情報洪水の時代をどう生きるか(その5)
2022/12/05
今日は月曜なので、いつも「今日の名言シリーズ」の
記事を投稿しているんですが、
12月に入ってからは、
イレギュラーな形での投稿を試しています。
というのは、情報リテラシーというか、
情報過多の世の中をどう生きるかは、
わたしにとっては、高校生ぐらいのときから
40年以上にわたってずっと考え続けてきたテーマで、
1回分の記事で到底書き尽くせないのはもちろん、
簡単に済ませられる話ではありません。
とはいえ、書き始めること自体をためらっていては、
永遠に書くことができないので、
とりあえず、予告編を書き続けるぐらいの気持ちで、
スタートさせた次第です。
そんなわけで、「情報洪水の時代をどう生きるか」
というテーマの記事の続きを書いていきますが、
昨日までの記事や、このテーマについて
書き始めた前提となる以下の記事を未読の方は、
それをまず確認されてから
本日分の記事をお読み頂ければ有難いです。
庄司薫『バクの飼い主めざして』のこと
情報洪水の時代をどう生きるか(その0)
情報洪水の時代をどう生きるか(その3)
情報洪水の時代をどう生きるか(その4)
昨日の(その4)は、情報生産のしくみが
ポイントだったんですが、
どうやって情報は生まれるのか、
そのしくみが具体的にわかりましたか?
昨日の記事でもご著書を紹介したんですが、
上野千鶴子さんの講演内容を後半部に収録し、
京都のかもがわ出版から1998年に出版された
ブックレットがあります。
ワンコイン+αで買えてしまうような、
うすっぺらい小冊子ですが、
書かれている中味は超絶重要な事ばかりで、
5000円出しても惜しくない位の価値ある情報が
ギュッと詰まっているとわたしには感じられました。
とりわけ、当時のわたしは、
市民活動やボランティア活動を応援する組織に
関わっていたこともあり、
谷川雁さんの運動体の3原則
1.やりたい人がやる、 やりたくない人はやらない。 2.やりたい人は、 やりたくない人を強制しない。 3.やりたくない人は、 やりたい人の足を引っ張らない。
|
と、情報が生まれやすい組織の6条件が
とても参考になったのです。
その1 上意下達ではない集団 その2 リーダーシップが交代可能な集団 その3 異質性をもった違いが組み合わさる集団 その4 多様な関わり方に開かれた集団 その5 年齢と性別と経歴がモノを言わない集団 その6 自己決定と自己責任の論理が生きる集団 |
そして、この情報が生まれやすい組織の6条件の
その3について説明されている部分の後半に、
つぎのような超重要な指摘が書かれていました。
(引用ここから)
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・・同質者で固めた集団からは、知恵もアイデアも
生まれません。わたしには、情報というものが
どうやって生まれるかについての確信があります。
情報とは、一つのシステムと別のシステムの落差から
生まれるものです。
したがって、自分の生活が一枚岩で成り立っている人
のなかには、知恵も工夫もうまれない。同業者としか
付き合っていない人のなかには、情報は生まれない。
一日中役所のなかにこもっている役人とか、
一日中自分の持ち場を離れない社員からは、
知恵もくふうも生まれないと思っています。
となると、やはり異質性、違いというものが生きる
集団であってもらいたい。そのなかには、
老若男女、障害のある人もない人も、
外国経験をもつ人ももたない人も、ヘンな人も、
いろいろ加わってはじめて、知恵とくふう、
アイデアという情報価値が生まれてくると思います。
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(引用ここまで・太字は井上)
この、上野さんが話された内容に興味を持たれた方は、
次の「寺子屋朝日」の対談記事などをご覧ください。
こうした内容は、次の2冊にさらに詳細にわたって
展開され、実践され、集約される形で記されていて、
情報工学のバイブルといってよいでしょう。
寺子屋塾で月1回休日を使って開催している
未来デザイン考程のワンディセミナーは、
この情報生産技術の発想や視点、
そうした技術を身につけるためには、
日常からどんな脳の使い方をすればいいのかといった
手がかりやヒントについて学ぶ場を
提供しているといって良いでしょう。
ここでは未来デザイン考程の詳細にはふれませんが、
このblogには、「未来デザイン考程」タグを付した
記事がたくさん有るので、
詳細はそちらをご覧になってみて下さい。
結局、今日は昨日予告した
「初源に立ち返る原理思考」まで行けませんでしたね。
たとえば、お釈迦さまの悟りというのは、
とても優れた原理思考のひとつだとおもうんですが、
2,500年も前に生きたような昔の人の考え方が
なぜ、今もなお「古典」として残されているのか、
次の記事などをご覧になって考えてみてください。
(つづく)