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人生すべて自作自演?

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人生すべて自作自演?(つぶやき考現学 No.56)

人生すべて自作自演?(つぶやき考現学 No.56)

2021/10/12

「人生、なかなか自分のおもうようには
ならないもんだ」って言いますね。
 
それはそれで間違ってはいないんですが、
別の角度から見ていくと、
実は人生ってすべて自作自演というか、
みなさん、たいていは
自分のおもいどおりに
生きている、とも言えるんです。
 
自分で自分の思考を複雑にし、
勝手に事件を捏造し、
無駄にネガティブな感情をつくりだし
大騒ぎして自分で自分を振り回し、
まわりの人をいっぱい振り回しているのに
そのことに気がついていないのが、
本人ひとりだけだったりします。笑
 
自分がつくったお化け屋敷の仕掛けに、
せっかく念入りにつくったんだからって
自分で驚いている・・みたいな。爆笑
 
わたしももう60年近く生きてますから
こんなことを何十回繰り返したか
わからないくらいです。(^^;)
 
おそらく、多くの人は、
自分のおもいどおりに
生きていくことが「自由」なんだと
考えていることでしょう。
 
かく言うわたしも過去には
そう考えている時期がありましたし。
 
でも、そんなふうに
みな自分が自由を求めているのに
なぜ自由になれないのかといえば、
その一番大きな足かせになっているのが
他でもない「自分自身」だということに
自分が気がついていないからだと
わかったんですね。
 
たとえば、「こうしたい」と
夢や将来像を描くということは、
自分の脳内での勝手なイメージにすぎないのに、
「こうしたい」がいつのまにか
「こうしなければいけない」にすり替わって、
そのようにできない自分に苛立って
自分で自分を縛ってしまうことって
よくありますよね。
 
なぜ、こういうことが起きるか
なんで、こういうことを
何度も何度も繰り返してしまうかというと、
その一番大きな理由は、
「自分のことは自分が一番解っている」という
大脳思考の癖というか
錯覚があるからなんです。
 
つまり、人間の脳や心には、
自分の目では見えない「盲点」や、
意識しようにも意識できないような
「無意識」の領域があるということに
気がついていない、というか、
仮にそういう知識があったとしても、
そのことが生活次元で
実践されていない状態ではないかと。
 
つまり、ひとことでいうと
いろいろなことに対して、
自分自身が自覚的でないってことなんですが。
 
自覚的になるためには
まず自分自身をつねに観察し、
自分を知ろうとする姿勢が
最低条件として必要なんですが、
「自分を知る」ということは、
自分という人間が
いったいどういう人間なのかについての
知識や情報がたくさんあるということではなく、
「『自分が何を知っていて
何を知らないか』を知る」ということなんです。
 
そして、そのような姿勢が、
人間の精神や思考のしくみを
正しく理解することにもつながっていくので。
 
人間の思考回路とは、たとえるなら
ブラックボックスのように
ふつうは中身がどうなっているのかが
見えないし、どういう仕掛けになってるかが
わからないものだといってよいでしょう。
 
でも、つねに自分を観察する姿勢が習慣化し、
自分の脳の思考回路が
どういうしくみになっているかが
自分でわかってくると、
自分の思考回路の入口にinputされたものが
どんなふうになってoutputされてくるかが
だいたい想像がつくようになるんですね。
 
いままで、自分でいろいろ考えを巡らせ
主体的に判断していたことも、
単にそういう〝つもり〟になってただけで、
実は、機械的に自動的に反応を繰り返して
いただけなんだと。
 
そのことに気がつくと、
過去の自分のいろんな行動や判断についても
なぜそうだったのかをふりかえって
納得いくようになるんです。
 
つまり、こんなふうに現実の中で
自分の思考と事実の切り離しができ、
見通せるようになってくると、
それまで、単に中身のわからない
ブラックボックスに
振り回される側でしかなかった
自分の思考回路がチューニングされ
本来のはたらきを取り戻してくるし、
ブラックボックスを
活用する側の立場に立てるんです。
 
そうなってくれば自ずと
真に主体的な人生が拓けていくし、
時間に対するとらわれもクリアになるので、
いま、どうすればいいかとか、
未来に何が起きるかということも、
自ずとわかるように
なってくるんじゃないでしょうか。
 
「過去と未来の間に『いま』が
挟まっているのではなく、
『いま』という時間のなかに、
過去も未来もあるんだ」ということが
腑に落ちるようになるわけです。
 
そして、このような時間に対する
とらわれから自由になったら
「いまを生きる」ということが
いったいどういうことであるのかが
実感としてわかってくるだろうし、
日常生活のなかでこのような
「いまを生きる」という姿勢を
ごく自然に実践できるように
なってくるんじゃないでしょうか。(2019.7.1)

 

※井上淳之典のつぶやき考現学 No.56

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