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情報洪水の時代をどう生きるか(その7)

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情報洪水の時代をどう生きるか(その7)

情報洪水の時代をどう生きるか(その7)

2022/12/07

水曜はつぶやき考現学からランダムにセレクトして

投稿しているんですが、12月に入ってからは、

イレギュラーな形での投稿を試しています。

 

「情報洪水の時代をどう生きるか」というテーマで

記事を書き続けているんですが、

今日が7回目になりました。
 

昨日までの記事や、このテーマについて

書き始めた前提となる以下の記事を未読の方は、

それをまず確認されてから

本日分の記事をお読み頂ければ有難いです。

 

17才の私はずっとそこにいる(薬師丸さんの誕生日に寄せて)

庄司薫『バクの飼い主めざして』のこと
情報洪水の時代をどう生きるか(その0)

情報洪水の時代をどう生きるか(その1)

情報洪水の時代をどう生きるか(その2)

情報洪水の時代をどう生きるか(その3)
情報洪水の時代をどう生きるか(その4)
情報洪水の時代をどう生きるか(その5)

情報洪水の時代をどう生きるか(その6)
 

同じテーマで回数もだいぶ重なってきましたので、

今日を含め、あと2回ぐらいで

区切りをつけられればとおもっているんですが、

そのように上手くいきますか・・・。

 

さて、(その4)と(その5)では

「情報生産」がテーマだったんですが、

情報洪水の波にのまれてしまうことは、

情報をただ受け取り、消費する側の立場にいる限り、

たぶん避けられないことでしょう。

 

よって、それを食い止めるための具体策として、

そもそも情報というものがどうやって生まれるのか、

そのしくみを本質から理解し、

自らその生産者になってしまえばいいという話自体、

理解することは難しくないようにおもうのです。

 

ただ、「農業生産」や「工業生産」であれば、

多くの人がイメージできても、

「情報生産」という言葉自体、

わたしたちの日常であまり使いません。

 

それで、昨日までに書いた記事を読み直したときに、

「情報とは、一つのシステムと別のシステムの

落差から生まれるもの」と言われても、

あまりピンとこなくて、

具体的にイメージできる人は少ないかもと

おもえてきたので、今日はまず、

その具体的事例を紹介するところから

書き始めることにしようとおもいます。

 

 

世界的に活動している日本人ミュージシャンの一人で、

わたしの敬愛する音楽家・坂本龍一さんは、

東京芸術大学音楽学部作曲科専攻科+同大学院を

1976年に卒業されているんですが、

在学中に指導を受けた先生のうち、民族音楽研究者の

小泉文夫さん(1927~1983・東京都出身)を

「ぼくの音楽に対する態度に決定的に影響を与えた人」

とインタビュー記事か何かで読んだことがあります。

 

つまり、坂本さんが「世界のサカモト」と呼ばれる

オリジナリティ溢れる作品を創作する音楽家になった

理由をひとことで言うなら

「テクノポップ」と言葉が最も象徴的で、

民族音楽のようにローカルで

エスニック(伝統的、民族的)な素材と、

コンピュータやシンセサイザー、

デジタルサンプラーといった、

グローバルに存在している最先端テクノロジーという

一見対極にあるように見える素材を組み合わせ、

融合させた音楽にあるんじゃないかと。

 

もちろんそれだけでなく、クラシックとポップスの

融合など、様々な音楽のジャンルを越境した

幅広い活動をされているんですが、たとえば、

その坂本さんが舞踊家のモリサ・フェンレイから

ダンスパフォーマンスのために委嘱を受け、

1985年に制作されたアルバムに

『ESPERANTO』という作品があります。

 

サカモト自身、この作品を「架空の民族音楽」と

語っているらしいんですが、

ローカルな要素とグローバルな要素を融合させ、

ダンス音楽として結実させているという点において、

「情報生産技術」を駆使して生まれた

最も典型的な傑作だとおもうので、リンク先にある

YouTube動画をぜひ聴いてみて下さい。

 

 

また、寺子屋塾で開塾時から基本教材としている

らくだメソッドは、土台となる算数教材部分に、

「公文式」と「水道方式(遠山メソッド)」とが

組み合わせられています。

 

らくだメソッドを開発された平井雷太さんは、

水道方式の教材を使った学習塾を経営されていた経験と

公文教育研究会に入社して教材開発されていた経験を

お持ちなんですが、世間的にはこの二つは

対極にある存在だとおもわれているので、

この両方に通じている人間はほとんどいません。

 

また、構成や運用法として、松岡正剛さんの編集工学と

野口整体の

「問題を楽しむ発想」が取りいれられています。

 

つまり、編集工学は大脳思考寄りの要素であり、

整体は心・身体寄りの要素ですから、

この二つについても

対極にある、異質同士の融合と言えるわけで。


このように、オリジナリティな創作物というのは、

まったくのゼロから新たに生まれたようなものは

現実にはほとんど無く、

異質なもの同士、しかもその各々が

対極に位置するとおもわれているようなもの同士を

組み合わせ、融合させることによって、

生まれるものだと。


さて、こんな風に物事を見ていくことで、

たとえば、吉本隆明さんが〝言語〟について考え

『言語にとって美とはなにか』を著そうとしたとき、

言葉の流通を商品の流通になぞらえ、

カール・マルクスの経済学を援用して

「自己表出」と「指示表出」という概念

つくられた発想も、

梅棹忠夫さんが情報産業論を書かれたとき、

人間社会の歴史的進展に

生物の発生学を援用された発想も、

村山節さんが文明法則史学を発見されたとき

易経の陰陽理論を歴史学に援用された発想も、

そうしたすぐれた創作の陰には、

そのほとんどに「情報生産」的発想というか、

「異質なモノ同士の組み合わせ」が

存在していることがわかってきたのでした。

(つづく)

 

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