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「統合する」ということ(その24・最終回)これまでのまとめ

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「統合する」ということ(その24・最終回)これまでのまとめ

「統合する」ということ(その24・最終回)これまでのまとめ

2024/09/29

昨日9/28に投稿した記事の続きで、

「〝統合する〟ということ」をテーマにした記事も

今日で24回目になったんですが、

明日は9月の末日でもあり

1ヶ月間のふりかえりを投稿する予定なので、

本日分の投稿にて締めくくるつもりです。

 

記事の素材を様々なカテゴリから取り上げていて

長い文章は2回に分けて

投稿したものはあるものの、

その単独でも読めるように配慮しました。

 

ただ、各々の記事内容が統合されることから

浮かび上がってくるものこそ、

この連投記事で書こうとしている

メインテーマでもあるので、

これまでの投稿で未読記事のある方は、

時間的に可能な範囲でご覧になり

ぜひ内容の統合にチャレンジしてみて下さい。

(その1)栗本慎一郎『パンツをはいたサル』

(その2)栗本慎一郎『パンツをはいたサル』②

(その3)安冨歩『合理的な神秘主義』

(その4)池谷裕二『単純な脳、複雑な「私」』

(その5)森嶋通夫『なぜ日本は没落するか』

(その6)学問分野の統合・まとめ

(その7)よしもとばなな『花のベッドでひるねして』

(その8)鈴木清順『陽炎座』

(その9)雲黒斎「フラットランドについて」①

(その10)雲黒斎「フラットランドについて」②

(その11)クリシュナムルティ『既知からの自由』①

(その12)クリシュナムルティ『既知からの自由』②

(その13)吉富昭仁『BLUE DROP』

(その14)時間と空間の関係①

(その15)時間と空間の関係②

(その16)M.C.エッシャーの不思議な世界

(その17)清水幾多郎『論文の書き方』

(その18)細谷功『有と無』

(その19)ジェームズ・ミッチェナーの名言

(その20)エッシャーの自画像から見えてくること

(その21)雲黒斎「〝自我〟は手放せるか?」①

(その22)雲黒斎「〝自我〟は手放せるか?」②

(その23)森清・公私融合の仕事術

 

さて、昨日投稿した(その23)の記事では、

「労働研究家」「町工場評論家」という

肩書きをお持ちだった森清さん(1933〜2018)が

1999年11月に岩波新書として出版された

『仕事術』から

冒頭に置かれている「はじめに」の一部分を

引用してご紹介しました。

その前2回(その21)、(その22)では、

雲黒斎さんのYouTube動画ライブ配信

【ゲリラ配信】雑談アワー「自我を手放す!?」

文字起こしして作成した講義録を

2回に分けて紹介していています。

 

よって、そうした雲さんのお話は、

いわゆる目に見えない精神世界、スピ系の話で、

かたや森さんの著書『仕事術』は、

会社で働く人々が仕事をどう進めるかという、

リアル世界についてのお話だったので、

お二人の話の内容は

対極に位置すると感じられた方が

きっといらっしゃったことでしょう。

 

でも、お二人の話の内容って

ホントに対極でしょうか?

 

わたしはそうは感じていないんですね〜

 

雲黒斎さんご自身、

「ぼくの話はスピリチュアルじゃない」って

言われていますし、わたしもそうおもっています。

 

たとえば、今朝、散歩の時に聞いていた

雲さんのライブ配信の動画「封筒くんの正体」など、

「フラットランドシリーズ」と、

「存在の相転移シリーズ」を統合された内容で、

わたしがこの連投記事24回全体を通して

皆さんに伝わったらいいなと

イメージしている内容に

かなり近いお話をされていました。

 

2022.3.7 雑談アワー「封筒くんの正体」

 

 

たとえば、雲さんのお話を「A」とし

森さんのお話を「B」とするなら、

「A ∩ B」の部分があるはずです。

具体的に見ていきましょう。

 

本格的なネット社会の幕開けを告げることになった

Windows98のリリースが1998年、

森さんがこの文章を書かれたのがその翌年

1999年で

わたしは出版直後に『仕事術』を読みました。

 

書名は一見ハウツー本のような

なおかつ非常に地味なタイトルなんですが、

本書が25年前に書かれたことを考え合わせると、

非常に先進的内容だったと改めて感じます。

 

森さんご自身が

実体験されてきた労働現場を踏まえつつ、

無暗に競争やサバイバルを煽るわけでもなく、

「そもそも働くとはどういうことか?」という

本質について、真面目に論じようとされ、

そのスタンスには、

流行り廃りにおもねようとされない、

時代を超えたものがあるのではないかと。

 

 

わたしの場合、本を1冊読むと、

そこに書かれた事柄をただ頭に詰め込んでも、

何の足しにもならないと考えているので、

その中味に対しては、「とにかくやってみる」姿勢

つまり、どれだけ具体的に実践できるかに

重きを置いてきました。

 

もちろん、本書のような書物の場合は、

ノウハウ的に書かれたような箇所は

すぐに実践できても、

仕事に対する考え方や価値観や世界観、

時代認識に関わる部分は、簡単ではありません。

 

でも、結局のところ書かれている事柄を

実際に自分で試してみて、

現実に手応えのあったことだけが

自分の血肉になって残っていくわけですし、

仕事に対する考え方や価値観や世界観、

時代認識に関わるところについては、

いろいろな人の考え方や見方を

良し悪しで判断したり取捨選択したりせずに、

1つひとつを関連づけながら受けとめ、

「統合」していく姿勢が大事ではないかと。

 

 

たとえば、1冊の本を読むだけだと、

そこに書かれている内容は、

単なる個人的意見にすぎない可能性があります。

 

でも、10冊の本を読んでみて、

もしも10冊に共通する内容を見出せたなら、

1冊だけ読んだ場合に比べれば、ですが

その内容に対する信憑性は

かなり高まったと言ってよいのではないでしょうか。

つまり、わたしにとって本を読むということは、

こうしてジグソーパズルのピースを

関連づけを考えながら

1枚1枚をつなげて埋めていき、

1枚の絵をつくっていくようなイメージで

捉えているわけなんですが。

 

 

森さんの文章の中見出しのひとつに

「公と私」とありました。

 

この、公(おおやけ)と私(わたくし)は、

対比的に区別するために生まれた言葉ですが、

人間は社会的動物であるから

どんな「私」であっても、

社会、世間の「公」に融和する姿勢が求められ、

こんにちでは、「個人企業」いわゆる

「私企業」であっても社会的責任を背負うと

考えられるように、現実には

「私」にも「公」の側面があるんだという主旨は

非常に明確で分かりやすかったとおもいます。

 

「公私混同」と「公私融合」の違いについて

語られていた箇所がありましたが、

公と私を曖昧にしたまま、

ごっちゃにしてしまうことを公私混同とするなら、

公私融合は、それぞれを別のモノとして認識しつつ

両者を統合させることで

認識そのものの解像度が上がって、

もうひとつ上の次元の認識を

手にすることができるというか。

 

これは、わたしが先月15回にわたって投稿した

「内的観点と外的観点の両方を同時に持つこと」

ほぼ同じものだと言ってよいでしょう。

 

 

引用した森さんの『仕事術』はじめにのうち、

「公と私」と中見出しのついた文章の終わりに、

次のように書かれた箇所がありました。

 

仏教でいう中道は、あい離れた

二つの立場から自由になったもう一つの立場に

真実を求める考え、実践である。

理想はそこにある。

 

いかがですか?

 

雲黒斎さんは、仏教に対する造詣が

非常に深いように感じていますし、

森清さんにも道元「正法眼蔵」

すこしまえに「今日の名言」でも取り上げた

鈴木大拙についての本も書かれていて、

お二人の話は「仏教」でつながりましたね。

 

また、先ほど紹介した

雲さんの動画「封筒くんの正体」

15分15秒あたりから語られている、

雲さんがデザイナーとして仕事を始めた頃の話は

昨日紹介した森さんの『仕事術』はじめに の

冒頭部分、中見出し「情報化社会と近代の終焉」

主旨と内容はほぼ重なっています。

 

 

 

さて、24回にわたって

「統合すること」をテーマに書いてきた

このシリーズですが、

具体的に寺子屋塾の学習で

この統合をどのように実践しているかについて、

今回のシリーズでは

ほとんど触れることができませんでした。

 

それはそれで書き始めると

言語化が簡単ではなく

敢えて触れなかったということもあるんですが、

次月以後に書くつもりでいますので

おたのしみに!

 

 

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