現場で長年語られてきている、

「学習者主体の教育実践」

「結果よりもプロセスを大切にする」という言葉を、

このらくだメソッドは、

単なる理想論で終わらせずに、

具体的に実現可能なものにしているわけです。

 

ということで、今日は、

学習記録表の右側にある

7つのチェック欄だけにとらわれずに

具体的な使い方の実例を挙げて

ご紹介することにしました。

 

たとえば、塾生が翌週に来るつもりで、

1日1枚のペースで

6枚のプリントを家に持ち帰ったとして、

それを毎日1枚ずつやらずに、

教室に来る前日に

まとめて6枚やったとしましょう。

 

学習記録表にそう書かれていれば、

そのことがすぐに分かるわけですが、

そんなときにわたしは、その塾生に対して

「なぜ毎日1枚ずつやらなかったのだ」と

叱ったり責めたりすることはしません。

 

そんなことをしたところで、

わたしに怒られないように、

学習記録表には、さも毎日やったように

ウソを書くようになるだけだからです。


わたしが叱ったり責めたりしなくても

毎日やっているように

書いてくる塾生もいますが、

もちろん、そんな場合も

「これはウソでしょ?

 本当のことを書きなさい!」と

問い詰めたりすることも決してありません。

 

本当のことを書いていないことを

知っているのは、他でもない本人なのですから、

わたしがそのことを敢えて指摘しなくても、

「どうしてわたしはウソを書いているのだろう」

「どうして本当のことが書けないのだろう」

という問いが

その塾生に浮かべばいいのですから。

 

それはただ、

「自分で決めたことを、自分でできない自分」を

受け入れていないだけなので、

この学習記録表に事実をありのままに

記入できるようになることが

その塾生にとっての課題だと言っていいでしょう。


そのことがその塾生にとっての課題であることを

しっかり自覚するためにも、

「正しい事実を学習記録表に書いていない現実」

こそに意味があるから、

事実を学習記録表に書いていないことに対して、

決して責めたり叱ったりはしないのです。

 

また、プリントをやった時間が

めやす時間に遠く及ばなかったときに、

学習記録表にめやす時間でできたように書いたり、

ミスがたくさんあっても、

記録表に0個と書いたりする塾生も

ときどきいますが、

そんなときにも叱ることはありません。

 

つまり、プリントをやった結果が

正しく記入されているかどうかで、

「学習記録表に記入することの意味が

 どれだけ自覚されているか」という

バロメータにもなっていますから、

正しく記入されていないこと自体も、

それはそれで貴重なデータとなるのです。

 

そんなわけで、プリントをやることよりも、

起きた現実をそのままこの学習記録表に

記入できるかどうかは、自分を否定せず、

そのままの自分を

受け入れているかどうかですから、

そのことがどれだけ重要なことであるかを

塾生たちには折りに触れて

話すように心がけています。


こんなふうに、らくだメソッドでは、

わたしが塾生たちに

「このプリントをやってきなさい」

という指示を出さなくても、

自分で自分のやるべきプリントを

決めることができるようになっていくのは、

この学習記録表があるお陰だからなのです。

 

わたしがその塾生の問題点を「指摘」しなくても、

学習記録表を見ていれば

問題はおのずと浮き彫りになってきますし、

他人から指摘されなくても、

自分の現状に対して

自然と自覚的になっていき

自然と把握できる仕組みなのです。


この学習記録表には、

やり終えたプリントの番号、かかった時間、

ミスの数を書き入れていくのですが、

プリントができなかった日も

できなかったという事実が

空白として記録されていきます。

 

そうした日々の学習プロセスが

具体的にデータとして蓄積されていきますから、

塾生たちは、そのデータを見て、

どのプリントを何枚やれば、

次のプリントに進むことができると

自分についての現状を把握し、

自分自身で判断できるようになっていくわけです。

 

もし、この学習記録表がなかったとしたら、

そんなことは到底無理でしょう。

 

目の前にある1枚のプリントに丁寧に向き合い、

たんたんとやり続けていさえすれば、

必ず合格していくという事実が

この学習記録表を見ているとわかるのです。

 

それが見えるから、塾生たちは

指導者であるわたしから指示、命令されなくても、

自分で決めた学習を、自分でやろうとするのです。

 

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