「〝教えない〟性教育」考（その４）
2023/11/09
教えない性教育をテーマに記事を書き始めて、
これで４回目となりました。
これまで書いてきたことを踏まえて
話を展開していくことになりそうなので、
昨日まで書いた３回分に未読記事がある方は
先にそちらを読まれた上で
本日分の記事をご覧戴けると有難いです。
さて、映画『春画先生』を紹介しようとして
書き始めたこのテーマだったんですが、
前段の前段の前段ということもあって、
これまで３回の記事では、
春画の話題がまったく出てきていません。笑
そういえば、webちくまで7/13からスタートした
佐々木敦さんの記事
毎回楽しみにして読んでいるんですが、
今日現在で８回分に記事がアップされています。
タイトルに「教授」とあるのに、
佐々木さんは、「教授」以前の話だけで
なんと５回もの記事を書かれ
文字数６万を超えてしまっているのには
さすがに圧倒されてしまいましたね。
だから、わたしも前段だけで２０回分ぐらい記事を
書いても大丈夫かも・・・
ナンテおもいはじめているんですが。。笑
さて、今日は、
吉本隆明さんの『家族のゆくえ』という本から、
性教育にふれたところを紹介しようとおもいます。
ちなみに、『家族のゆくえ』については
以前にも旧blogのこちらの記事で
教育に触れた部分の一部を引用し、
目次を紹介したことがありましたので、
付け加えて記しておきます。
（引用ここから）
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
前思春期から思春期にかけては、
「性教育」が問題にされることがある。
教育好きの錯覚だとおもえる。
人間は教育によって無知になることもある。
鶴見俊輔氏は、息子さんに
「みずから命を絶っていいのは、君が人を
殺さなければならない情況におちいったときか
強姦したときだ」と諭したことがあるそうだ。
いかにも鶴見氏らしい立派な言葉だが、
わたしはそんなことも教えない方がいいとおもう。
教えることは良くない、
全部ダメだというのがわたしの考えだからだ。
教えたりしたらあとで必ず
後悔と自己反省が起きてしまう。
年長の人が年下の人に、あるいは小学校の先生が
小学生に道徳的なことを教えるのは
やめたほうがいいとおもえる。
たとえ親子でもそうだ。
ではどうすればいいのか。
放置することだとおもう。
個々の人によって環境もちがうし
家族も考え方もちがうだろうが、
少なくとも幼児期および少年少女期の前半までは
できるかぎり自由にすることだとおもう。
これをもっと引き延ばしていえば、
大学を卒業するまでは学問技術は教えても、
あとのことはいっさい教えないこと。
道徳、善悪、正邪に関することは教えない。
何も教えないで育てていくのがいいとおもえる。
とくにいけないのは
善悪に関与することを教えることだ。
自分の子どもたちにたいして、
それにほぼ近いことしかしてこなかった。
善悪、正邪に関することは教えるのがむずかしい。
性教育も同じだ。そして自由に任せてきた。
一般社会から見ると、欠陥も出てきたかもしれない。
欠陥はないほうがいいかどうか、
わたしにはわからないが、
欠陥が出てきたら最終的には
親の責任だと思い定めてきた。そう考えてきた。
乳幼児期、もっといえば
体内７～８か月で人間らしくなったとき、
その親なりに愛情を籠めて子どもに顔を向け、
本気で育てたら、
その子が長じてから強姦することなどありえない。
※吉本隆明『家族のゆくえ』P.120～121より
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
（引用ここまで）
吉本さんが書かれたこの考え方は
徹頭徹尾「教えない」姿勢に貫かれているんですが、
ある意味、極論ともいえるもので、
きっと賛否両論あることでしょう。
でも、こういう破天荒なことを言って聞かない
ガンコじいさんが
ほとんどいなくなってしまっていることは事実で、
正しいかどうかはともかく、
ひとつの見解として
傾聴に値するものではないかとおもうのです。
※この続きはまた明日
