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TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(その91)

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TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(その91)

TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(その91)

2026/05/11

2/10からこのブログでは、

TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集を

お届けしているんですが、

回を重ねてこの記事が91回めで

残すところあと9回となりました。

 

今日は、第6話の終盤

41分過ぎあたりから始まる、

旅行帰り電車の中でのみくりのモノローグを。

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〔旅行帰りの列車内。並んで座っているみくりと平匡〕

みくり:……

みくりM:(あのとき……)

〔みくりの回想:朝食のときカヲルと鉢合わせしたシーン〕

みくりM:(何か、言ってくれるかと思った)

みくり:……

〔みくり、平匡の手を見る〕

みくりM:(もしも今、「手をつなぎましょう」って言ったら……)

〔イメージの平匡:「今は社員旅行中です」〕

みくりM:(って怒られて……)

〔イメージのみくり:「新婚旅行のフリをするという仕事の最中でもあります」って食い下がったら……〕

〔イメージの平匡:「それは、グレーゾーンですね」〕

みくりM:(なんて困った顔をして……仕方なく、手を出して……)

〔イメージの平匡が左手をみくりの前に出す〕

みくりM:(でも欲しいのは、仕方なくなんかじゃなくて……)

〔イメージのみくりは平匡の手を取ろうとしない〕

みくり:……

みくりM:(わたしは……平匡さんに、何を求めているんだろう?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

TVドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』第6話より

 

COMMENT:みくりと平匡が旅行帰りの電車内で並んで座っているこのシーン。みくりは最初から最後まで平匡の隣で黙ったままなのに、沈黙の内側では自己内対話劇が進行しています。恋愛ドラマって、たいていは告白とかキスとか、行為が起点になりがちですよね。でも『逃げ恥』では行為の前にまず言葉が立ち上がり、さらに言うと、その言葉さえ口に出されず頭の中で予行演習されてしまうこともある。このみくりのモノローグもまさにそれで、恋の独白というよりほとんど〝交渉のリハーサル〟になってます。  


みくりは「あのとき……何か言ってくれるかと思った」と旅館での出来事を回想しながら、平匡の手を見る。そして「もしも今、『手をつなぎましょう』って言ったら……」と想像を走らせる。ここでみくりがすごいのは、未来を夢見るというより、相手の反応まで先回りして生成してしまうところ。イメージの平匡は「今は社員旅行中です」と言い、イメージのみくりは「新婚旅行のフリをするという仕事の最中でもあります」と食い下がり、イメージの平匡は「それは、グレーゾーンですね」と困った顔をして、仕方なく手を出す———完全にロールプレイです。恋愛というより、相手のロジックを想定して、反論の反論まで自分で組み立ててしまう。ここまで来ると、みくりの中では「手をつなぐ」は〝お願い〟でなく〝合意形成の結果〟として手に入るものになってしまっている。 


でも、その瞬間にみくりは止まる。「でも欲しいのは、仕方なくなんかじゃなくて……」。この一文がこの場面のいちばんの芯だとおもいます。みくりが欲しいのは、手をつなぐという行為そのものじゃない。提案と押し問答で、渋々でも合意が取れれば、行為はたぶん実現できてしまう。けれど、そうして手に入るものは、みくりが本当に求めているものではない。欲しいのは、仕方なく差し出された手ではなく、平匡自身から出てくる意志というか、自発性の手触りなんですよね。  


ここ、ものすごく現代的だとおもいます。形として同意や手順が整っても、「渋々」は満たしてくれない。正しく合意しても、気持ちは追いつかない。むしろ正しくやろうとするほど、「相手は本当はどうしたいのか?」が気になってしまう。みくりは第1話からずっと、関係を言葉で設計し、提案として進めてきた。でもその提案が強くなればなるほど、「相手の自発性」が見えにくくなるという逆説がある。この場面は、その逆説がいちばん静かな形で噴き出しているように見えます。  


そして最後、みくりは黙ったまま「わたしは……平匡さんに、何を求めているんだろう?」と自分に問う。ここで面白いのは、答えが出ないことよりも、答えが出ないまま隣に座り続けることのほうです。みくりは行動に移せない。提案もしない。代わりに、頭の中で交渉だけが完了して、外側には沈黙が残る。手は触れられる距離にあるのに、言葉も手も出ない。だからこそ、この沈黙は「拒絶」でなく、自分に問いかける形をしているんだとおもいました。そしてこの、みくりの中で静かに進行するモノローグが、この後に訪れる衝撃的ラストシーンにつながっていて———それが「嵐の前の静けさ」だったことを、ドラマを観ているわたしたちは悟るわけですね。笑



この名セリフ&名場面集で紹介しているセリフは、2020年に放映された『逃げ恥・ムズキュン特別編』を土台に、野木亜紀子さんの『逃げ恥シナリオブック』での記述を参考にしています。なぜTVドラマ『逃げ恥』のシーンを毎日投稿している理由については、この連投記事の初回として書いた(その1)の記事のコメントをお読みください。

ちなみに、4/10に投稿した(その60)の記事と、4/27に投稿した(その77)の記事には、とても重要なことをコメントしましたし、それまでに投稿した記事のINDEXと、逃げ恥関連の投稿記事リンク集を載せています。未読記事がある方は是非そちらから参照ください。

 

ではまた明日に!(^^)/

 

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