〝自分〟を意味する漢字になぜ「我」と「己」があるのか(つぶやき考現学 No.81)
2022/02/23
自(自分)を意味する似た言葉に、
「我」と「己」があるんですが、
この違いを考えたことはありますか?
英語にも自分という意味で訳される単語には
「エゴ」と「セルフ」があります。
「我」という漢字のなりたちは、
ギザギザのついた形の良い武器とか、
「手」と「戈(ほこ)」の組み合わせで
できているという説があるのですが、
いずれにしても、自分のもっている
〝闘う〟性質を表したものと言えるでしょう。
それに対し、「己」という漢字は、
屈曲して目立つ目印ということから
人から呼ばれてハッと起立する者を表し、
〝始める〟〝気づく〟自分を
意味するようになったとのことです。
つまり、自我(エゴ)とは
自分から見た自分、
自己(セルフ)は
他者から見た自分と捉えると
わかりやすいかもしれません。
でも、自分で自分を見ようとしても、
自分の眼を自分ではじかに見えず、
自分が捉える自分の姿は歪みがちで、
錯覚だったり、おもいこみだったりすることが
すくなくないようです。
もし、自分という存在の本質を
自我の〝闘う〟ところにしか
見出せないとしたならば、
人生は「苦」しかないんだと
おもいこんでしまうかもしれません。
でも、もしかしたらその苦は
単なる錯覚かもしれず、
自分という存在の本質を
他者との関わりのなかで
〝始める〟〝気づく〟ことに見出せるなら
その「苦」も含めて掘り下げながら
精一杯生きてみる
価値があるとおもいませんか?(2018.11.19)
※井上淳之典のつぶやき考現学 No.81