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まついなつき『恋する女はみんなバカ』

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まついなつき『恋する女はみんなバカ』

まついなつき『恋する女はみんなバカ』

2024/01/28

今日は読書の話題です。

 

まついなつきさんが書いた文章を初めて読んだのは、

わたしが19歳のときなので、

もう45年も前のことでした。

 

自宅近くの書店でたまたま手に取った

漫画情報誌『だっくす』1978年9・10月号の

読者寄稿欄に載っていた評論文

『股間のチンチン あるいはわたし好きです

こまわりくん ギャグ漫画下ネタ考』です。

 

さまざまな漫画作品を自由奔放に論評しつつ、

表現の向かう先を冷静に分析し、

主張したいことが明確に伝わってくる見事な文章で、

それを書かれたときのまついさんが

まだ高校2年生だったことを知って驚いたのは、

きっとわたしひとりだけでは

なかったことでしょう。

 

この人は近い将来、作家として

世に名を残すような仕事をされるだろうと

おもったものです。

 

まついさんの訃報を記したこちらの記事のように、

彼女を自由な人と評する人は

少なくなかったようですが、

2020年1月、わたしよりもひとつ年下の、

囚われない自由さを持った方が

先にあの世に還られたことは、

同じ時代を生きてきた同世代のわたしにとって

悲しく残念なできごとでした。

 

まついさんの著書はたくさんありますが、

昨日投稿した記事で紹介した銀色さんの詩が

恋愛がテーマだったこともあり、

まついさんが40歳のときに書かれた

『恋する女はみんなバカ』を。

 

副題に「21世紀対応〝自立する恋愛〟考」とあり、

自己観察、自己発見の姿勢に貫かれた

セルフラーニングの考え方とかなり

親和性の高い内容のものです。

 

ただ、引用したプロローグの文中にあるように、

この本は恋愛論ではありません。

 

そもそも、『恋愛論』を読んだところで、

それで恋愛がうまくいくようになるナンテことは

ほとんど無いとおもうんですが。。笑

 

 

(引用ここから)

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こんにちわ。
「恋する女はみんなバカ」というタイトルの本です。
幸せになるための恋愛修行、ということですが、この本は『恋愛論』ではありません。私が単に「人を好きになる」システムは不思議だなあと思って、その不思議をみつめていただけの本です。
みつめているとなにか見つけた気になって、それを書かずにはいられない。
こんなもんはしょせん「私」の個人的な問題なのですが、もしかしたら「人を好きになるシステム」のことをお悩みの方に、お役にたつことがあれば、と上梓することにいたしました。

 

私は今、40歳です。
11歳の時、一番仲良しだった男の子に友情を感じるところから、私の「バカさん」な旅は始まります。で、おそろしいことにこの旅、まだ終わっていません。いまだひーはーいいながら、旅の途中らしいです。でもここまで来たらもう引き返す気持ちもありません。
これはこれでいいじゃんか、という気分です。
強気です。
年齢がそうさせるのでしょうか?おぞましいですね。
もとからの性格なのでしょうか?もののけですね。 

 

とにかくそのシステムをみつめているうちに、私はあるひとつの法則を発見しました。
それは「好きになる相手は、自分自身の鏡だ」という恋の法則です。
それは「一度にほとんど同時に何人もの人間を好きになってしまう」という若い頃の性癖にたちかえってみつけた法則です。
好きになるといっても、ほんとにただ「好き」って思っているだけで、背後から襲い掛かったりはしていないので、あんまり罪はないと思うのですが、ラブレターを書いてみたり、強引にデートに誘ってみたり、金を借りてみたり返してみたり(?)、好かれた方はすごく嫌だったかもしれません。嫌だったでしょう、きっと。
とにかくあまりに節操なく好きになってしまうので、これは何かあるのではないか?と自分の心を凝視してみたのです。

 

よくわかりません。 
よくわからないまま、好きになったりその熱が覚めたりの繰り返しを続けていくうちに、好きになった時の自分の状態を冷静に振り返ってみたりできる年齢に達していました。思うに「好きな人」のどこが好きだったのかは、自分自身がその時、強化したい部分を持っている人だということに気がつきました。それは単純だけど、とても強い思いです。
その人と仲良くなりたいということは「どういう自分でありたいか」という回答が常に含まれていました。 好きな人と同一化したくて、相手の好きな音楽を聞いてみたり、ペアルックを着てみたりするのも、この範疇に入るかもしれません。

 

恋の相手は自分の先生。
なまけもので金遣いの荒い男を好きになってしまう傾向がある時は、自分がなまけもので金遣いの荒い女になる方がラクチンで気持ちいいなということに気が付くべき時だったりします。
ストイックで孤独好きな男に魅かれてしまった時は、そういう資質が自分の中に存在することを自分で認めて、今はひとりで自分をみつめがんばるときなのだということに気がつけばいいんです。それをしないで、てっとり早くそれがうまくできている男に同一化しようとしてもむなしい結果になるだけです。

こういうときは誰かに自分をわかって欲しいと、無駄にもがくことに時間をついやすことはありません。 自分でそういう自分を引き受ける大人になるチャンスだとしばらくひとりでがんばってみるのがいいのです。
複数の人を好きになってしまうときは、それだけ自分に解決するべき問題が多いという無意識からのメッセージだったりするんですよね。


好きな気持ちを自分の肥やしにしましょう。
ただのでたらめ好きや、自分をめぐって複数の男がどうこうという、ドラマチックマニア(悩むのが好き)はおいといて、他人を好きになるということは、自分がどんな人間なのか自分で知りたいという無意識の表れなのです、たぶん。それなら好きになる相手が1人よりも2人、2人よりも3人のほうが多面的に、自分自身を理解することができるチャンスだといえるので、気が多い自分を悩むことはありません。
どんどんたくさん誰かを好きになるのがいいと思います。

 

それでは始めましょう恋愛修行。
幸せな自分になるために。
そしてだれかを幸せにするために。


まついなつき『恋する女はみんなバカ 21世紀対応〝自立する恋愛〟考』プロローグ〝鏡〟より

 

 

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