講座で事前に課題を出していた意図について
2022/05/26
なごや環境大学という名古屋市の企画で
だれでも市民向けに講座を企画できる
共育講座という枠があるんですが、
2007年から2014年まで、
その枠を使って「ファシリテーション入門講座」を
毎年開催していたことがありました。
その講座は、入門と銘打ちながら、
2日間で14時間という
参加実践型のハードなプログラムだったんですが、
毎回受講生全員に、
講座で使用するテキストを事前に送付し、
「テキストを読んで3つ質問を考えてくる」という
課題を出していました。
講座で使用していたテキストは、
2日間の講座だけでとてもすべて学びきれないほど
奥行きと幅があるものだったので、
困ったとき、何かあったときに開いて
解決への手がかりを探してみるという
辞書・事典的な使い方を推奨していたんですが、
難しい内容であることを逆手にとって
質問を考えるためのテキストとして活用したわけです。
講座の中では、何のためにこのような事前課題を
出したのかという話をいつもしていたんですが、
以下は、そのときに配布していた
「事前課題の意図について」という資料をベースに
若干手を加えたものです。
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ファシリテーション入門講座「事前課題の意図について」ver.2.1
1.テキストを一通りざっと読んできてほしい
→ 「テキストを読んできて下さいね」と言うだけではなかなか読んでもらえない。
→ 「質問を3つ考えてきて下さい」といわれたら、テキストに一通り目を通さななければならなくなるので、読んでもらえる確率が高まる。
→ 質問の数を3つにするのは、3つに限定することで情報集約度が高まる可能性があるため。
→ 自分の意図を確実に相手に伝える工夫の実例として紹介したい。
2.自ら〝問い〟を出し、〝問い〟を立てる練習をしてほしい
→ 「書かれている内容が完全にわかることを求めているわけではない」ことを伝えたい
→ 「わかること」と「できること」は別次元のこと。わかっていなくてもできていることは沢山ある
→ 人間はわかったつもりになってることが少なくないので、「わかること」はさほど重要ではない
→ わからないことに対して、わかったふりをせずに〝問い〟を出せることが大事
→ 自分は何をわかっていて、何をわかっていないかを理解していることが大事
→ 〝疑問〟は感じるもの、思うものであるのに対し、〝問い〟は立てるもの。疑問から出発して、自ら考え答を探し出そうとする行動につながる〝問い〟を!
3.自分の中にある軸(判断基準、考える方向性)を自覚するきっかけをつくりたい
→ 自分の中に全く軸がなく、完全に受け身の姿勢だと〝問い〟そのものが全く浮かばない
→ 逆に、自分の軸を絶対視しそれだけに固執していると、書かれている内容に疑問を呈したり頭から否定したりするだけで終わってしまう
→ 「正しいか、正しくないか」で速断せず、まずはそのまま受けとめることが大事
自分の軸を持ちながらも、それを振り回さず、押しつけず、一旦棚上げにできる姿勢が大事
4.場づくりをする側の人間にとっての〝マーケティングリサーチ〟の一環として
→ ひとくちに〝ファシリテーション〟といっても、非常に幅が広く奥も深いので、参加者の皆さんがどのあたりに関心が向かっているか、何を学びたいか、どんな課題を解決したいかなど、問題意識の方向を探るため(場づくりをする立場にある人間にとっての現状把握)
※テキスト『集団創造化プログラム』は一般書店では購入できませんが、中村教室にて販売しています。