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シャイン博士のプロセス・コンサルテーション

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シャイン博士のプロセス・コンサルテーション

シャイン博士のプロセス・コンサルテーション

2022/02/24

木曜は原則、マネジメント関連カテゴリーの

記事を書くように努めているんですが、

なぜ、この記事の2枚目の画像に

「逃げ恥」に主演したガッキーの写真があるのかは、

この記事を最後まで読めばわかりますので、

おたのしみに!笑

 

なお、本日ご紹介するエドガー・シャイン博士の

プロセス・コンサルテーションの話は、

〝教えない教育〟をキャッチフレーズにしている

らくだメソッドにもつながる内容のものです。

 

さて、未来デザイン考程というプログラムの特徴を

端的に表現するなら、

1枚目の画像に書かれた文言にもあるとおり、

〝叶えたい未来にたどりつくための

 道筋を明らかにする考え方〟となります。

 

たとえば、料理を作るときには、

何を作るかを決め、そのために必要な材料を集め、

食べやすい大きさに刻み、煮たり焼いたり調理し、

お皿などに盛り付けるという一定の手順があります。

 

また、自動車を組み立てるときにも、

どんな部品をどんな順序で加工しくっつけて行くか、

効率よく作業が進められるように

工場でラインが組まれていますね。

 

モノを生み出す場合のこのような手順は、

工程と呼ばれていますが、

企画書とか、事業計画書とか、人生設計といった、

目に見える形をもたない、

人間の頭脳による思考や情報を扱う場合にも

新しいものを生み出す手順が同じようにあり、

それを〝考程〟(造語です)と呼んでいるわけです。

 

さて、マサチューセッツ工科大学(MIT)

スローンスクールの教授を長く務めた

エドガー・シャインという人を知っていますか?
 

組織開発やキャリア開発、組織文化研究という分野で

すぐれた業績を残しているので、

経営学の先生だとおもっていたんですが

もともとは物理学から学び始め、

落第しそうになって心理学に方向転換、さらには

社会学や人類学などさまざまな分野の学問を積み、

学際的な研究に興味をもつようになったとのこと。

 

1928年、スイスに生まれ、

20世紀前半という激動の時代に

ソ連やチェコ、そしてアメリカと

さまざまな文化圏に移り住んだ幼少期、

そして、企業組織研究の失敗から生まれた

キャリア・アンカーという概念など

その生いたちや経歴にはとても興味をそそられます。

 

そのシャイン博士が

企業へのコンサルティング経験から生み出した
プロセス・コンサルテーションとよばれる

独自の組織開発手法があり、私見ですが

これ、未来デザイン考程の目指すところや内容と、

かなり近いものだとおもっているんですね。

 

 

シャイン博士はプロセス・コンサルテーションについて

次のように説明しています。

 

「プロセス・コンサルテーションとは、

 個人、集団、組織および地域社会を

 援助するプロセスに関する哲学および態度である。

 それは単に他の技法と比較対照される

 一連の技法というだけではない。

 プロセス・コンサルテーションは、

 組織の学習や開発にとって、

 鍵となる哲学的基盤である。」
エドガー・シャイン(稲葉元吉・尾川丈一訳)

 『プロセス・コンサルテーション』より

 

結局のところ、経営コンサルタントや

アドバイザーなどが「こうやれ!」と

行動内容を具体的に指示する介入を行ってしまうと、

クライアント自身の自立心を削ぎ、

自分の代わりに他人任せにしてしまうような

依存的人間を育ててしまいかねません。

 

「勉強しなさい!」と言われたことが

ある人は少なくないとおもいますが、

親や先生からそう言われ続けて

勉強する習慣が身に付いてしまうと、

自分のアタマでものを考え、判断し、

自分で進んで何かをしようという力そのものが

失われてしまう危険性アリという話と似ています。

 

シャイン博士は、支援者としての関わりについて、

そうした上意下達的なやり方よりも、

クライアントが自ら考え、判断し、

行動できるために、

必要な手順やプロセスを示し、そこに立ち合い、

対話的に伴走するやり方を重視したわけです。

 

つまりこの話は、

当塾が勉強の中味を教える塾でなく、

らくだメソッドなどの対話型教材を使って

学習者が自分の力で学習を進められるように

伴走する関わりを大切にする教室であることとも

ダイレクトにつながっているわけです。

 

 

ところで、未来デザイン考程は、

シャイン博士のプロセス・コンサルテーションとは、

まったく関わりのないところから生まれたもので、

両者の類似性に言及している情報は、

わたしの知る限り見つけられなかったので、

私見というか

わたしという一個人の意見にすぎません。

 

また、わたしという人間は、

プロセス・コンサルテーションについて

専門的に詳しく勉強したわけではなく、

全く的外れな感想ということもあり得るので、

あまり真に受けないで頂きたいんですが、

前記したように、

プロセス・コンサルテーションは、

援助するプロセスに関する哲学および態度

とありますから、この両者は

プログラムを生み出した哲学的基盤そのものに

共通点があるように理解している次第です。

 

また、未来デザイン技法は、寺子屋塾で

基本教材として採用しているらくだメソッドとも、

まったく別の人間が、まったく別の目的から

別の場所において開発されたものですから、

わたしが両者を知り得たことは、たまたま偶然で、

どちらも寺子屋塾の7つ道具として位置づけ

指導的立場で活用しているものの、

この両者がかなり親和性の高いものであることと

類似していると言っていいかもしれません

 

そして、その類似性や、哲学的基盤の共通項を

具体的に3点挙げるとするならば、

 

 ①クライアント、学習者中心である

 →〝転原自在〟を具現化するツール

 ②対話的関わりを重視している

 ③セルフカウンセリング的要素をもつ

 

となるでしょうか。

 

さてさて、未来デザイン考程が

いったいどういうプログラムなのかを

少しでもイメージを持って頂けたらと

書き始めたこの記事も随分長くなってしまいました。


哲学的基盤の共通項として第1に挙げた

転原自在という四字熟語は、

あまり聞き慣れない言葉なんですが、

寺子屋塾の学習において大事にしている

重要なキーワードでもあります。

 

でも、それを説明しようとするとさらに

たくさんの言葉を連ねなければならないため、

関心のある方は、リンク先の記事を参照いただき、

また、その意味に近い言葉が

TVドラマ「逃げ恥」第8話に出て来た、

ガッキーこと新垣結衣さん演じる

森山みくりの台詞にあったので、

それを紹介することで

長くなった本日の記事を締めくくることにしました。

 

〝人の気持ちは変えられないけれど、

  人生のハンドルを握るのは自分自身。〟

 

 

※シャイン博士の具体的な業績については、

エドガー・シャイン ポータルサイト

詳しく掲載されており、著作も沢山有りますので、

ぜひ参照してみてください。

 

※冒頭の画像は㈱博進堂のFacebookページより拝借しました


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