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読む力を身につけるにはどうしたらいいですか?(その2)

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読む力を身につけるにはどうしたらいいですか?(その2)

読む力を身につけるにはどうしたらいいですか?(その2)

2024/03/04

昨日3/3に投稿した記事の続きです。

 

少し前に、塾生のひとりから

「読む力を身につけるのにどうしたらいいですか?」

と問われたことがあり、

そのときわたしが話した内容を、

他の人が読まれても

その人なりに何かを受け取って貰える様に

一般化した形で再構築して書いています。

 

また、(その2)となっていますが、

昨日の記事は

一昨日に投稿した記事の続きとして書き始めたので

未読記事がある方は、それを先に読まれてから

以下を読んで戴ければ幸いです。

 

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さて、昨日書いた話は、

「読む力」をいかに身につけるかというよりは、

そもそも、どういう動機で「読む力」を

身につけようとしているかという

その前段の話ばかりでしたね。

 

でも、ちゃんと本質に届くように

物事を考えていこうとするときには、

そもそもって前段の話がとっても大事なんですよ。

 

たとえば、「読む」というのは、

上の図でいえば①入力にあたるんですが、

この①入力と②加考(工)を

明確に分けるってことができなくて、

ごっちゃになっていることが少なくないんですね。

 

だから、この3つのプロセスを

明確に分けることがとっても大事なんです。

 

そして、3つのプロセスを分けて意識することを

可能にする重要なツールの一つが

わたしにとってはインタビューゲームだったんです。

 

わたしたちの日常で行われている

コミュニケーションにおいては、

自分が話したことが相手にどのように伝わったかは

フィードバックされることが殆どありません。

 

だから、だいたいお互いが

「伝えたつもり」「伝わったつもり」で

終わってしまうというか、

それを互いに確認することなしに、

過ぎていくのが普通です。

 

でも、インタビューゲームの場合は、

相手から聞いた内容をカードにまとめるので、

「あなたが話した内容はこういうことでしたよね?」

という風に、

言語化されてフィードバックされてきますから

自分が相手に伝えたかったことと、

実際に相手に伝わったことの間に、

どんなズレが生じていたかが

双方にてきめんに分かってしまうんですね。

 

だから、インタビューゲームを繰り返せば、

この①入力 ②加考 ③出力の3つのプロセスを

区別して意識できるようになっていくし

そのうちのどこに自分の課題があるかも

次第に自覚できるようになっていくわけです。

 

 

それで、①の入力段階で一番大切なことは、

Aさんによって発せられた

「アイウエオ」という情報があったとすると、

その情報に接したときに、自分のアタマの中に

そのまま「アイウエオ」と再現されることです。

 

 

大和信春さんの『心の自立』という本には、

素直さとは能力であって、けっして

相手の言いなりになることではないという例として

次のような話が紹介されていました。

 

あるお父さんがテレビを観ていて,

若くて美人の女優さんが映っていたので、

「きれいな人だね」と言ったら、

後で聞いていた奥さんが

「どうせわたしはブスだわよ。そんなら私

と別れて結婚すればいいじゃない」と

怒ったといいます。

きれいな女優が映っていると

言っているだけですから、それをそのまま

情報として受け取ればよかったのですが、

そこに私が気に入らないのだとか、

別れたがっているとか、情報を勝手に変えて

インプットしている。

だから、夫婦げんかになるわけです。

 

つまり、この夫婦の会話の例は、

①入力プロセスと②加考プロセスを、

混同しごっちゃにしてしまっているわけですね。

 

でも、素直さとは、言い換えれば

入力した情報素材を原形をとどめた形で

受信できることであって、

態度を改めたり決意表明したりするだけでは

得られない〝能力〟のことを言うんだと。

 

とくに本を読むときや、

人の話を聞くときなどにありがちなんですが、

本を書いた著者は、自分とは別の人なのに、

目の前の話し手は自分ではないのに、

本に書かれているコトバを

相手が話しているコトバを

読んだ人、聞いた人が

自分の辞書で解釈してしまうってことが

しばしば起きます。

 

でも、解釈するのは、①入力のプロセスではなく、

②加考のプロセスですべきことなんですね。

 

メールのやりとりや会話といった

日常のコミュニケーションにおいても、

こういうことって

結構、頻繁に起きているのではないでしょうか?

 

コピー機でいえば、

元の原稿のとおりにちゃんと映るのでないと、

そもそもコピー機の役割を果たせません。

 

カメラでいえば、レンズの部分に

歪みや曇りがあったら、

ちゃんと映らないので困ってしまいます。

 

マイクでいえば、ノイズが入らないことや

音が歪まないことが大事でしょう。

 

 

さて、前に書いた夫婦の会話の例のように

入力の段階で、内容を質的にねじ曲げ

変質させてしまうってことをやってると

夫婦げんかにまで発展する可能性があり

問題が大きいわけですが、

そうした内容の変質までは生じていなくても、

受け取れる情報の物理的な量自体が

少なくなってしまっているっていうことも

しばしばです。

 

たとえば、1冊の本に

100のことが書いてあるとするなら、

現実にはそこから100のことが

全部ちゃんと受け取れる人ばかりでなくて、

100のうち50しか受け取れない人や、

10しか受け取れない人がいたりするからです。

 

もし、1冊の本から100受け取れる人と

10しか受け取れない人があるとするなら、

その時点ですでに10倍も開きがあって、

それだけで大きなハンディがあるわけですね。

 

でも、だからといってわたしは、

入力のプロセスがとても重要だと認識していても、

たとえば、速読法というような技術を身につけて、

入力するための能力だけを向上させればいいって

考えているわけではありません。

 

なぜなら、①入力プロセスと②加考プロセスを

混同しごっちゃにしないということが

大事だと書きましたが、

①入力プロセスと②加考プロセスは

微妙に連動しているというか

両者のバランスが大事だと考えているので

その点だけは誤解しないでくださいね。

 

 

それで、わたしも中村教室を開いて以後、

読書会を頻繁にやるようになったお陰で、

本に書かれている内容が、

読んだ人にどのくらい受け取られているかが、

人によってもの凄く違うってことがわかってきて、

もちろんそれには個別に異なる様々な原因があり、

一律に言えないところもあるんだけど、

代表的な原因を挙げるとするなら、

大きく3つあるとおもっています。

 

まずひとつめは、前記した夫婦の会話の例のような

相手のコトバ、著者のコトバを

自分側の辞書で解釈して、

簡単に分かったつもりになったり、

分からないといって拒絶したり、

ねじ曲げて解釈したりしてしまうことですね。

これは①入力と②加考とごっちゃにして

混同している結果として生じることだってことは

前にも書きました。

 

そしてふたつめは、

情報の受け取り手自身の

アタマの中の物理的なキャパシティ自体が

不足する状態を招いてしまっていること。

 

つまり、情報を受け取る以前の問題として、

アタマの中に情報がたくさん詰まっているために、

飽和状態になってしまっていて、

未整理な状態にあるというか。

 

とにかく今の時代は、

まわりに情報がたくさんありすぎて、

多くの人がそうした状況に陥りやすい環境にあり、

結局、人の話を聞いたり本を読んだりしても、

そのように外からやって来る情報が

うまく受け取れなくなってしまってるわけです。

 

だから、わたしたちの生活自体が

そういう状況に常に晒されていることを認識し

自覚する必要があるし、

自分のアタマ中にある情報を一旦脇に置くなどして

まっさらにするような姿勢が

大事になってくるんですが、

一朝一夕ですぐできるような

易しいことではありません。

 

ちなみに、この話については以前、

新しいことを学ぶ心得というテーマで書いた

つぶやき考現学があるので、

この詞はらくだメソッドの学習に言及した

内容になっているんですが、

読書の場合もほぼ同じように言えることですから、

未読の方はご覧ください。

新しいことを学ぶ心得について(つぶやき考現学 No.98)

 

みっつめは、こちらの記事で紹介した

三枝誠さんの著書に出てくる

「外経絡」という考え方に関連するんですが、

気の見地から人間関係のパターンを

汚穴型、睡穴型、閉穴型、互穴型という

4つのタイプに整理したとき、

汚穴型タイプと閉穴型タイプがそれにあたります。

 

つまり、汚穴型の場合は、

自分からエネルギーを放出する力が強すぎて、

まわりからエネルギーを取り入れようとする

姿勢自体が弱いわけですが、

結局、情報もエネルギーの一つですから、

汚穴型の人は、そのことにともなって、

まわりから受け取れる情報量が

少なくなってしまいがちなんですね。

 

自分のことばかりしゃべっていて、

話を全然聞いてないって人、

みなさんのまわりにいませんか? 

 

また、閉穴型の場合は、そもそも

まわりとやりとりするエネルギーの

物理的な量自体が乏しいために、

まわりから受け取れる情報量自体が

少なくなってしまう傾向にあるわけです。

 

4つの気穴タイプについては、

こちらの記事(外部リンク)などをご覧ください。

 

※この続きはまた明日に!

 

 

【関連過去記事】
インタビューゲームでなぜ人生が変わるのか(その1・ジョハリの窓から)

インタビューゲームでなぜ人生が変わるのか(その2・3つの幻想領域をふまえて)
インタビューゲームでなぜ人生が変わるのか(その3・相互に相手の自由意志を尊重)
インタビューゲームでなぜ人生が変わるのか(番外編1・内田樹『先生はえらい』)
インタビューゲームでなぜ人生が変わるのか(番外編2・二村ヒトシ『すべモテ』)
インタビューゲームでなぜ人生が変わるのか(番外編3・平田オリザ『わかりあえないことから』)
インタビューゲームでなぜ人生が変わるのか(番外編4・中原淳&長岡健『ダイアローグ 対話する組織』)
インタビューゲームでなぜ人生が変わるのか(番外編5・高木泰子さんの感想)

新しいことを学ぶ心得について(つぶやき考現学 No.98)

 

 

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