甲野善紀 x 方条遼雨『身体は考える 創造性を育む松聲館スタイル』③
2023/07/25
昨日投稿した記事の続きを。
7/23からこのblogでは、
7/20に出版された甲野善紀 x 方条遼雨
『身体は考える 創造性を育む松聲館スタイル』を
紹介しているんですが、3回目になりました。
本書は前著『上達論 基本を基本から検討する』
と同様に、方条さんの著述部分と、
甲野さんと方条さんの対談からできています。
方条さんが書かれた前半180ページまでの第1部を
付箋を貼りながら読み終えたんですが、
結果的に、付箋を貼ったページよりも
貼っていないページの方が少ないくらいに
なってしまいました。笑
読んだ箇所へのコメントなどを書きたいのですが、
その前に、「原典」という中見出しのついた
148〜149ページを引用してご紹介。
(引用ここから)
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原点
そして、我々は言わば「自分」の専門家です。
「自分の日常」の専門家です。
「自分の常識」の専門家です。
つまり、「自分」「自分の日常」「自分の常識」の専門馬鹿と言えます。
この自覚から始めない事には「正確な状況認識」などできようはずもなく、「適切な行為」も程遠くなります。
そして、そのために必要なのが「当たり前」を見直すことであり、「当たり前」を実行する事です。
前者の「当たり前」とは、自分の中に凝り固まった常識のことです。
後者の「当たり前」とは、「相対思考」「比較思考」をやめ、「事象を事象のまま見てみる」と始めるのは簡単です。
何かを食べた時、何かに接した時、何かを体験した時、「自分はどう感じているのだろう」と、自身を観察すれば良いだけだからです。
何とも照らし合わせず、何とも比較せず、誰の評価も参考にせず、「自分の感覚」と対話すれば良いだけなのです。
これは、一人の「個」として当然の「原点」であり、「当たり前」の行為であるはずです。
それが、失われて久しいということです。
こうして失われた当たり前を取り戻し、「自己とのコミュニケーション力」が高まってくると、自分自身でも気付かなかった「本音」が見えてくることでしょう。
※甲野善紀 x 方条遼雨『身体は考える 創造性を育む松聲館スタイル』より
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(引用ここまで)
人間はたしかに、自分自身についての
「専門家」ではあっても、
「自分」「自分の日常」「自分の常識」の
専門バカというか、錯覚しているので、
日常の次元で、自分にとっての凝り固まった常識や、
自分にとっての「当たり前」を
まず、自覚することから始める必要があるわけで。
よって、寺子屋塾では、
自分で決め、自分でプリントをやる体験を通して、
自分を観察し、自分の感覚と対話し、
失われて久しい一人の「個」としての原点を
取り戻すということを
やっている場所なんですね。
以前紹介した次のつぶやき考現学も
ここに書かれている内容とつながります。
・天才とはバカであることを自覚している人(つぶやき考現学 No.55)
とはいえ、武道と算数の学習って、
ほとんどの人にとっては、繋がらないですよね?
寺子屋塾のホームページには
「プリント道」という言葉を使って、
学習内容を説明した
次のような部分があるんですが・・・
1日1枚の基本となる「型」を実践するプリント道
「~道」と名のついた日本の伝統的な習い事や武道にはすべて基本の「型」があり、指導者はあまり手トリ足トリ教えません。「身につける」という言葉がありますが、わかることとできることは別次元のことで、アタマから入るのではなく、基本の「型」をカラダで繰り返すことから始め(守破離の〝守〟)、自分でやってみる体験を通して学んでいくことを大切にしているからです。
江戸時代の寺子屋での教育は、異年齢、異学年の子どもたちが同じ場に集い、自学自習、自問自答の姿勢を旨としていました。「日本人の気質や生活風土に合った学びとは?」というテーマを長年探究するうちに、当塾の学習スタイルが、日本の伝統的な習い事や武道とも親和性の高い「教えない」プログラムであったことにも気づかされ、らくだメソッドの学習をいつしか〝プリント道〟と呼ぶようになりました。
、
算数(数学)、国語、英語の学習といえば
多くの方は学校の授業をイメージされるので、
わたしが伝えたいことは
この表現ではほとんど伝わらないだろうなぁと
感じてはいたものの、
方条さんの本2冊を読んで、
『プリント道テキスト』についてのイメージが
わたしの中で具体的に沸き上がってきました。
また、方条さんはあとがきにて、
自身が亡くなったときから
著作についてはすべてを著作権をフリーにして
複製、引用、転載が自由に
できるようにしておきたいと書かれ、
そうしたOPENな姿勢には大きな共感を覚えます。
甲野さんのあとがきを読むと、
本書の出版を準備されている際に書かれた原稿で、
収められなかったものがまだまだ他にもあり、
3冊目が準備されていることがわかり
楽しみが増えました。
現時点で半分しか読めていないこともあるんですが、
この本についての記事は、
まだしばらく続くことにかもしれません。
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