「統合する」ということ(その13)吉富昭仁『BLUE DROP』
2024/09/18
昨日9/17に投稿した記事の続きで、
「〝統合する〟ということ」をテーマにした記事も
今日で13回目になりました。
これまで投稿してきた12回分で書いた内容を
前提として話を進めることがあるので、
未読記事のある方は、
まずそちらから先にお読み下さい。
さて、(その10)で、雲黒斎さんが、
愛について話されていたことから、
第10章「愛」を(その11)と(その12)の
2回に分けて投稿しました。
1時間にわたる動画の文字起こし講義録や、
長い文章の紹介が続いたので
今日は漫画本を紹介して、
サクッと短く終えようとおもいます。
すこし前7/24に、ゆうきゆうさん原作のマンガ
『マンガで読む心のクスリ』という本を
紹介したことがありました。
その記事で長月みそかさんの『のぞむのぞみ』という
TS(トランスセクシャル)マンガを
紹介しているんですが、
その流れでアレコレ検索していた際、
わたしが新たに見つけた、
吉富昭仁というマンガ家が描いた
作品があります。
主人公ショータは、のっけからいきなり
アルメ(異星人)から女に改造させられた
親友ケンゾーからセックスを迫られるという
衝撃的シーンから始まります。
つまり、冒頭の画像で紹介している1巻2巻の
表紙に描かれている、女の子に見える二人は、
二人とも中味は男の子で、
同性愛あり、異性愛あり、何でもあり(笑)という
一見、倒錯的展開を見せる近未来SF。
でも、このマンガ作品のコアにあるテーマは
〝愛〟だとおもうんですね〜
もちろん、わたしがそう感じただけで、
作者自身がそう話しているわけではありませんが。
また、雲黒斎さんのYouTube動画
文字起こしした講義録の後半(その10)終結部で
僕たちは愛を知るためにここにいて
経験をしているんだっていうことの中で、
今を生きるっていうことに尽きるんです。
と話されていたところがありました。
でも、この「今を生きる」という言葉が、
具体的にどういうことなのかとなると、
なかなかピンと来ないんじゃないかと。
作者の吉富さんは1巻のあとがきに
「先を考えずに描いています」と書かれていて、
もし、「今を生きる」姿勢で
マンガを描いたとしたら、
まさにこういう展開になるんじゃないかと
感じたことが、
わたしがこの作品を
この流れで紹介してみようとおもった
もうひとつの理由です。
さらにいうと、昨年11月に
「〝教えない〟性教育」考というテーマで
24回の連投記事を書いたことがあったんですが、
この『BLUE DROP』もその
教えない性教育 推薦図書の
1冊に加えることにしました。
アルメは女性だけで繁殖できる種属という設定で、
この作品には女性同士のセックスシーンが
たくさん登場します。
でも、だからといって同性愛を賛美するとか、
特定のセクシュアリティのみを
規範として示そうとしていないし、
全然お説教臭いところがないんですね〜
つまり、同性愛と異性愛を対立的に見るのでなく
統合されているってことなんですが。
ジェンダーやセクシュアリティの問題を
ゆるやかに解体しつつ、その一方で
「愛」や「友情」というテーマについても
きっちり描いているという点において、
そして、近未来のSFでありながら同時に
現実世界のリアル感も失せていない点において、
他に類を見ない
希有な作品だとおもったというのが
推薦理由です。
この吉富昭仁という作家さんは
これまでわたしは全然知らなかったんですが、
もう30年以上のキャリアがあって
たくさんの作品を送り出されているようで、
いやぁ〜 ホント天才!ですね〜
『BLUE DROP 天使の僕ら』(全2巻)は
2007〜2008年に出版された作品で
紙の本は古本ならかなり安く入手できますし、
電子書籍もあるので、
面白そうだとおもった方は
是非読んでみて下さい
・・・って、
サクッと短く終えようとおもったのに
結局、長くなってしまいましたね〜 (^^;)
この続きはまた明日に!
【参考記事】
・雲黒斎『あの世に聞いた、この世の仕組み』(その3)
・佐治晴夫『「これから」が「これまで」を決めるのです』(「今日の名言・その21」)
・J.クリシュナムルティ「あなたは世界であり、世界はあなたである」(今日の名言・その68)