寺子屋塾

中原淳『知がめぐり、人がつながる場のデザイン』

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中原淳『知がめぐり、人がつながる場のデザイン』

中原淳『知がめぐり、人がつながる場のデザイン』

2024/08/07

今日は本のご紹介です。

 

昨日投稿した記事は、

お盆休みに入る前の8/11に計画している

ビヤガーデン寺子屋の

イベント案内でした。

 

当塾に在籍している塾生の8割以上が

社会人という事情をよくご存知の方は、

別段驚かれることもないとおもいますが、

一般的には、

「学習塾」に「ビヤガーデン」という単語は

ミスマッチと感じられるのが普通でしょうから、

今日はそのあたりについて

詳しく書いてみたいとおもいます。

 

 

わたしが寺子屋塾を開く前は、

小中学生対象の進学塾で

7年間学習指導していたという経緯もあって、

募集要項に「対象年齢は問わない」としつつも、

開塾した当初、在籍していた塾生の

9割以上は小中学生でした。

 

わたし自身が寺子屋塾において、

社会人の人たちも積極的に受け入れることを

意識するようになったのは、

ファシリテーションを学ぶガイド役として

方々からお声をかけて戴いたり、

若者就労支援の事業に関わるようになった

2008年頃のことです。

 

その当時、働く大人たちにとっての学びという

テーマについて考えようとするときに、

わたしが一番注目してきたのは、

立教大学経営学部教授・中原淳さんの研究でした。

 

過去にこの寺子屋塾ブログでは、

中原さんが東大大学院におられた頃に書かれた

ブログ記事を紹介しながら書いた記事や、

長岡健さんとの共著

『ダイアローグ 対話する組織』を紹介した

記事があるので、

未読の方はそちらからご覧戴けると助かります。

ゆるい学びの〝場づくり〟ということ

インタビューゲームでなぜ人生が変わるのか(番外編4・中原淳&長岡健『ダイアローグ 対話する組織』)

 

 

2011年2月に単著の形態で出された

『知がめぐり、人がつながる場のデザイン』という

長いタイトルの本があるんですが、

本書には、

「働く大人が学び続ける

〝ラーニングバー〟という仕組み」という

さらに長いサブタイトルが付されています。

 

この〝ラーニングバー〟に着目しました。

 

この本には目からウロコが落ちる発想が、

イッパイ詰まっているので、

未読の方はぜひ読んで頂きたい1冊なんですが、

わたしは本書を読んで、寺子屋塾の教室を、

サラリーマンがアフターファイブにふらりと

居酒屋に立ち寄るような敷居の低い場所にしたい

おもったものです。

 

本書の冒頭に置かれている「はじめに」は

Amazonのページにあるサンプル

全文読むことができるのですが、

以下その内容をご紹介。

 

(引用ここから)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
何かを人に語りかけようとするとき、その「内容」と「視点」と「宛先」を明示しておくのは、非常に重要なことです。


僕は「何」を語るのか?(内容)
僕は「何者」なのか?(視点)
そして、僕は「誰」に対して語りかけているのか?(宛先)


僕はこれらを明らかにしながら、本書をしたためたいと願います。「内容」と「視点」と「宛先」を抜きにした語りは、結局「中空」に漂い、 誰の「耳」にも届かぬことがままあるからです。本書においても、まずそのことを、この本を手に取って頂いた皆さんと確認することからはじめましょう。

 

まず「内容」です。
本書で、僕は「ラーニングバー(Learning bar)」という、組織を超えた「大人のための学びの場」について語りたいと思います。
今や、毎回の募集人数200人に対して、800人を超える方々が申し込むまで成長したラーニングバー。決して申し込み人数が重要なわけではないのですが、以前よりも多くの社会的期待を頂けるようになってきました。

 

本書では、その「学びの場」がなぜ生まれたのか、どのように僕はそれを創っているのか、その歩みとノウハウについてご紹介しようと思います。そして、現在、そこにどういった新たな課題が生まれているのかについても、触れたいと感じています。

 

一方で、「ラーニングバーについて語ること」は「ラーニングバー以上のものについて語ることになるかもしれないこと」に、僕は気づかぬわけにはいきません。つまり、ラーニングバーがどのようなものであるかをなるべく正確に語り尽くそうとすることは、ラーニングバーを開くことで僕自身、あるいは、僕につながる人々に生じた変化についても語ることなのです。

 

その変化は、
1.僕自身が「学び手」として充実した日々を過ごせることに加え、ラーニングバーに集う人々と僕がつながりはじめ、さまざまな仕事をと もになすようになったこと
2.ラーニングバーに集う人々同士がつながり、新たな商品やサービスを生み出しはじめるようになったこと
3.ラーニングバーで学んだことを再吟味するさまざまなコミュニティが生まれはじめたこと
4.ラーニングバーのような自主的な研究会や勉強会を自ら開催する人々が現れはじめたこと
——など、諸相にわたっています。

 

このように、ラーニングバーは、僕と僕につながる人々にさまざまな 「変化」を引き起こしました。見方によっては、そこに「エコシステム」とも形容できる「ゆるやかな社会的つながり」が生まれはじめているとも言えるようです。そこでは、多様な人々が出会い、交歓のなかから、予想もしなかった知が生まれています。

 

次に、どのような「視点」で語るか、ということです。


僕は、この本を「ラーニング・プロデューサー」という実践家の立場で語ります。ラーニング・プロデューサーという言葉は僕の造語ですので、これには少し説明がいるでしょう。ここでは、さしずめ「人々に学びや気づきをもたらす〝しかけ人〟」だとお考えください。
僕はふだん大学で教育・研究に当たっている「プロフェッサー」のひとりです。自分の専門は「経営学習論」だと考えています。経営学でいう 「組織行動論」に近い研究分野かもしれません。

 

主に「企業・組織で働く人々の学習・コミュニケーション・リーダーシップ」について研究しており、研究室のキャッチコピーは「大人の学びを科学する」です。 大学での僕の役割は「プロフェッサー・オブ・マネジメントラーニング (Professor of Management Learning)」になります(プロフェッサーとしての研究業績はほかの著書をご覧ください)。

 

しかし、本書においてラーニングバーを語るときの僕の語りは「プロフェッサー」ではなく「ラーニング・プロデューサー」のそれに、あえてこだわることにします。すなわち、学びの場を創造するひとりの実践者として、それを「しかける人間」のひとりとして、それをどのようにデザインしているのかということを、一人称で経験的に語りたいと思うのです。


もちろん、そうはいっても、両者ははっきり切り分けることができるものではありません。 僕は「プロフェッサー」であり「プロデューサー」 です。そして「プロデューサー」であり「プロフェッサー」なのです。 いくら「プロデューサー」の立場に立つといっても、ときに「プロフェッサー」としての語りが交じることもあるかもしれません。

 

ゆえに、本書では、可能な限り「書き分け」を行いたいと思います。「プロデューサー」としての語りは本文において、「プロフェッサー」としての語りが生じた場合は脚注において、文をつづることにしました。 ただし、後者は読者の方々の継続的な学習に資すると思われることだけにとどめます。

本書における僕の「視点選択」は、「プロフェッサー」として生きられない人が「プロデューサー」として生きることを選ばざるを得ない、というような「消極的な選択」ではありません。
むしろ、僕自身が「プロデューサーとしての役割」と「プロフェッサーとしての役割」を併せもつ存在であろうとする「積極的な選択」の結果 です。その選択ゆえに、己の「バルネラビリティ (脆弱性)」が高まり、 それぞれの世界から疎んじられようとも、僕はそのことを意に介しません。むしろ、この役割の二重性にこそ、自らが研究する意味があるのではないか、と朧気ながらに感じています。

最後に、本書の「宛先」です。


この本を通じて僕が語りかけたい方は、「自ら学びの場を創ろうとしている実務家の方々」です。
生き馬の目を抜くような厳しい外部競争環境のなかで、自分自身が事を成し遂げるために、そして、ハードな仕事を楽しむために、「自分自身と他者が学ぶ場、気づきを得られるような場」をあえて創り出そうとしている方々に、この小さな本を捧げます。

 

僕は「何」を語るのか?
僕は「何者」なのか?
そして、僕は「誰」 に対して語りかけているのか?


冒頭に掲げたこの三つの問いに対する僕の「答え」はまとまりました。

本書において、僕は、自らがデザインした学びの場である「ラーニングバー」と「それを超える何か」について、「ラーニング・プロデューサー」という実践者の立場から、「自ら学びの場を創ろうとしている実務家の方々」に語りかけようと思います。
本書における僕の語りが「自ら学びの場を創る実務家」の明日の一歩に、少しでも寄与しますように。 また、僕自身がこの機会を通じて、自らの為してきたことに対して深い内省をすることができますように。そして、果てしなく液状化するこの世の中に「ラーニング・プロデューサー」を名乗る人々がますます増えることを願います。


「ラーニング・プロデューサー」たちが、それぞれの個性を活かしつつ、 多種多様で異種混交な学びの場を生み出していくこと。そして、それがあたかも「祭りの日の縁日」のように連なっている状況。 そして、この祝祭空間において、志ある人々が行き交い、賑わい、談笑し、気づきを得て、新しい「何か」を生み出す......。そんな「近い将来」を僕は夢見ています。

 

中原淳『知が巡り、人がつながる場のデザイン』はじめに 全文

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(引用ここまで)

 

 

本書の帯の裏に、

なぜ、今、働く大人に

「ラーニングバー」が必要なのか?

という問いに対しての見解が示されています。

 

この、最後に置かれているフレーズ

 

倒置と異化によって、自らと組織を呪縛するものに

「裂け目」を入れることが必要なのです。

 

にはぐっと来るモノがありますね。

 

 

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●2021.9.1~2023.12.31記事タイトル一覧は

 こちらの記事(旧ブログ)からどうぞ

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★中村教室のお盆休み 8/13(火)〜16(金)★

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 8/11(日) ビヤガーデン寺子屋

 8/18(日) 第26回易経初級講座

 8/24(土) 未来デザイン考程ワンデイセミナー

 8/25(日) 映画VOP予告編⑦上映会

 9/29(日) 第27回 経営ゲーム塾B

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