宇田亮一『吉本隆明「共同幻想論」の読み方』《新装版》が出ました
2022/12/16
金曜は読書関連の話題を投稿しています。
先週の金曜12/9に投稿した記事
ジャンルがまちまちなので、
比較するのが難しいものも正直あるんですが、
概ね、わたしが重要だと考える順序で
並べられていると考えてください。
それで、5番目にご紹介した宇田亮一さんの
『吉本隆明「共同幻想論」の読み方』については
2013年3月に菊谷文庫から出版された初版本を
幸い品切れになる寸前のところで
わたしは手に入れることができたんですが、
2017年以後はamazonの古書市場などでも、
5,000円〜10,000円のビックリするような
高値で取引され、入手難の状態が続いていました。
以下は本書のフライヤーです。
それで今日は、最近知った本書に関することで
嬉しいことと悲しいことの両方を
ご報告しなければなりません。
嬉しいことの方は、冒頭の写真の右側にあるように、
アルファベータブックスより、
今年の10月に出され、
入手難の状態が解消されたことです。
『共同幻想論』がいかに重要な書物であるかは、
こちらの記事を始めとして、このblogでは
何度も書いてきたことなのでここでは繰り返しません。
著者・宇田亮一さんの書かれた「新装版あとがき」には
次のように書かれていました。
「この本に面白さがあるとすれば、
それは、吉本さんのはみ出した部分に
焦点をあて続けたことにあると思います。
これこそがこの本の生命なのです。
そういう意味で、この本は、学者・研究者の死角から
〈吉本隆明の可能性〉に切り込むことが
できているのではないかと思います。」
本書については、また機会を改めて
中味を詳しくご紹介したいとおもっていますが、
「最高の吉本入門書」というのは
けっして過大広告ではありません。
悲しいことの方は、本書の編集者であり、
初版を出版された菊谷文庫の主・菊谷倫彦さんが
2020年10月に急逝されていたことを
blog記事にて知ったことです。
わたしは菊谷さんとは、菊谷文庫で出されていた本の
注文のやりとりをメールで数回させて頂いただけです。
菊谷さんの著書『無名なものの詩(うた)と革命〜
孫世代からみた吉本隆明』を読ませて頂いて
いつかお目にかかりたいとおもっていたのに、
それも叶わない人となってしまいました。
この宇田さんの『吉本隆明「共同幻想論」の読み方』
が書かれなければ、そして菊谷さんが本書を編集され
出版されていなければ、
わたしにはとうてい『共同幻想論』という難しい本を
読み解くことはできなかったとおもいます。
菊谷さん 本当にありがとうございました。