寺子屋塾

宮沢賢治(吉本隆明選)『ほんとうの考えと嘘の考えを分ける』(今日の名言・その43)

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宮沢賢治(選:吉本隆明)『ほんとうの考えと嘘の考えを分ける』(今日の名言・その43)

宮沢賢治(選:吉本隆明)『ほんとうの考えと嘘の考えを分ける』(今日の名言・その43)

2022/11/07

 

 ほんとうの考えと嘘の考えを

 分けることができたら、

 その実験の方法さえ決まれば、

 

宮沢賢治『銀河鉄道の夜』(初期形第三次稿)ブルカニロ博士のことば

※冒頭の写真はこちらのページより拝借しました

 

 

吉本隆明さんは一時期、色紙に言葉を求められると、

この宮沢賢治のことばを書くように

されていたそうなんですが、

この話は、ほぼ日website「日刊イトイ新聞」の

こちらのページに書かれています。

 

とはいえ、12回にわたって連載された第9回なので、

この記事だけ読んでもわかりにくい話もあり、

時間のある方は、ぜひ全12回をお読み下さい。

吉本隆明のふたつの目

 

さて、この「今日の名言」シリーズの投稿は、

わたしがなぜこの言葉を選んだか、

その理由を記したり、

言葉の中味を説明したり、

さまざまな形でコメントしてきましたが、

今日のこの宮沢賢治の言葉については、

モト寺子屋塾生のKさんと

Facebook上でやりとりした内容を

若干手直しして再録することにしました。

 

それは以下の通りです。

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K:ほんとう、とか、うそ、って何でしょうね。

 

A:そうですよね~ それは「神のみぞ知る!」ってところですかね(笑)。人間は「自分はほんとうと嘘をちゃんと見分けられるゾ!」とか「自分の考えはほんとうだ」とか、そうおもいこんだり、結論づけたりしがちだから、もっと謙虚に問い続けなさい、ということかなと。

 

K:なるほど。本当ということがどういうことか、うそということがどういうことかって、わかりにくい(判別しにくい)ことですね。本当っていうのは、"事実"というのともまた少し違う側面もあるのでしょうね。「自分にフィットする」っていうのもホントの内かも?

 

A:「事実」と「現実」が区別できなくて、ごっちゃになってる人が少なくないんじゃないかっておもうんです。客観的な事実というのは一つしかなくても、たとえば、その事実に10人の人が関わっている場合、各々の認識や評価、解釈が異なるので、10通りの現実というのが生まれるんですよね。だから、事実といえるようなものは、そもそもないんだとおもっていたほうが、イイんじゃないかって。このことについては、次の記事など参考になるかもしれません。
人は簡単に都合よく過去をつくりかえてしまう

 

K:そうですね。人はいま起きていることも過去のことも、思いたいように思う。そしてそれが事実起こったこと、起こってることだと思う。そして無意識にそれを本当のことだと思いこんでることが多いなと思います。自分が思いたいように、現実という認識を合わせる。だから同じ体験から別の認識が生まれるんですね。

 

A:はい!でも、各々が異なった認識をもってしまうことは避けられないので、できることは、その認識を事実(ほんとう、真実)だとおもい込まないこと(混同しないこと)ですね。そしてそれは、各々にとっては単なる脳内の記憶でしかないから、そうした認識を極力引きはがして事実だけ観るように、認識部分に執着しないで自在に書き換えられるように努めること(事実は変えられないけど認識は変えられる)でしかないとおもっています。

でも、最近わかったんですが、それが実はお釈迦さまの悟りといわれていることの根幹でもあるんですね(四諦=苦集滅道→如実知見)。わたしは別に悟ろうと考えてたわけじゃなくて、寺子屋塾の学習実践を通じて、なにが大事かを探究していったら、結果的にこういう考え方に自然に行き着いてしまったんですが。釈迦の教え、つまり仏教が仏滅後2500年過ぎてもこうして今日も生きているというのは、人間にとって普遍的な価値があるからでしょう。だから、悟りナンテ言うと何だか特別なことのようにおもえる人もいるかもしれないんですが、けっしてそうではなく、どんな道からでも、1つのことを極めていったらだれでも行き着くことだし、身近なことなんだとおもうんですよ。

 

K:私は、各々が異なる認識を持つのは悪いことでもないし、当たり前のことだと思っています。ただそれを当たり前だとは思わない人の方が周りには圧倒的なので、自分はどうやって今の考え方に至ったのかなぁとちょっと不思議に思いました。長い時間かけて変わってきたから、どこからいつからそんなふうに思い始めたのかきっかけが思い出せないんですが、これもたくさんのズッコケ経験のおかげなんでしょうね(笑)

 

A:はい、悪いことではないとおもいます。でも、10人いたら10通りの現実を生きているんだという話は、なかなか伝わらないですよね。わたしもそう考えるようになったきっかけはおもいだせないですが、すくなくとも今の教室を始めてからのことであるのは確かで、大和信春さんの「人脈三圏」という見方や、吉本さんの幻想領域の三区分(個人幻想・対幻想・共同幻想)を学んだことで、かなり明確になったように感じています。これについては次の記事が参考になるかもしれません。
「現実」=「私にとってのリアル」

 

K:10人いたら10通りの現実。。私はそれを人にわかってもらう必要はないように思っています。そう思える人とお話できるのはすごく気が楽なのは確かですけど(笑)。

 

A:基本わたしも人にわかってもらおうとはおもっていません。自分自身ですら自分という人間がよくわからないくらいですから、人にわかろうはずがない(笑)。でも、世の中を見渡してみると、人と比べたり、評価を気にし過ぎたりする人って少なくないみたいで。そうした人から相談されたり話したりしてるときとか、この話をするときにいつもおもうことなんです。

 

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