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計画的偶発性の場づくり 哲学対話とゲームセンター型コミュニティ

計画的偶発性の場づくり 哲学対話とゲームセンター型コミュニティ

2022/12/17

土曜はらくだメソッド関連あるいは

塾生関連の記事を投稿しています。

 

10月下旬頃だったとおもうんですが、

塾生の西尾さんから、「同じ高校教師の木田さんが

校外で哲学対話の場づくりを体験したいと

希望されているので、

会場確保や参加の呼びかけなど

協力して頂けませんか」との相談を受け、

今日の午前中はその哲学対話イベントの当日でした。

 

今月は12月なので、いつもならば3の倍数月は

インタビューゲーム4時間セッションを

開催するんですが、哲学対話は

カテゴリー的に言うなら

かなり近いコミュニケーションプログラムなので

今月はお休みさせてもらい、

次回4時間セッションは3月に開催予定です。
 

哲学対話の進め方としては、対話するテーマを

主催者が最初から用意しておく場合もありますし、

考えてくるように事前に告知しておき、

参加者各自が持ち寄った素材をもとに

当日合意で決めていくやり方もあります。

 

今日は後者のやり方だったんですが、

「現実の日本社会において対話の場はまだまだ少数。

 どうしたらこのような場を増やせるか」という

わたしの提案したテーマが採用され、

50分のセッションが行われました。

 

それで、今日の哲学対話イベントに参加した

寺子屋塾生の廣安くんが早速レポートを

blogに書いていたので、ご覧ください。

no.2415 ~哲学対話をしよう~

 

また、塾生の西尾さんが最近学校祭で行った

哲学対話イベントのレポートは次の記事にあり

過去に行った哲学対話イベントのレポートも

記事内にシェアされているので、

哲学対話を実体験されたことが無い方は

イメージを掴んで頂けるとおもいます。

一工祭で哲学対話

 

たぶん西尾さんからは、本日のイベントレポートが

近日中に前記のblogにて発信されるとおもうので、

更新をたのしみにしていてください。

※後日追記 レポートは次の記事をご覧下さい

 →哲学対話 in 地域資源長屋なかむら

 

 

さて、今日の哲学対話においてやりとりされた

具体的な話の中身に入っていくことにしましょう。

 

提案させてもらったテーマに対しての

わたしなりの解答というか、

具体的に実践している一端についても話したので、

そこで「偶発性」というキーワードを

呈示させてもらったんですが、

これは、少し前の記事で予告していた

「ゲームセンター型コミュニティ」というテーマにも

つながる話題でもあるので、

今日の記事ではそのことにも言及してみようかと。

 

わたしにとって寺子屋塾の教室は、

家庭(first place)でもなく

学校や職場(second place)でもない

〝サードプレイス(third place)〟であり、

哲学対話のようなフラットな関係性での対話を

日常化していく実践の場でもあるんですが、

そうした場づくりの基本を考える上で

一番重要な視点だと感じていることは、

松岡正剛さんから学んだ

ルール・ロール・ツールの「ルル3条」です。

 

セイゴウさんのルル3条については、

1998年に出版された

『ボランタリー経済の誕生』に詳しいのですが、

次の記事に要約されているのでご覧ください。

ファシリテーションと情報編集

 

つまり、ルル3条をひとことで言ってしまうと、

〝場〟がそこに関わる人々の役割や関係性を

映し出す鏡のような役割を果たすための

さまざまな工夫を象徴するキーワードなんですが、

具体的には以下の通り。

 

1.対話を促すルール

  何を聞いてもいい

  聞かれたことに答えなくてもいい

  聞かれてなくても話していい

  →対話に参加しない選択も保証されている

   相互に相手の自由意志を尊重する関わり

2.対話を促すロール

  1に示したような関わりを緩やかに提案する

  ファシリテーター的関わりのできる人の存在が

  何より重要!

3.対話を促すツール(寺子屋塾の場合)

  らくだメソッド

  インタビューゲーム、経営ゲーム

  たくさんの本、ビデオ、コーヒーなど

 

前記した記事で松岡さんいわく、

その場にいる人たちの相似性を見いだすのは、

ゲームをつくることと同じだ。

ファシリテーターは「ゲームメーカー」だ。

才能は、あるものを塞ぐと別のものが

生まれることがある。

こうした変化があることを確信し、

開花させるのもファシリテーション。

いわば、機能の「転換」である。

とあったんですが、とりわけらくだメソッドなど

ゲーム型教材がもたらす偶然性、偶発性というのが

セルフラーニングスタイルの教室を長年続けてきて

対話を促進する大きな要素だと感じています。

 

また、前記したように、

らくだメソッドがゲーム型教材であることや

いずれ「ゲームセンター型コミュニティ」という

テーマで記事を書きたいという話は、

1ヶ月ほど前、次の記事に書きました。

偶発的に生まれたメソッドだから遊びが学びに

 

寺子屋塾の場合、

小中学校や高校の授業のように、決められた時間に

強制的に集合させられるわけではないので、

いつも同じメンバーが顔をつきあわせる訳ではなく、

ゲーム型教材で学ぶということは、

そこに集まる一人ひとりも、

基本的にゲームプレイヤー的な性格を
帯びてくることになります。

 

週1回通塾、毎日学習という原則はあるものの、

個別学習、個別対応の関わりですから、

最終的にどうするかは学習者が自己決定でき、

教室へはいつ来てもいいスタイルなので、

そこでのつながりや相互の関係性も、

メンバー固定のかっちりした組織集団というよりは

出入り自由のコミュニティみたいな

ゆるやかな関わりであり、

その場は自ずと偶発性の高いものになっていきやすく、

ゲームセンターのような様相を呈すことに。

 

これが「ゲームセンター型コミュニティ」って言葉の

意味するところなんですが、

この発想は

1999年にジョン・D・クランボルツが

人間のキャリア形成について述べた

計画的偶発性理論

プランド・ハップンスタンスセオリーにも

通じているように感じています。

 

ちなみに、この計画的偶発性理論に関しては、

検索すればたくさん記事がヒットするんですが、

次の記事など参考になるとおもいますし、

プランド・ハップンスタンスセオリーとは?

キャリア上の偶然を重視する理論のご紹介

 

これを具体的に実践するポイントは、

シェアした記事にも書かれているように

好奇心 持続性 柔軟性 楽観性 冒険心

の5つにあると言ってよいでしょう。

 

あと、12月になってから

マネジメント関連カテゴリーでずっと
「情報洪水の時代をどう生きるか」をテーマに

記事を書いていたんですが、

そのテーマとの絡みでコメントすると、

ゲームセンター型コミュニティとは、

情報生産の可能性の高い場ということであり、

あらかじめ意図された目標に向かって

予定調和的に完結してしまうのではなく、

そこで何と何が出合うか、何が起きるか、

何が生まれるかはファシリテーターのわたしにも

予測不能で刺激的な場となるわけです。

 

情報洪水の時代をどう生きるか(その5)

に書きましたが、場の特徴をまとめると、

上野千鶴子さんのブックレットに書かれていた

情報が生まれやすい組織の6条件

 その1 上意下達ではない集団

 その2 リーダーシップが交代可能な集団

 その3 異質性をもった違いが組み合わさる集団

 その4 多様な関わり方に開かれた集団

 その5 年齢と性別と経歴がモノを言わない集団

 その6 自己決定と自己責任の論理が生きる集団

とかなり重なります。

 

現在の寺子屋塾においては、この6条件が

ほぼ実現できているのではないかと感じていますし、

いま寺子屋塾で学んでいる面々が、

各々の現場で、こうした場づくりを実践できれば、

今日のような対話の場は、ゆっくりであっても

少しずつ確実に拡がっていくのではないでしょうか。

 

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寺子屋塾に関連するイベント案内

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